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「そう、WAVEの始まり……。3分後……手足の爪切り時間と言った所だから」「はい――」

 うなずく、光ってやっぱりすごいと思った、僕としては慕ってたのに、「でも、僕がなんとかしなくちゃだ、師匠を守る――」

 輝く鋼も闇では大人しい。必死に戦うが、やはり視界のない戦いは至難。でも装備がなんとなくだが少し軽くなってる、レベルのおかげか。そして視脳も上がってるし。


「闇での剣、そうか……。こんなに自分が試されるんだな」

 ミミズ男と呼ばれるそのハンターに向けて剣を振るう僕は。情報ではこの全身ノタウツ何かは毛穴からではないらしいが、じゃあこのピンクは一体なんなのかと。

 その谷底、水面を見て身の毛がよだつ。

 四つん這いハンターは人間式の剣やらの武器を持っているのだが普通のなら問題無し。ただコイツは……。


「本気でミミズだよね……、何にでも寄生するのかと。剣からも生えて来てて……」

 石油風呂にでも入ったような闇の中で巨大にうねってノタウツ、そのせいで剣幅ヨシ、長さヨシ。非常に面倒な剣で足元をさらうように滑らせて来る。面倒なミミズ剣で暴れるその、荒ぶる乞食の様なうごめきは寒気を催した。

「でも言ってられないだろう、次々来るって……だからゼッタイ僕で倒すんだ――」

 師匠には行かせない、時間はないんだ。そのうねるミミズを必死に切り払う、堅い感触だがこの剣よりは弱い。切り払えばビチビチとうねるピンク、ひたすら切り払った。

 そうして底をさらうような剣を踏み、頭を斬撃。飛び散る汁、当然連撃だがその時もう一匹からの攻撃を避けるんだ。


「ふぅ……、ふぅ……、もう来た、周り……見ないとな。見え無いけど見ないとだぞ――」

 でも確かに光を背にしていると相手も集中できてないのが分かるんだ。師匠の位置感を感じるだけでも僕は十分だったし、相手は嫌がってて。

 2匹目は盗賊ナメクジ。見た目は巨大カタツムリだが、アレは……あの殻に見えるのは巻いたウデで針になっているらしいと。

「長いし……、しかも早いし汁が飛ぶんだ、これで初級だって言うんだから――」

 ぬちゃぁあ……と、丸まったのが解けてムチのようにしなるナメクジ、そのヌラめく透明、ブツブツの触手腕。だが思ってた以上に早い、なんとか斬撃で返したがシュルルっと持ちこたえるから。

 堅いのか。

 そして更に返しで針の一撃まで!「ちぃい!? どこからでも狙える……、だって関節がない。かなり長いし太いし、でも本体は動きは――」

 攻撃を避けながらなんとかヤツの後ろへ入る弟子。ただ実はコイツが引いてる汁もフェイクだったりしてね――。


「うぅこれ……シッポらしいね、踏んだら針が来るらしいって。小賢しいけど面倒くさいんだな……っ」

 ビクン!と跳ね橋のようにくる針をよけて逃げる、思ったより実物は跳ねた、触手も来てしまう「くそったれ……。元気すぎるよ君ら、こんな闇の中でさぁ!?」

 切り払うが硬い。獲物がかかったと、ウネウネと体を広げ覆い被さろうと言わんばかりでナメクジ本体もが来る。汚い。

 それに地面を這うミミズ男も未だ健在だ、顔を陥没させながら来ている。敵に挟まれて。

 だからその前に左の指先に力を込めたんだ。5倍界王拳の指先。そいつで引っかけながら払う僕は、滑っているがその強打によって体勢を崩すナメクジ。


「うぅう、らぁあ!」

 パスン! 

