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 山賊に奴隷にモンスター、そして貴族に戦争に。幼いころから田畑仕事の為の自然法を覚え、山へのお使いもする。コレに師匠として君臨する為にはずっとずっと前を向く必要。


「ね、ねぇ……、はぁ……はぁ……、どうかな、怖い――?」

「ううん、師匠。オラは平気だ、平気なんだ……」

 依頼があって、その付き添いの時に。どうしてもと願われて初めて弟子を連れて行った。少しでも早く大人にならなければと。

 だってそれは貧しい家の少年だったしいつもお腹を空かせている。私の家は少々の金持ちだったがそれでもその施しでは意味がないと、この子に本当に必要なモノはもっときっと……。


「そう……、傷だね。でも頑張りなさい、私がついてるから、だって戦うんでしょう?」「うん……、ぐすっ。そうだ、いつかオラ、自分一人で生きて行きたいよ……。だって誰かが外に出んとなぁ、にっちもさっちも行かなくなるけんなぁっ……」

 足を引きずって洞窟へと潜る。その死体が転がる臭い臭い中へと、もう光が見えなくなっていて……。

 子沢山の時代だ、平均8人は生んでる。赤子から成人になれるのは4割程度。モンスター達はそれほど苛烈で。

 読み書きも満足ではないし居場所の確保もままならない。もう8歳にもなれば農作業に朝から晩まで追われてる。その中でも彼が師事してまで掴みたかったのは兄妹への愛だろうか、それとも自分らしさだったろうか。


「おぃおぃオィ……まずいな――。別方向から入れたのかよ、巣は逆に貫通してんのかっ……、、あぁ……クソぉ!?」「じゃ、じゃあ抑えなきゃだ、その誰か後ろのを抑えておいてくれよ、ナァ、お前ならできるだろ、師匠!」

「えぇ……。いや――」

「そう、はい、分かりました――。はぁ……はぁ……、じゃあ弟子くん……、キミは更に後ろで援護をねっ……!」「分かりましたよ、任せて欲しいだよ!」

 汗がにじむ。大量の巨大アリが来ているらしいと、あれは本当に100に千切られるのだ、しかも数が多い。彼は働き者でスリンガーがかなり上手かったの。

 でも私が責任預かりだなんて言っても、それでも誰も彼もが生きるのに必死。

 この世界で師匠たると言える者なんていない、少なくとも私は今まで片指で数える程しか見てない。親ですら例外ではなく。


 私はでも例外であるはず。


 敵は多い……。なんとか倒し終わった、だが不意だった。

「あぁ、ダメ―――!?」その後ろには、大きな大きなコウモリ。下ばかり見ていたせいか、だがむしろこの世界で一番うれしかった事はただ一つ。

「本気で生きたいって思えた事――」

 その首についた傷を触る。私のカラダには幾つもの傷がある、誇りの数だけ強くなれる、そんなスキルを持てた。



 快晴の朝を一緒に歩く。ひたすら歩く。少しだけ標高が下がって歩きやすい。

 すると時折……、妙な人間に出くわす事も多いから。だってこんなモンスターが出る場所でも人が住んでいたりするの。

「そう……、あまり宗教は流行らないよね」

 ボロボロの服、目の端に映る親子が祈りを捧げる様にうなずく。

 目の前に差し出されるナイフと十字架、物理か祈りかと。2つに別れるとするならばドッチを選ぶだろう。


「あの親子は大丈夫でしょうか」「分からない――」

 異世界でも見つめるしかない。でもだけど良い事はあるから。神を信じなくとも魔法も精霊法だって平等なこと、何よりそれを証明できることで。

 私の世界を知らない君にはね……、分からないだろうけれど、それは。

「そう、魔法とは物理。しかもギルドの方が緩いから……、だからそれに負けじと宗教も緩くなってるの、良い事だよ――」

 宗教戦争は利益が少なすぎてほぼ無い。その分だけ僧兵がせっせと冒険者として戦っていて良い感じに出張ってきてる。人類共通の敵が目の前にいるからだ。

 この2つの組織、大いなる戦いの仕手である僧兵とギルドの姿。

 それは読み書きができるまでは通されず、禁欲思考で門弟はこき使われ放題、激詰め、激烈パワハラ気質の僧院と。

 何にも考えもせず犯罪者もお構いなしで、ある種の最後の砦。それだけに最大手で疎まれる自由のギルドと。


「そうだね……? 大体僧兵はきっちりしてるけれど、金と領土にうるさいのが多いのがな……って、フフフ」

 誰も読めない神書を読める、高名で金の果実を好む凡夫、そう呼ばれている。彼らの祈りがどこまで届くかは分からないが、道を急ぐべきだろう。

 やっと……森を抜け始めたね。

「そう……、次は偽物でもダンジョンだよ、お弟子くん。心構えをしっかりね」

 二人歩く、歩く。

 登る坂は土をともなって下へと転がりかけ、蛇行もあって「はぁ……、ふぅ……、次の町はもう別の貴族領。3か国目なの、気をつけて……、そこそこのが出るよ、お弟子くん」


「ここ……、でもかなり登りましたよねぇ、また結構標高が高いです。あぁぁ……ウゥ――」足が、重くなって。

 巻き上がる白のモヤ。うなずく弟子と師匠と、地平まで登って、そうしてやっとお目見えするのへと下って行く。手早く、確実に。

「そう……、お弟子くん、この国は一応行った事はあるから、戦争があったのは20年も前だし、ただ……」この世界は移ろいやすいし戦争も頻発する。だからむしろフラットだが、しかし、5年以内に戦争した場所との交易は慎重にならざるを得ないから。教えていく。すると案外知ってて。

 ついでにモンスター達とも戦って、ついたのは夜だった、茜の空を手早く歩き続ける私。目の前の小さな集会までは絶対に――。


「ふぅ……、ふぅ……、あっ、次が見えて来ましたね……。良かった、本当に良かった。はぁ……はぁ……アレはしっかりした町です、まともに壁がありますねぇ師匠……っ」

 叫ぶね、なんとなく「うん、そう……、そこそこ大きい、だから門があるから。ココはそれにダンジョンがあるし、そうしてそうなると閉門も早いよ、お弟子くん――」

 ラストスパート、城門になっている入り口に小走りに、楽しそうに入って行く師匠、追いかける大荷物の弟子。そこはダンジョン町だ。その町の門限に間に合わないとお外で待機という地獄仕様の。

 あと政治一つで時間が変わるし。だから速攻で通行料を払いギルド証を出して通って行くから。

 突破すれば壁のその先に何かあるのだろうかとワクワクしながら大きな門をくぐる。


「はぁ~~、新しい街ぃぃ――」楽しそうに見やる弟子くんはまるで目に焼き付けようとばかりに見ていて。

 だが空気を感じるより歩いて行くはまずはギルドだね。白い息を吐く、赤い鼻をかいたのよ。体温上がっちゃったかしら?

 一応ギルド曰く保護者という立ち位置であり、入って一番最初に来るべきであり、来ないと罰則だというのだけど――。

「そう、それでぇ……? ココは酒場であり宿屋で、武器屋でギルド、かな。こういう所のは荒れてるからね……」

 ガラン――。

 入ったドアに無作法にかかるその、弔いの看板にうなずき、とりあえず無造作に置き直して。木樽の破片があって娼婦っぽいのがいて、あとゲロ臭い。それらを避ける。


 デブがいたね、恐れている少年。撫でてあげて。


 まぁ~……どれ一つまともに儲からないので複合した結果の場所だ。ただ相当儲かるは儲かるだろうな。

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