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 伝わりくる波長で装備が一気に剥がれて飛んだ、即座に魔法を解き放つ、無詠唱。

「アァァアア! お弟子くん、なんとか飛んでぇえええ!」強烈なファイア・ボールの一撃、血を吐く師匠。防御の無い今の弟子くんを爆炎と苦しみに――。

「はぁ……はぁ……大丈夫……、ダイジョウブお弟子くん!?」「いえ……、はぁ……はぁ……師匠ならば。僕を絶対に守ってくれるって――」ぐぅぅ――。

 その言葉に頭をかく。

 彼女の項目でそのスキルは記憶にあるから。恐らくそんなに強い加護ではないはずだが仲間とみなしている者への攻撃を弱化するって、更に……。

「ふふ……、師匠、思った以上に力になります。僕らは絶対に強くならなきゃだ……、師匠の為の前衛になるって――」

 人間として分解されかけたが、それでも強く強く剣を握る。剣を持って絶対の壁となる、美しい師匠にコイツがかかると思えば力が更に……。

「そう……、そうなの……かな?」

 良く分からない、2度死にかけた弟子のモチベに師匠が首をかしげるが、すぐに剣を構え「だけどなんだかキツイよ……、血で力を増してないかな、コイツ――」


 オーガの血が黒のパワードアーマーを濡らして淀み、更に強化していく。禍々しい力だ歪みの人体改造。

 それでも弟子くんは引かずにカチ込むから「なんとかしないと……っ、師匠、僕が惹きつけます、なんとか止めてみせますから!」

 難度は前とそれほど変わらない、素早さは上がったが攻撃力も上がったし、防御力が何より下がった。一撃必殺なだけ。

 ゴリゴリ筋肉パンクラスのゴレム・オーガのその素早い攻撃を腕で流す弟子くん、一撃! だが刃こぼれし始めた剣では相当辛いか、まぁ腕も、それでもなんとか食らいつく。


「そう……、はぁ……はぁ……、本気なんだ、お弟子くんは、じゃあ――」

 そう言うと剣を持ちて、師匠も近接戦へと移行するから「オーガ……。貫通してかなりダメージが入ったはず、それなのにこれは――」

 あぁでも師匠たるメンツを何度も潰してくれちゃって、私も怒ってるよ――。必殺って言いましたよね?

 剣戟を激しく振るうがオーガ・ゴレムはその狂暴な性格を遺憾なく発揮、大暴れして来る。すると更に前に出る師匠、剣士としても彼女は格上。そして何より――。

「はい……、そうなんですね。はい――」師匠が上手に斬り抜けた姿、それはあまり見ない動きで誘う、その直後に目線で合図「目をつぶりなさい――」

 光が放たれた。錬金道具、それはココでなら殺傷力は爆発的で――。

 ピカ、ぐぅぅう―――――――――――――――!?

