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「到着。とりあえずは2日という感じだったから、まぁまぁだったね。まぁ平坦だった」「はい……、はぁ……はぁ……そうで……しょうね。2日かぁ……」なんとかついたんだな。
ゴールした瞬間に疲れが襲ったかなと。
まぁモンスターに襲われる事6回。必死に一人で戦った弟子くん、お疲れ気味。デッカイのに襲われた時はどうなるかと思ったけど、まぁ良いでしょう。
そう……、それで私は実はね、あの大きい魔獣を飼いならそうとしてて。昔3匹ほど捕まえた事があったなーって……?
えぇぇ……本気ですかお師匠っ……。それで……ソレ、どうなったんでしょう!
あぁ甘露なり。あぁ~お山が美しいねぇ。
少年遊ぶ、村の中へと入って行くが、でもまぁ何も無いなと。
木でできた小屋すら少ないしワラばかり。
あとは中央広場に何故か石が積んである程度、持ち帰って下さいとばかりに。多少なりとも何かを作り上げようとした気配かな。そうして飽きてほっぽり出したのか。
あと広大な麦畑と、言ってた通りの果物とだね。
「そうでも一応ギルドがあるから……、しっかりと聞き込むべきだね。もし異変があればここだけに留まらない、山も伝うからね」
だから話はまた後でね。
それでだ、一応ココもさっさと終いにしたいかな、だって見られて敵わないかも――。
女の子なのにその背丈でビビられる事と、あと可愛いの一言であり男がわんさか寄って来る。村どころか町でもこんな感じだった、走って来るから。
普通に川で隔てられた20メートル先から木を伝って来るし、森から生えて来るくらいには寄って来る。川に落ちて助けを求めるのも作戦なのだ。
でも今は何はともあれ情報だし構いたくないし。そのまま入って行くギルド。
今でんぐり返ったのが見えたけどね、ばいばい。
「へぇ……そう、それで酒場と宿屋とパン屋とギルドの、その兼任、かな……?」中は薄暗いか。正直良い雰囲気では全くない。そしてカウンターへと、すぐにギルドカードを差し出した。
「仕事をお願い――」「お嬢ちゃんにはまだ早いよ……、何せまだ駆け出しFランクだろう。ウチはお守りをする気はねぇんだわ」
「あら……、なに、そう……なの? はぁ~………。アナタは無能なのかしら、それとも目も見えない田舎者なのかと――」
その挑発の言葉に、ギルドマスターの雰囲気が変わる。だがなんとなくだがこの街に良い依頼はなさそうな気がしたのだ、「まぁ、良いでしょう、へぇ……。じゃあ無能には用はないからね、仕方ないかな」行くよ、お弟子くん。
あっさりと出て行こうとする師匠。
だが弟子がおののいている、何せその剣を用意するギルマス、もう抜いた切っ先――「おぃ……っ、ちょっと待てや嬢ちゃん――。せっかく親切にしてやってそれはねえだろ、幾らギルドでもその態度はねえんだよっ、アタマ湧いてんのか――」
「そう……、だからなにかな? 私は実力があるんだから良いんだ――」
「あぁあの……っ、でも師匠。差し出がましいですが……、確かにその態度はいくら何でもぉ……。あの人が言ってる事が正しいと、僕らまだ駆け出し」
ですよねぇ……?
確か僕が聞いたのでは最初期のフェザー級、そう言うのでその私のギルド証を示すから、だが弟子には全然分からないかと、「あの……、いや、そうかもですけど。でもギルドにはきちんと手順があるんですよね、ランクを登るんだって……。冒険者には正式な検査があって大きな大会まである、勇者もそこで……」
中央認定テスト。そこで各国から集まった者たちが競って、厳正な試験があって、本当のランクと勇者が決まる。すごい大会だと聞いている。誰もが武勇を競う見世物としても最高の催しだ。世界各国の珍しい武器や技が、流派が、盛り上がる。
今まで仮ランクだったのもここで一気に確定するのだ、世界基準。誰も彼もが勇者となる事を目指している、相当な賞金も出るんだ。
ここで選ばれれば全てが変わるのも事実、才能を見出されればギルドマスターどころか貴族への道も夢じゃない。
そうだ、そんな大会誰が行くものかよと――。
「え………? あぁでも、勇者なんですよ ね? 僕も師匠もそれを目指す為になるんだ、だって……、やっぱり勇者はすごいから」
ギルドが、そうして人々が望むのは勇者。
それでわざわざ客寄せの為に王都まで歩いて行って、はい、組み合わせが悪いので1回戦負け。なんの価値もないランクは上がる。そんなの誰が喜ぶのかと。
「あぁ………、そう、良いかなお弟子くん? 私達はねぇ、殺し合いをしてるんだよ――?」
その言葉によく分からない様子の弟子くん「じゃあ例えばだ……? 強い強いドラゴンが発生、Aクラスの力があるけど生臭Dクラスで、それは今まで散々不利益こうむって来た男。お酒が飲みたくても飲めないのに、それにお願い助けて……と言ったら――?」
たくさんの人々が燃やされた。炭にされた。崩れた家の下敷きになって悶えている、子供はもうどこに行けば良いのか分からない。
必死によろめきながらも懸命に瓦礫から這い出て来た、それは妊婦。そこに炎がひと舐めし消えた―――。
目の前には体躯のケタが外れた龍体がある、鱗がびっしりと巻かれ、それに1擦りだけ……ほんの猫のように懐かれただけで人が擦り殺される。
事実抵抗すらできずに彼らの目の前には親が子が、隣の優しい兄貴分が、仲の良かった友達が無残になって終わっていってる。
今も過去も未来もが、ここにあったはずの現在までもが残忍に捕食され。
無力だ。
ふるさとの臭いが刻々と変わるけれど、どれもこれもヒトが嗅いで良い匂いじゃないよ。
その内臓が弾けて、美味そうにない所を吐き捨て。あぁもったいない、美味しい所しか食わないその――。
そうか、俺の最後はこんな臭いが……。
「いやでも……助けてって……はぁ……はぁ……、ド、ドラゴンは強いんですよね、貴族が怯える程に。軍隊が飲み込まれるって……。それに抗えるのに」
「そう。そうだ、でも言うに決まってる。そう 言うに決まってるんだよ」
ほくそ笑む笑顔。その笑顔におびえている。
この世界は死と向き合う世界なの……、こんな下らない記号では左右できない何かが発生する、湧いてきてしまう。
その何かとは唐突で無慈悲で無遠慮で……。
「悪魔は怖いよね、ホントに」
それは人間を率先して狙うという悪魔、その上位種たち。
血の駆け引きに悶え狂うヴァンパイアに、明日を閉ざす黒き浸霊たるドラゴン。タガが外れたヌロト、大地になってしまった老玄久童。鬼たるを万条させたる、果てなる天使まで――。
撃メツで激烈で激震の、マグニチュード10をたたき出す者達。人類をもてあそぶ魔王、必ず人でならば殺せる魔王も出現するというのだから恐ろしい。