 面倒なナメクジを切り払い、更に攻撃。水分が出て小さくなってるね。じゃあ速攻で次は回復し始めてるミミズ男を相手して。だが3匹目が到着。

 僕はスキル技を使った指を振ってしまうんだ。何度も振りたくなるようなその痺れ。

「4匹目も来たね、そう……そして、5匹目が来るね弟子くん……――」

 湧いてくる気配、止まらないはずだ。飢餓が渦巻く闇を照らしてしまった、一人でこんな奈落に落とされたらと思うとゾッとするな。

 白の影を見やる。なんとかミミズ男を処理しているが、目の端の3匹目がヒドイ。カビクジラミとかいうモコモコ緑でふさっ……として妙に花粉っぽいのを撒いてる、その足長な化け物に舌打ちしてしまうよ。ツンと臭い――「なんかキモいよ、もう……っ、あっち行け、でりやぁあ!」

 でもその後も寄ってくる色々な化け物、僕は蹴散らす、闇はかなり慣れて来ていたが、だがタイムリミットが辛い。


「5匹目6匹目、その先に7匹目までも。そう……、そうだね。弟子くんは上層でも戦ったもの……、限界に達してて当然なの。良いだろうね……良い戦いだった」

 じゃあそろそろかしら……?

 さっきの釣り道具を岩場に差し込み、自分は自分で別の明かりを、煌々と照らす物を装備する師匠は、「私が囮になるの……、だからお弟子くん、キミはここを起点にしてね? 言ってた通りだよ」

 ある意味ここは囮に最適なんだから。その照らされて光る師匠が現れいでた瞬間に全部が動いた。


 見ている、今見ているのはトラや蛇か、犬なのかトカゲのようか。それはまるでサバンナをギュッと300メートル四方にまとめたサマ。

 狩りの相手を見つけたその群衆は動く、それを弟子たる僕がなんとか体数を減らすという作戦。光と闇の狭間へとボクは戻って。


「でも大丈夫ですか……はぁ……はぁ……すごく、アナタに群れてますよ。やはり本当にこんな量を――」

 ゾワゾワゾワ……、何かが動きだしてる。ぱちゃぱちゃパチャ……水音もした、洞窟自体がうごめいている。

 僕は闇に紛れて殺気立つモンスターに奇襲しているけど、心配になるほどの量。

「うん。そう。確かに、昔は嫌だったな――」それはもうおぞましさに一歩も動けなくなる事、多数の化物が自分を見ている。

 だが隣で涙目の少女を見た時に、自分以外がいない事を。震えて動けなくなるガキ大将を前にした時の使命感。ふと思い出す。幾度もの戦いを経てきたが、師匠は師匠――。

「そう……、環境が人を作り出すの、それは確かにね――」

 白銀乙女がモンスターを切り裂いた。その真っ暗闇に一筋現れた淡い救いは、それは光の蝶のように。

 その強烈な師匠は戦い始めた。


「はっ、でいや! そう……、でも油断は駄目だから、お弟子くん。まだ音に強い奴がキミに寄ってきてる――」だから破裂音のする一つまみをばら撒いてやるの。コレで良い。彼はまだ重装備なので五月蠅くて見つかりやすいよね。

 そして高らかに歌う、自然の法を。切り裂くから、美しく光る剣技で。師匠は光を灯して闇の底でも歌う、堂々と。

「スゴイ―――」

 その姿。凛とした表情。それはスキルでもレベル差でもなく、事実、強い――「そう……、全く、ダメだね。君らは強い光は苦手だろうに、むしろ気が散っているぞモンスター諸君――」

 すぱぅ!

 私はね……、光で見ると強いの、強すぎるだろう――。

 だが惹き寄せられる、美しい姿には惚れ惚れしてしまうだろう。本当に。弟子は慌ててその群れる後ろから剣を突き刺した、剣を伝って血がどこかに飛んでいく、闇へと還る。沢山の血が流れる。モンスターパレード、うごめいている。

「ぐじゃああ!」「そう多いな――。一気にくる小柄が何より面倒なの、こういうのは魔法で――」

 氷のサークルを地に打ち込み、相手を右往左往させる。小さいのはコレで良い。二人が互いに自分の持ち場へ集中。そこからは動きが2人シャープになっていくから。真っ暗の中で戦うには集中が必要だ。

 戦いの中で洗練されるとはこういう事を言うのだろう。

 目が血走っている注意散漫なモンスターを横から飛びつき、「でぃ、でやぁああ!」「よし、そう……、お弟子くんレベルアップだね――」


 2人うなずく。かなり疲れるし緊張していたが、やがて闇が彼らの肌に溶け始めていた。向かい入れられるように、寒い中でもふと臭いが分かるような感じ。鼻が戻ってきたような……。


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