第7話 特殊なの?
学校での生活も徐々に落ち着き、寮生活にも慣れ始めた。
そんな頃、この世界にもスクールカーストがあることを知った。いろんな理由で序列が決まっていくものだと思うが、この国のそれは少し特殊で、このクラスの中ではほどんどが適性魔法で決まっていた。
王女ソフィ > 特異魔法 > 空間魔法 > 治癒魔法 > 属性魔法=強化魔法
ざっくりとこんな感じ。
まあ、アウストの話や、本屋の本の並びなんかで予想はしていたが。
みんな適性の授業がまだ始まっていないのにも関わらず、適性魔法についてや、家のことについて、噂話をしている。
それでも、このクラスでは、絶対的にソフィが一番。
王女様ということで、学校中の生徒、先生が知っている。顔が広いってレベルじゃない。俺以外のティラス中の人が知っているようだった。そりゃそうか。
「なあケイタ。俺らの扱いひどくないか」
「そうか? 気にしなければいいんじゃない。どんな適性でも優秀な魔法使いはいるわけだし」
ダレンが泣きそうな顔でこっちをみている。
「だってさ……」
「しょうがないだろ……。俺は強化、ダレンは属性。変えることはできないよ。」
「くそお、俺も特異魔法とか空間魔法が使えたらなー。絶対に見返してやる!」
俺は、特に他の適性魔法が使いたいとは思わなくなっていた。もちろんすごいに越したことはないが、みんなの魔法を早く見たい。かっこいい魔法を間近で見たい。そんな思いに変わっていた。
「ソフィはどんな魔法を使うんだろう……」
心の声が、口から出てたようだ。
「ケイタ、ソフィとは仲いいもんな。さぞかし、キラキラした魔法を使うんだろうな」
確かに、かなり特殊な魔法を使いそう。治癒魔法だけは似合わない。
「あら、あなた。もう歴史の宿題は提出したのかしら?」
噂をすれば、ソフィだ。俺のことをあなたと呼ぶのはソフィしかいない。
あれからソフィはなんだかんだ話をしにくる。
「俺とダレンはさっき出したよ。ソフィは?」
「てっきりまだだと思っていたわ。私もさっき提出したわよ。少し苦戦したけど」
俺的には、かなり簡単だったんだが。そんなことは言わないでおこう。
「ソフィはさ、なんの適性魔法が使えるの?」
ダレンが俺と話していた内容を、ソフィに馬鹿っぽく聞いてみる。
ダレンのこうやってグイグイと話せるところを尊敬している。
人の懐に入るのがうまく、人付き合いに慣れている。
「ダレンは属性魔法だったわね。私は特異魔法、とだけ言っておくわ」
「なんだよ。もったいぶらなくてもいいじゃんかよ」
「演習や実技試験でわかるんだし、いいじゃない」
なんだ、ダレンにも教えてくれないのか。
「あなたは……強化魔法らしいわね。実技試験が楽しみね」
ソフィが俺のほうを見て笑う
*
エルヴァ魔法学校では通常、座学と演習の授業があり、12月になると適性実技試験というものがある。年に2回ある期末試験みたいなものらしい。それぞれ生徒の適性に合わせて試験を組み立てる。でも1年次の最初の適性実技試験については、先生が生徒の適性を把握することが主題らしい。
生徒側はお披露目会みたいなものだから、みんなかなりうずうずしている。俺もそうだ。現役の魔法使いに見定めてもらえるんだ。みんな失敗はできない雰囲気で、コツコツ勉強しながら準備している。
そして1年後には魔法模擬戦が開催される。
1年生の中でチーム分けして、魔法の実戦形式の試合を行う。これが学年末試験みたいなものだ。1年間学習した魔法の知識を使って勝敗を競う。評価は勝敗と内容。
詳しい説明は魔法模擬戦の前にあると思うけど、上級生に知り合いのいるクラスメイトが、話を持って帰ってきては得意げに話している。
「まずは明日の演習から本格的に魔法を使う授業よ。頑張りましょう」
「あああ! 演習やだなー」
ダレンは本当に嫌そうな顔をしている。それを見てソフィは楽しそうだった。
明日から、いよいよ魔法を使った授業が始まる。
上級生になると、優秀な人でもこの学校をやめていく人が多いらしい。それほど、このエルヴァ魔法学校を卒業する自体が難しく、大変なんだろう。
徐々にアクション主体になってくるはず?です。
どうぞよろしくお願いします!