「よし、そう……。このダンジョンでならコレが最強、温存した甲斐があったんだから――」

 ここで生息してる者に太陽拳でも使ったらイチコロである。その威力に脳が焼き切れる程の光、当然私も弟子くんもキツイけれど……、、あの中に生命体がいるなら話は早いの。


 ネタばれが怖くて温存しておいた良かった、2度目はないと。


「であぁああぁああ!」そして良い出足、強烈な師匠たる私の乱舞。遅れて弟子もが切り裂き、師匠が突き殺す。

 弟子は師匠を邪魔しないタイミングで最大値のDPSを叩きだせた。二人で斬りさいて。

 既に素体のカラダは死に至ったハズだろう、ただコイツのカラダは何かがおかしいと、そう思っていたが――。

「ぐごごごご……。おぉ、おぉおおおおおお!?」

 ガスン――と首に何かが刺さる、貫く、「そう……、うん――。コレは多分ラストスパートで」


 ツバを飲み込む。もう乾燥で痛いが……。ゴーレムの硬い一部がノドを突きやぶって、青黒く沈殿してもう鬱血までしてるオーガの首に刺さり、動きだす。ノタウツ。

 体がたなびく。

 こいつは血の一滴すらも流し尽くした後でも戦えるのだ、最後の最後だろう。正にオーガ・ゴーレム。笑った気が――。


「ふぅ……、ふぅ……、そう……、これが戦い。その体を燃やし尽くしてでも向かって来る魔物。限界までヤルから、負けれないんだって――」

 だがコチラも負けていないが、しかしとてもじゃないが無理だ、お弟子くんでは人法なしではつばぜり合うのも厳しい。

 それでも黒くそびえたつゴーレム・オーガに真っ向戦う弟子で。

「そう……お弟子くん、気をしっかりだよ……っ。人法は眠気が来るから、でも寝たら死ぬから――ッ!」

 だが目が重くなる、スキルは急激に人体のエネルギーを使い果たす。供給法はあまりない上に気力が削がれると威力も下がるという。でも気合いと根性なら誰にも負けていないと。

「勇者になるんだ、勇者に……、彼女に見せて――」

 燃やせるものはある、その一撃を避けた……羅生撃の速度強化で、次の攻撃も同じく。足が震え出し、それでも前へ進む。

 風圧を真横に感じても目が霞み、それでも前へだ、今こそ前へ。


 その一撃が突き刺さるが、へにゃっとし、もう剣の限界かと。吹っ飛ばされる弟子へ投げられるその美しい美剣。光に気づく、持ってみるとアツくて「うわ――、なんか。なんか全然違うんだよ、力がすごく――」

「そう、お弟子くん……、その剣を使いなさい」

 その敵を前にして剣を失った師匠の方は、なんとか防御するのみ。精霊法を以て進む彼女、避けた腕の下から風圧ぶっぱ。

 そのまま掴む剣、この目覚めは一瞬だろう。弟子がゴーレムへとその最後の最後を燃やした霊長法で肉薄。オーガも受けた、気迫が違う、全力の人法を使った技でかち合うから。

 大地に刺してないだけ威力は低いが、勝てないだろう。だがその時ホノオが……「うぉおおおお! 喰らえええええ!」


 収束、そうしてぶつかりあう両者、そのまま顔を飛ばされた、両者の力の拮抗で傷が飛ぶ。

 それでも押し切り……圧し切って血が舞い、オーガのカオを吹き飛ばしたんだ、だが動くぞ、全然動く、見境の無いデアデビル、本能だけで襲って来ていて――。


「そう……、そうしてこの剣は予備の予備だもの、あまり使いたくはないのだけれどね――」弟子が吹っ飛んだ、ぴくりともしない。そこで取り出すのは、錬金武創。師匠の剣。それは正に名の通りで錬金術師が作り上げるホムンクルスとも言える物。


「岩が……剣になった――。なんだあの剣」

 薄っすら見える。形状記憶というよりかは甲羅から足を出したに近いね。その黒のクリスタルが異様な程に慟哭する。力を放つ「ふぅぅ……コッチは生きている剣なの、いきなりで悪いけど――」

 スパァン!

 真っ二つだ、奴にとどめを刺して――びしぃいっとヒビが入った、唇を噛む。

 だがこの腐れパワードアーマー鬼をなんとかしばいて、師弟、なんとかそのままダンジョン踏破。そうして用意されていたレア宝箱の中身は特殊な魔石を施したガントレット装備のパーツだった。


 帰還――。



 たった2人の初見が突破して見せたという事で結構な噂になる。酒盛りだ。

 何故かさよならの看板を掲げて酒盛り。

「よっしーーっ、この地方ダンジョン始まって以来の、えと……11人目?12人目か? とりあえず滅多にない快挙だぞ、お前らぁああ!」

「しかもしかも新種らしぞっ……、新しく情報が手に入ったんだ、やっほぉおお!」

 酒盛りだ。何かというと酒を盛っているのだろう。全員で飲めや歌えや大合唱。はっはー、アイツら一杯おごりだろう、良いなぁ。まぁ何せ変なモンスター報告だもんよ、ただ説明が意味わからんかったが。まぁ……、良いか?

村の者達も巻き込んでビールが飛ぶ。叫ぶ。酒場は数少ない光が漏れている。


「師匠……、師匠~~……? どこ行きましたか、どうしましたか~お一人で……」

 虫の鳴き声、闇の中を一人歩いて来る弟子くん。そこはかなりの裏手の方でバカ騒ぎの声も遠い。だが血にまみれているのだ。白い髪の美少女が一人うずくまっていて振り返っては。

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