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 そうして歩いて行く。少し寒い山肌の露出した森を。

 空気はいたって新鮮で水分の多い気配。冷やされる感触、そうして同時に日に焼けていく臭いも立ち込め始めていて。

 二人して甘い――と言ってもそうでもないイチジクを頬張るの、あの農家さんは結構ふんぱつしてくれて、まぁ……、あのドワオジをぶっ飛ばしたからね。

 私が譲ると弟子くんが嬉しそうで、原種に近いから少し酸っぱいのだけれど。乾燥でないものは久しぶりだと弟子くんが言うから。そうなの、キミのとこ採れるんだ?と。


 でも、あの木にいた可愛い子リスは、あれはいつか魔物になるだなんてのは――。


「よし……――。そうじゃあ、君に試練だね……お弟子くん。あの魔物を倒して見せて」「はい師匠!」

 でも倒したら、難しい顔して魔物を調べる事が多くなった師匠。どうやら素材を取るらしいと。僕が倒した片っ端から何やら調べている、解体も自分でやってたりするし。血にまみれた手で。

 なんかド田舎の酪農家みたいだが白の美少女で、手先も細くて。でも楽しそうで何よりだな。


「おっと……。そう……、それでこれは恐らく巣まであるの。じゃあお弟子くん、追加のお仕事だねぇ――」「あぁ、良く分かるんですね師匠は。はいっ……、じゃあ行きましょう」「うん――」

 キラキラお目目のお弟子くん。彼の一番すごい所は命を顧みず戦えるその闘志。ダンジョンに怯えない事。顔に似合わずどんな戦いだって尻込みしない。

 そして師匠である私の話を静かによく聞く。珍しいなって。


「そう……、キミ、もしかして高名な人に弟子入りとかは一度くらいした?」「い、いいえ――」

 ふうん……。「そう……じゃあ、続きをね。人法に関してなのだけれど、なかなか良いかな、しっかりと使えてるね……。男の子は大体コッチが好きとは思うけど、君はそれでも十分だよ」

 霊長法とは肉体一つ、気合い一つで変わるんだ、変えていける。根性論や忍耐論にもなり易いがコレの発展形は更にスゴイのだ。だから気をつけねばならない波形。その彼の動きはどうも……。



「そう……じゃあもっと基礎の基礎をね、しっかりやるんだお弟子くん。腕立てに背筋、それにバランスボールを――」食事の時は少年を風船に乗っけておくから、これでかなり体幹がアップする。よくひっくり返ってスープをこぼすけど、まぁ良い。

 熱いならポーションがあるよというと、川に逃げていく。

 そしてその木の剣を抜いた師匠は。

「チュウの時間ですね、頼みます……、師匠!」

 だから言い方ね――。

 何度言っても聞かないお弟子くんに頭を抱えるから。君はそこかぁ~~……。


「そう……、良いよ? でももっとだね、もっとだよ。お弟子くんの力はもっと通用するから――」

 かつん……、かつかつん。

 剣に当てられるようになってきていた、剣の筋はまだまだだが、「はぁ……はぁ……、師匠、じゃあコレならば――」

 少し動きに緩急をつける様になって来たし、力はある。あとはその考え方に更に練磨を加えれるかだ。x+7ならそれほど疲れないし限界突破されてもたやすく受けれてやはり良いね。


「君の動きはまずまず。そう……、ソレはまずまずになってきてるの。じゃあもっとコツが必要なの」

 一撃を受けてうなずく。ちょっと心残りがあるにはあるけれど、それでも生き残るためには更なるチカラを。強い敵でも真っ向戦える力、簡単だが使いやすい人法を教えていく師匠の私。

 私は剣を避けた瞬間に指先へと集中、それは一瞬すらもいらない程の――。

「人法、力腕ちからかいな」「えっ――!?」

 剣の握りをほんの指先で引っかけられただけ、そのはずだった。だが回転、思いっきり地面に叩きつけられ、驚きと共に意味が分からないの顔。あまりの怪力に……。


「ムチャクチャ……、はぁ……はぁ……、こんなに差があるなんて。でもこれは絶対強化なんだよ……、自然法のハズです、絶対おかしいって――」「うん、そう……、そういうのもね、あるにはあるかなって……? でも違うんだよ、この子の用途は更に使いやすいからお弟子くん……?」

 でもそう言っても、師匠力を疑っているね。だけど違う。ちょっとからかいたくなる可愛さだけども。いつも隣にいるよ、自然の摂理に未知の現象とスキル、そうして師匠力。イイネ、並ぶと良いの。


 ただでももっと地味でとても簡単な仕組みなの、強化なんて高尚なのはいらないと。私は指先を見せて、「へぇぇ……すごいです。これだけでこんな、5本指と同じ力が出るんですか師匠、1本に集中――」

「そう……、そうなの。それでね、体術系の物はコレが多い、剣術や槍であっても使う人法だもの」

 ただこの上に辿りつくのが至難なのだが。しかもこれは一本にしちゃうと残り4本が当分は赤ちゃんレベルになってしまうよ。だが非常に使い勝手が良い……、色んな土台にもなれるし。


「そう、そうだよ。指が折られたりや咄嗟の緊急時にしっかり使えるように。ただし――。指の耐久値は一緒なの、あまり無茶はしないように」「はい――」

 すぐに覚えれた。彼は思った以上にスキル技を覚えるのが早い、それに――。

「あぁ~~、うーーん。でも師匠とまたチュウできなかったなぁ……」

 うんうん、私の心を揺さぶりに来るのはやめようね?

 剣をおいて少し焚火の前、ふと暇が。すると恥ずかし気だが彼は子供らしくて「あぁ、あの……。僕は頑張れているでしょうか、今までの師匠のお弟子さん達から見て僕は……」


「あぁ、そう……、私はね、弟子を比べないの。キミは多分、何か必死なんだろうけれどもね……。でも結構そういう子を見てきてるし」

 ぱち……、パチン。そうして命を振り絞ってても力が足りずに……。

「そう……、私も実は修業したから。それはギルドじゃなくて教会でね……? ウチの父が太い取引してるの、裏切られないしって」

「え? そうなんですか。年は実は変わらないのに師匠はやっぱりスゴイ、それはいつから――」「7歳からだったよ、だから焦らなくて良いの、知ってる……」

 弟子が何かを飲みこむ。まぁ実際、こんなの神童中の神童だろう。もう既に7歳でだって同い年の弟子を取ればレベル10。20歳児並の打撃を繰り出せるようになるのだ。

 その時のお弟子が順当にレベル4だったし、11レベルにもなるから。だから私はあの厳しい僧院でも戦力として扱われた。


「そう……、気に入られやすくてね……、すこぶる役に立つって。色々なダンジョンに一緒にお付きで潜ってたな、最初は弟子の為に、私も強くなりたくて――」

 限界を求めた、そこで色々な技術を教わった。やはりナマの戦いは全然違うから、自分は転生してて既に大人だ、そう思っていたし。でもむしろこの世界で一番鍛えられたのはそこだと思える。

「そう……、結構この世界の子はね、しっかりしてるんだよね……」


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