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「そうじゃあ、新人くん? チャンスはあと2回なったね、これが無理ならココでお別れだ――」

 えっ…… という顔。まさかの試験2連ちゃん。背中の少年を投げ放つ。

 だがむしろ師匠とは試練そのもの。生きるダンジョンと言える、人生ダンジョンだよ、師匠。


「そう、それで……、これからはしっかりと自分でダンジョン探索できるようになるべき。ポーションに小道具に、あと何よりもこれとコレ」

 これもこれもコレも、こういうのも必要だねぇ……。「うわ……うわわ、あの……っ、こんなたくさん。良いんですか、こんな装備までもらっちゃって……っ」

「当然だよ……、死なれては困るもの。あと明日はしっかりとした持ち物検査するからね」

 でもだ、別に売っても良いんだぞ……? ふふふ。

 夜の闇に放っておいて、師匠は一人で帰って行く。


 そうして明朝に2度目。かなり装備品に頼ってはいるが、なんとかかんとか進んでる。

「そう……、元々から力は強い方、だったら最初は重装備がお勧め。しっかりと一撃を決める、そうしてその懐までがレンスだよ。コレを覚えなさいね……」

「はいっ……、師匠!」

 焦る必要はないの。その言葉に弟子は必死に相手を叩きのめす、カウンターを狙って取りこぼしのない勝ちを重ねる。やはり見立て通りかな……、少々の痛みとかには慣れている様子で。

 重い鎧でスピード-5にして防御力+10、総合戦闘力がその攻撃力も合わせて+3くらいかな。+5は行って欲しいね。


 前回からの復習も兼ねているのである程度は進行しやすいが。でも思ったよりシャープ、十分だろう感覚。


 あぁうん、でもほら……。「はい、そうですね。真ん中は通らないんだ、はい――」

 そう言って凡ミスからの、逃げに転じている新人君。そこそこ大きな犬だがまぁ大丈夫だろう、治癒の薬は持ってきてるぞ。

「そう……、ジタバタしなかった。その罠も2度目は引っかからなかったね? ほらでもそっちは忘れてるから――」「ぐぅうう!?」

 本を片手に、弟子くんの様子を伺う。時折ポーションの脅しで。

 あの水飲み場は当然スルー、一体一体おびき寄せれる自身がないし。モンスターが水を飲み終えた気配を気にしながらも、しっかり早めに切り上げる。

 隠れるのはかなり得意、か。


 兜をおさえて音を消し、遠回りを選択し、「はぁ……はぁ……、でもこれくらい硬い装備なら、あのキノコオバケ5体も、アレも突破できるかもだ、でやぁあ!」

 装備による凹凸ができた事で一つの攻撃力アップだね、そうだぶちかまして切り開く。多対一、この程度ならば鎧の頑丈さで切り開いていく姿。


「そうそう……、でも防具に甘えてる間はね、私に甘えてるって思って。その防具の音は全部全部自分の弱さだよ――」「うぉおおお! 分かりましたっ、師匠!」

 へぇ……、それで、しっかりとスキルを覚えるんだ? このレベルで上出来かも――。

 その芽生えたスキルを見やる、もしかしたらスキルタイプの少年なのかもしれない。時折そういった亜種がいるな、これも育てる者の楽しみ。少し変わったスキルだった。

 もしかしたら職業が兼用で……一気に両方なのかもね? 攻撃力・開錠+2。あまり関連性がないと師匠でも思えたが。


「そう……、この子はどんな人間なんだろう、どんなに成長するんだろうか。楽しみ。初めてのスキルは記念だね」

 その本へと書きとめる、そして……。



「2度目。最終層まで案外辿りつけたのキミは――」「ふぅ……ふぅ……、おかげでなんとか。師匠ボク、最深部まで来たんですね――」

 あと少しだと、汗だくを撫でてやる。既に2階層と呼ばれる場所の前で攻略の終わりが待つ、そこには宝箱があってだ。

 見えた円形の石のドームを、その構えられてる扉を開けて入り地下に下がっていく必要。その途中で教えてあげる、その剣の握り方をね。波長を見ながら分かった動きのポイントを。

 ボスの話とか宝箱の話、何が入っているかはお楽しみで、ただココのは更に特別だと。


「そう……、知ってるかな? 言っただろうか、お弟子くん。ここのはレア箱なんだぞって」

「えっ、そうなんですか!? レ、レア箱ってかなり珍しいんじゃ、それ……確定って事ですか――!?」

 うなずく師匠、さすがにテンションが爆上がりで駆け出してしまう少年、「すごいすごい――。まだ一度もボク開けた事ないです。伝説になるほどの物もって言われてて、レアば」

 あぁぁ―――。

 そこで見た底は、あからさまにヤバい映像、素晴らしい程の大自然の息吹を感じる。捕食。5メートル級のカメレオンによるオークの捕食。


 それは、その大きな爬虫類は鼻にオルガンを2つ飼ってるみたいなカメレオン。鼻息と共に肉オルガンがうごめくの、そして唇がもっちもっち、もっちもっちと動くサマ。血。泣きそうな、苦し気な悲鳴。


「あれ……、あの……。どっちもなんか、強そう過ぎるんですけど。師匠、ドッチですか……、多分戦うんですよねぇ?」

「まぁそう、一応は――」剣を静かに、素早く抜き放つ。

 確かに躊躇するのも分かる。明らかに強い気配だもの、濃い魔力の臭いがするから。相当な歪みがもたらされていると。

 基本的に魔物は2種に分かれるから、魔がそこらに勝手に憑依するタイプと勝ち抜きタイプと。

「そう……、勝ち抜いたの、妙な野良がいたかしら、まぁ――。」そうねぇ……。

 強く握る剣。かなりの威圧力の、そのデカいカメレオンのような物がぐるりと巻き付いてブタの顔を横から食らうから。美味しいのかは分からないが非常にひつっこい唇が顔をつつく。

 ゆっくりと噛み砕かれるブタの顔。全く動けないのだ、力が違いすぎている。恐怖の表情。

 肉が裂ければ血が石へとかかり、びく、びくくっっと生体反応だけを残すのが見えた、ブタの口はもう引き裂かれている。

 そら、眉もズルルともげたぞ。


「そう……、じゃあ私があのデカぶつの気を引くからね? だからお弟子くんは隙を伺って欲しいの……」

「えっ、あ、本当に……行くんですか、師匠本当に……っ」「うん……、あのブタが栄養にならない内に――」

 ヤツには本当の歪みを感じるから。


 弟子の憂いを無視して一気に飛び降りていくの。魔物はほとんどが『歪み』を持つ、そしてそれがどんな歪みであれ一括りで魔物と称されるのは、それは食べた物を吸収して進化するという類似から。


 放っておけない、責任感の顔。

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