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 いつも通り、一緒に歩いて行く森の中。

 すると、ふと……「あれは……、ケムリ? 師匠、少し燃えてませんか、森で何かが燃えてて、」えと―――。

「そう……、そうみたい。ただ山火事とは違うの、あれは恐らく野盗、かな……? でももう残念だけれど強奪は、うん……」終わってるみたいだね――。

 これは気安く行かない方が良い。なんなら顔を出すのもよろしくない。相手が何人いるかも分からないし完全に漁った後の警戒モードのはずなの。弟子くんを指で制し伝える私は。


「いえ、でも追わないとです……。師匠、すみません、僕はやっぱり見過ごせない――!」

 突然だった。いきなり走り出す弟子くんに少し驚いた。すると剣まで抜いたから、「お弟子くん……っ、どうしたの……っ」

 あぁいきなりあの子は何を――。

 剣を抜き走って行く、彼はその現場に一目散に駆け寄って行った。木々をかき分け、奇襲すらも諦めた様子で。何かの縁があるのか、そうなのかとも。でも……。


「いえ……良いんです師匠はっ……。とりあえず僕だけで良い。だから待て……、待つんだっ、はぁ……はぁ……、お前だな、手配書の男!」

「はぁ……?」

 その声に敏感に反応する男、張り巡らせていたそのサーチ役に目を合わせ、「なんだぁ~このガキは、突然剣なんぞ抜いて。あぁいや……、まさか僧兵か何かかよ。じゃあよ、死ねぇエ!」

 上の方、視脳の学を使ってた男からの先ずは弓矢の一射。そして走って来る男達。2人に見えてたが思った以上に多いし、まぁ舐めているのだろう。当然だ、せいぜい中学生やそこらなんだ。


 だがその時その顔を見て理解するのはこの師匠たる私で。


「あぁ……そう、なるほど……ね。よく覚えてたね、お弟子くんは」

 あの一番最初の関所、あれに掲げられてた古びた手配書の男だった。確かにそれに微妙に似ているなと、ただもう白髪が混じっているし歯も髪もボロボロだが。「師匠、僕行ってきます! だってアイツを止めないとだ。きっと悪い事を積み重ねたんだ、だから指名手配なんて――」

 困ったようにうなずく。でもちょっとやそっとで貼られる物ではない、羊皮紙はまじ貴重――。

 だがあっと言う間に弟子を囲もうとする男達が、その数なんと8人で。驚いてて。


「そう……、そういう事ならね? 私も行こうかしら。周りに増援はいなさそうだし、お弟子くん行くよ」「おぉ……。オほぉお!? おぃっ……見ろよコッチぃ!?」「コッチもすっげぇ良い女。これは楽しめるぞォ――」

 白の髪を振り、出てくる女に騒然、男達の声色が一気に変わる。確かにそうだろう、ドッと湧いたね……熱気が伝わるから。私を掴もうと一気にかかろうとしてて……。

「師匠!?」「そう……。でもだけどもね、君たちはまずは私の守り手を、そのお弟子くんに専念した方が良いの」

 横から邪魔する弟子くんの重いタックル、そしてその斬撃。かなり手間取っている、少しの旅だが確かに強くなっている姿で。


「師匠、こんな量だとは、すいません……っ。でもだったら僕がしっかりとしないとだぞ……、うおぉおお!」

「へへ、このガキがぁ……っ。こんな程度で通用すっかよって、奇襲成功したくらいで、おっ……」おぉぉ……!?

 まだ中1だし、レベルでは負けているね? 平均して13、彼は11。だがそれでも私の弟子なのだよ、この対人最強の弟子だ。

 しっかりと最初から手加減無しで詰める。斬りつける!


「いや、まぁでも、そう……、人間だもの――」「クソ……っ、今のなら決まってたのに、こんなに鎧っていうのは――」

 いってぇぇ~~、なんて言いながら山賊が打たれた腕を振るって。打撲程度だ。私もうなずき奴らの装備の隙をついた、その質はまぁまぁだろうか。その下にも鎖かたびらの感触、この剣の大きさだと手甲にも当たるし。

 まぁ私は悲鳴を上げさせるけどね。ただ当たるその度にコイツらに防具が流れたという事に歯噛みするしかなくて。

「ニンゲンって……、固い――」

 あぁでもだ、イカツイ魔物ばっかりを見て来たからか動きに特別はないか……。


 試行錯誤する少年、でも装備が邪魔過ぎていかんともしがたい。そうして師匠たる私を逃がすまいと一気に増えるのだ、美少女を襲う魔の手には余念なくて「へっ……へへへ。連れ帰る前にもたっぷりだからなぁ~、うひひひ!」「おぃ弓のっ……顔は狙うなよ、こんな上等なのほぼねえんだわ――」

「そうそう……、そうね。分かる。だからこれだからね……風・突応、犬噛風ドッグ・ウィンディ!」

 出会い頭、私は唱え終わってたのをぶっぱ。その風はまるで犬の頭をしたような質量があると感じる突風でね? 初級だが私にかかればなかなかの威力。

 2つの頭が噛みつくように体当たりして、吹きすさぶ風は……!


「ちぃいい!? コイツ……、剣でもヤルってのに精霊法師かよ、こんな……ぐぅう!?」「しかも連発しながら戦うだと、どうなって――」あっ、あぁぁ!?

 基本だけれども風ほど対人に良い精霊法はそうはないから。特に相手が何かの人法を使おうという時、そうして自分が剣に自信がある時なんかは。

 飛んでくる弓は全て防げるし相手が犬の頭にぶつかって鈍った所を一撃で……!

「うわ……、うわぁああ!」谷底にさようなら。火はなかなか山ではついてくれないし、これが良いね。風ってどこでもあるものねぇ。風をまき散らしながら5人からなる徒党を嬲っていく師匠だよ? ふふふ。


「うわぁ……師匠。本気で初見殺し、半端ないな――」「おぃおぃオィ――、ちぃいい!? だがおぃ、あんな上玉諦めれっかよ、コッチもアッチも絶対捕まえるぞ!」

 オゥよっ!

 そうしてその様子から、やはりお弟子くんにターゲットを移すのだ、やはり人質が良いという判断だろうね。私はその背中向けて走っていく汚い男達に斜面を崩す精霊法をおみまいしてやる、それでも複数人が行って――。


「来い……。そうだこれは僕の戦いだ、だったら僕が必ず勝つぞ――」

 遠慮なく人法を駆使する弟子、じゃないと負ける。人数も力も負けているときている、ただし覚悟はある。人数差で慢心するのよりも物怖じしない動きは確実に鋭いが。

「でやぁああ! 羅生撃!」「うぉ!? ちぃいい!?」

 人法の火が薄っすらと見えるその一撃は剣を弾き飛ばすが、だが、仲間がヤラレてようと後ろに回ろうとするし、実際問題から言って複数はかなりまずくて。恐らくは今のお弟子くんでは……。


「ア、うぅぅ。全然違うんだな……はぁ……はぁ……、人間との戦いは。全然止まれないんだよ、こんなので師匠は――」

 肩の鎧が飛んだ。

 師匠よりは断然弱い相手なので可能性を感じていたが。ただどうにもならない人数、今も4人に囲まれて逃げるのがやっとになってしまった。

そうしてでも、いつもと違う。手に持つスリンガーショットだ。


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