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「でもね……、そう――。 上位互換だけあってね、私は完全に上なんだよ。だけども更に問題はだお弟子くん、私は別人なんだって事をね……」
私の前じゃそのクセの強さだけが際立つなって――。
「こんな……――はぁ……はぁ……!? 師匠と僕がこんなに……っ、こんな訳が……」ぐぅう!?
剣筋のその限界を身を持って知っている動き、剣と剣が触れ合う事すら難しいと。
それは鮮烈で激震。見透かしたような動きに驚きを隠せないでいる、闇の中フェイント一つで空振りさせられ。
ざざ……、ザっ……さっきから木の葉を踏みしめる音だけが響く、全く剣がかち合わないから。かと言って攻撃が繰り出されてない訳ではなく、柄の部分で小突かれまくり……。
「あうぅ、なんで……こんなに飛んでくる、師匠がずっとずっと僕を小突いて」「そう……、私を女だと思ってるなら大間違いだ、迫力がないよ……お弟子くん。全てのキミの剣技には力がない――!」
自分という存在のスライド上位であり、かつ色々な経験を経たチカラが見せつける差、それはもう自信などはもちろんだが、その剣を握る意味の喪失すらも覚えさせる物。弟子の突進。でも木に引っかかった、いや、引っ掛けられた、見えてないのが分かってる、そこに3発。
奇抜な動きはしない、弟子の僕を跨いで飛ぶなんて奇怪はしないんだ。師匠は普通なんだよ。だけどでも闇に浸食されたらまともに打ち合う事さえできないんだ。
いや闇のせいじゃない……、正確過ぎる打撃、剣なんてあの人には正直いらない、全体を見透かされていると――。
「フフ……様子見てるの、止まってるじゃないの。それはね……伺ってるんじゃないよ弟子くん、止まってるんだという事を――」「うぅぅ……っ。師匠が、明らかにおかしい、大体こんな剣士いるのか、こんな化け物が――」
当然だよ……、お弟子くん。だって私はナイフの動きで戦っているもの、キミとはそれくらいに違いがあるって事。
迫力とはそれくらい大事なの、君のはもうすれ違いの、ゆっくりヌメリ斬り割き、わざと押し付けて腹を割いたよ。それが余裕の相手だと。
「あぁぁァ!?イッタい」「そう、君はね……、スキルを使って良いよ、お弟子くん? さぁ全ての技をこの師匠に来なさいな――」
少し迷っていたが、だがそれでもお弟子くんはスキル技を発動。あまりに惨めな負けを察したからだが、「それでなんで。なんで僕の全力が受けれるんだ、この……っ」
正に極上のナイファーの捌き、そして受け流せば密接距離で近づいてストーカーして来る、その影を斬りはらっても「ふっ! でやぁあ! コッチは攻撃力は十分にしたのに、迫力が……、迫力って、はぁ……はぁ……――」
振り払い後ろに飛んでも笑顔で、追っても来ずに、その目いっぱいの必殺さえ軽く流される。また引っ付かれる。柄でしばかれる。
「そう……、もっと早く、もっと力強くなるべき……。でもソレだけでも足りないかな、戦いの引き出しにおいて全てが低すぎるから――」
初めての一刀! でもなんとか組めて、そこから攻撃しても剣の穂先だけで読み抜かれてしまう。それは単調という事、振るってる途中で剣が止められた。
万歳だ、絶望の目。何も通じない。
感情をコントロールするのが視脳の学。視脳はそういう事にこそ役に立つんだ。
闇の中、恐怖させる程のナイファーが――。
「はぁ……、ふぅ~~……、、そう……圧勝だね? 一度目の稽古はこれで終わり。良い素振りだったと思う、お弟子くんは」「はぁ……はぁ……、はい―――」ぐす。
そしてレベルアップと同時に、私もレベルアップ。汗だくの弟子くんは終始剣を振り、ひたすらにかわされ続けた。
「そう……良い感じ、飲み込みは良いんだよお弟子くん、これなら退屈しないかなって……。キミは一生懸命さがあるねぇ」
私は逆に好印象。この世の中のは大体が不真面目なのだ。ヤル気がある、そう呼ばれるレベルは中2の冬に塾に通い始めるという程度でね……。
特に世界が開けない世の中、凝り固まった権力に仕事の少なさに町という閉塞感。そこで私が言っても素振りや走り込みはゼッタイにしない、それでも彼は――。
「素振りはし続けている、スキルも思った以上に真似が上手いしねぇ、だからこそこの先は自分で考えなきゃだよ」
だからそれで泣いちゃダメ――。
「ぐす……、うぅぅ。だって……、だって師匠が格好良いのに、はぁ……はぁ……僕があまりにもで」
その半泣きの少年の言葉に頭をかく。でも山は不動なのだ。そのまま立てない程に疲れ果てた弟子くんを置いてく。やはり師匠は颯爽としてないといけない。
だから唇をずっと凝視してたとか……、そんな事はないのだぞ。
「でも明日も僕は……、明日こそ僕は頑張りますから! だから師匠、よろしくお願いしますっ」「うん、当然だね。頑張って」
あぁ~……、明日もチュウを要求されるのか……。そうか……。心のこもったチュウ……。
――あれ……、心のこもったチュウって、どんなだっけ?
あぁ、えと、確か私のキスは数度で。なんだろう、自分のレベルに合わせた相手としか付き合ってなかった……。
えと、それも大人になってからで、私……、 そうだ私は本気でキスは確か、うーん、うーーん、うーーーーん。
キスでもマウント取れるだろうか―――。
あぁ!? いかんいかんっ。負ける訳がないんだ、だって師匠だからね―――――ッ!
その日から数日はうなされた。




