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「あぁ、どうしたのキミ……、そうお弟子くん? 何かやってたろうね、きっと夜中にはしゃいだの――」

「いやぁ……はい。すいません。でもしっかりと寝ましたよ、ただあの暗闇が怖くなって少し……」

 笑ってごまかす。

 そう、まぁその気持ちは分からなくはないの……。慣れない闇はやはり……――「うへへへ……、師匠が強くなってる。やっぱり良いなぁ~」

 白の髪、美しく細い体。師匠が可愛いまま育って行く。

 美少女が成長していく、これほど嬉しい事はない。ご褒美だ。次の勇者にはきっと……。


 そして2人で再度あの、鍾乳洞のヌンメリした横穴へ。

「そう……、今日は最短を行くから、手間取らないように、お弟子くん?」「はい、師匠!」「あぁそう……、うん。なんだろうね、良い。全体的に。恐怖に慣れるのはかなり早いのかな、あと集中力が持続する子だ」

 なかなかそういう人間は珍しい、良い剣閃だ。全てを一人で受ける気概が見えてくるの、それは最初からだったが。

 不思議な少年だと思った、妙に最初から礼儀正しいし。


 そのまま扉の前へ。そして開ければコボルトの集会場。弟子くんが張り切って全てを倒すのだ、弟子くんが昨日の釣竿を用意する。弟子くんがボワッと光らせればやはり、視線の凝視が――。

「そう……、お弟子くん? 残念だけども、うん、私にもウォーミングアップを頼みたかったなって……」

 笑いながらも剣を引き抜く2人。張り切りすぎ。

 でも昨日のように押し返されないように、なるべく2人で預け合えるように。弟子は気合いを入れて待つんだ。


「そう……、よし……、じゃあそちらは任せるからね、信頼するから」「はい、もちろんですよ師匠――」

 スぅぅぅ…………。

 フゥゥ――。

「そぅ……、行こう」

 そうしてまたあの波と戦う。

 だがなんとか押し切られずに済んでる。昨日見たぶんだけ動きが滑らかになったの、そのおぞましい敵にも気合十分、「そう……、だけれども彼は元来、恐らくは臆病。それは見えてるんだ……」

 波形の動きで大体の選別がつく私。だが彼は乗り越えようとしている、恐らく強い欲求があるのだろう。今までもそうだったから、常に這い寄る恐怖に常に上回る勇気。

 勇者、か――。だったらナゼそんなに弱いのかな。

「でやっ……、でやぁああ!」「そう……、そうなの、お弟子くんの動きはサマになってるね、敵への位置取りは完璧かもだ」

「えぇ、実は僕、夜目は効くんですよ。思った以上に――」でやぁ!


 師匠より優秀な精神浸食、その開示能力を使って闇でも敵のほとんどをステータスで見分けている。実は師匠の方は強化しても3メートル先までしか見えないが、弟子は5メートルまでは伸ばせたり。

「ふぅ……、ふぅ……、右の輪郭だけしか見えないけど、十分だ。見えてるよ……、喰らえ――」

 こういう時にはやはり、重装備である事は大きい。師匠に感謝だ、ヘビなんかは構わず踏み潰せるから、あとは囲まれないようにするだけ。

 とりあえず師匠には辛そうな奴をひたすらに狩る、なんとか追いすがるから。


「そうあれは……素直にすごいの、見分けられるんだ? あんな闇の者までも――」

 ソレは真黒くて深淵で、闇の中にいると全く見えなくなる特性を持つ、だが大して攻撃力はない敵。視認性が無なので恐怖とパニックを誘う面倒な奴。

 闇の者だ、それを見分けているから。師匠の自分ですらかなり難しい敵を、彼は闇を切り裂いた。

 スキル取得・防御力+3、早寝+1。

 そのまま体力もあってそのまま2WAVEを、合計13体をも乗り切って……。

「ふぅ……、ふぅ……、ふぅ……、なんとかかなり―――」「あぁ……そう、ふぅ~………。頑張ったね……、お弟子くん。私は2体だけだった、十分だよ。じゃあもうある程度は片付いたかなって……」

