第13話:模試で撃沈!?勉強と実務のすきま
「……え、うそ……これ、私の点数?」
模試の結果用紙を見たカナは、しばらく言葉を失った。
全体の正答率――42%。
合格ラインとされる70%には遠く及ばない。
問題用紙には、見覚えのない制度名や、数字がずらりと並んでいた。
(こんなの、現場で一度も聞いたことない……)
手は動いていたはずなのに、頭は真っ白だった。
模試を受けたのは、地域のケアマネ受験対策講座の一環だった。
隣の席では、白衣姿の女性――看護師の吉岡ナツキが、スラスラとマークシートを埋めていた。
「……カナさん、どうだった?」
「正直……ボロボロだったよ」
「でも、実務経験ある分、現場対応はカナさんの方が断然上。
試験は“知識戦”だからね。知ってるか、知らないか。それだけ」
その言葉が、なぜか少し悔しかった。
(私は、毎日現場で利用者さんと向き合ってるのに。
それでも、“知らない”ってだけで、落とされるのか……)
その夜。
カナは、柴田先生に模試の結果を見せた。
「……落ち込みました。制度や数字、全然頭に入らなくて」
柴田先生は、にやりと笑った。
「ほんなら、ここが“本気の始まり”やな」
「え……?」
「悔しい、って思えたんやろ。それは“逃げたくない”って証拠や」
先生は、おもむろに本棚から過去問題集を取り出した。
「試験はな、実務とちゃう。あくまで“制度を知ってるか”を測るもんや。
でも合格したあとに、“実務とどうつなげるか”が、本当のケアマネの力量や」
カナは、帰り道のコンビニで新しいノートを買った。
表紙に小さく書いた。
「できなかった」は、成長の種。
知っていることが、支援を変える
今回は、模試でつまずいたカナが「知識と実務のすきま」に気づく回でした。
ケアマネ試験は“制度を知っているかどうか”を問う試験。
現場経験があっても、「用語が出てこない」「数字が覚えられない」という壁にぶつかることは珍しくありません。
でも、それは“現場が間違ってる”のではなく、
「制度を学ぶチャンス」だと捉え直せば、試験勉強も前向きになります。
大切なのは、“わからなかった”を“知りたい”に変えていくこと。
カナの挑戦も、ここからが本番です。
【今回の学びポイント】
ケアマネ試験は、介護保険制度・高齢者支援に関する知識を問う学科試験
実務経験だけではカバーできない“専門用語・統計・法律の知識”が求められる
出題傾向は「制度理解」「サービス体系」「法令」などが中心
過去問・模試・出題頻度の高いテーマを“繰り返し学習”することが合格の近道




