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微話  作者: 歌川 詩季
19/165

◇19◇独裁者にはなれない

 みっつの願いが叶っても、世界征服はいらないや。

 わがままです。

 自分勝手です。

 いやなやつ。


 自覚はあるんですが。


 それで。なんとかなったら、世の中みんないいやつ。みんな幸せですよね。

 いや、もうちょっと、ちゃんと、がんばれよ! とも思いますが。


 ごめんね。

 それでも、仲良くしてくれるひと、いつもありがとう。



 だけど、ほんっと世の中、ままならないですよ。

 大好きなあのひとと、いっしょにいたい!

 毎日、カレーライス食べたい!

 欲しい本とディスク、ぜんぶ欲しい!

 お風呂にペットボトルをもちこんで、バスタブで思うぞんぶん眠りたい!


 あ、ここまでくると、わがままというより、ただの、欲望の権化(ごんげ)だな(笑)



 私がもし、大魔王で。

 世界を征服した独裁者だったら。


 大好きなあのひとの、近所に住みます。

 毎日、カレーライスを食べます。あ、でも土曜日だけ、ハヤシライスにしよう!

 欲しい本と、ディスクの書斎だか、書庫だかをつくるし。

 脱衣所に、ちっちゃい冷蔵庫をつけて。お風呂にペットボトルをもちこんで。バスタブにつかるときに、冷蔵庫から、アイスモナカを出しますよ。お風呂でアイス! 食べ終わったら、好き歌を歌って。眠くなったら、好きなだけ眠ります。


 それが叶うなら、世界征服も、悪くないかも。

 ——いや、だめだ!


 きっと、書類にたくさんサインしなきゃいけないだろうし。

 午後からスピーチだとか、ビジネス誌の取材だとか、そんなのがはいるんだ。


 せっかく、大好きなあのひとの近所に住んだって。

 いっしょにご飯食べたいのに。お昼は移動の、機内食のカレーですませて。

 あのひとの誕生日には、秘書が花とケーキを贈っといてくれるんだ。

 書庫には、新しいマンガや、DVDが増えるけど。読む時間も、()てる時間もないから、移動中にCDを聴くだけ。

 お風呂で寝てると、やっぱり秘書から「30分後に、飛行機のお時間です」って。いい加減にして!


 やめた!

 独裁者なんて!

 やりたいことやれないし、なったっていいことなんかない!


 わがままで、自分勝手で、仕切り屋の私ですが(いやなやつ、がぬけてる)。

 それ以上に、わずらわしさを嫌うこの性格。

 独裁なんて、やっぱり、むいてないんですってば。

 いいよ、だったら、あなたが決めといて。丸投げします。

 だって、独裁なんて。



 めん「どくさい」(面倒くさい)だけですもん!

一、あのひとと、ふたりでごはん食べられる仲になりたい。

一、のら猫や、のら犬が、可哀想なことにならない世界にしてほしい。

一、死ぬまで、いっぱい泣ける心を無くさないでいたい。


 このくらいかな。


 ——もうちょっと、私利私欲にはしるかもしれない(笑)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 独裁者もいざなったら体制を維持するのは大変でしょうからね…。 (部下に任せきりでは実権を奪われるでしょうし) 私としてもめんどくさいと感じますね。
[一言] もっと、もっと、欲を描きましょう! 今日は、わたしカレーです。
[一言]  世界をもらってしまっては、管理が大変そうです。  手段はどうあれ人の上に立つのですもの。向き不向きがありますよね。  でも歌川先生なら。愛すべき人たらしだと私は思っているので、きっと周りが…
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