 照らし出していた光を揺らして、静かになり始めた周りに気を張り巡らせる。


 するとやおら師匠がスカートを上げるのだ、明らかにパンツ見せてくるように。その服を千切り始めたから。だって下に着こんだ服は防寒具であり燃料にする為の物。

 汚くなった物を遠慮なく千切って投入する美少女。

 でもそのなんとなくエッチぃ白雪の姿に目を逸らす弟子くんを見やる。

「そう、ちなみにね弟子くん……、火に対して肉食のは寄って来るけれども、草食のはむしろ隠れるから、」だから気をつけるんだよ。

「は、はい。って、うわぁああ――!?」

 闇からいきなり出て来た化け物に驚いて手足をバタつかせる。思った以上に大きい。草食とは被・捕食者だけとは限らないのがモンスター。ただの殺人狂のそのヤギの化物へとなんとか対峙する弟子。


「フゥ―――。そう……、それにしても嫌な場所かしらね……」

 わちゃわちゃと。未だ無数の眼光が絶えない。ゾワゾワするような谷、なんとなく素材採りも躊躇してしまうの。そして水辺の箱を見やった、昨日と同じ状態で。

「そう……、宝箱は空いてないから。大体このシステムは丸一日で代わりが来るのにな」

 地図だと結構通りすがる位置でも、恐らくこの扉の向こうへと来る者は少数。さっきからほとんど人を見ない、外と違ってめっきりといなくなる。

 その対人戦に特化した草食の殺し屋に転がされかけてる少年に、仕方ないので手を貸してやって。

 うん、ちょっと依頼料安すぎじゃないかな――って……。


 それでもまだ目指す先、滝の音、水の存在感が増して水面が見て取れる。下っていくと微かに声のような呻きの音が聞こえてるし、ここからは灯りだけで襲うような早漏ではないと――。

 弟子くんが第2の宝を開けたのを見ながら……「どうでしょう? 中身はですねぇ師匠……、結構良いのでは。僕はあんまり分かりませんが、しっかりしてて……」

 嬉し気に見せて来るが、確かに良い物だろうね、ペンダントだ。少しの魔力がかかっていて移動速度が向上すると、そうわざわざ宝箱さんが言ってくる。

 この宝箱さん、結構しゃべる。しかも脳内に直接だ。すごい親切にほっこりしてしまう。

 弟子くんに装備させてやって「ふぅ……ふぅ……、でも緊張がすごいですね」「うん、確かにね」

 暗闇でかかる吐息。私の胸くらいの少年へとかがみこむの、見ているな……。

 ふぅ……。


 でも勾配はそうでもないが、いたる所に水場が存在する場所だね。闇のしじまに時折トプンっと太い音。

 近づきその反対側の壁をゆっくりと覗いて透過すれば、いた……、黒々した毛と目があった。先に刺し殺す。すぐに他もいないか目線を右往左往。

「あっ……、でも向こうに光が見えます師匠。かなり大きな光だ……。アッチも同じ冒険者さんでしょうか」

「そう……、アッチもそうらしいけど、更に向こうの方がね……、相当な人数が必要らしいの。別ルートがもう一つあるって」

 みちち……みゅちちっ……。音を立てて、妙な柔らかさのくぼ地から這い出してくる弟子くんがこの暗闇を煌々と照らしているのを見やる。相当数の松明と精霊法を使っているのだろうね。


「少しコッチも明るいくらい、アレすごいだろうなぁ……」

 どうやらあの先は洞窟でも少し別物らしいと。かなりの人数と日数をかけて攻略になるそうな、当然レベルも高くてこの薄気味悪い場所で野宿するルート。

「勇者さんはここで野宿するのも大丈夫だものね……?」そう言うと分かりやすく動揺する少年、可愛らしい。

 そのまま2人の方は指定の水源に寄っていって魔の回収を行った。指定された水を調べる。舞う水分にも種類があるけれど、ここは……。


「そう……、なるほど……? こういった形になるの。目に見えない浄化石を浮かべて――」

 それは滝の裏側にセットされていて淀みを感知して吸着する形式らしい。しかも特殊な文字が浮かんでいる、なので排出するマリモくんにも同じ印が。

 はい、特別な歪みの塊だ、これが取ってこれないとクリアにならないね。こぶりついたその文字の形を確認して依頼完了。


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