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第6話 初日

 みんなおのおの過ごしている。

 クラスメイトと話していたり。ひとり魔法書を読んでいたり。


「どんな先生かな…。めっちゃ美人だったらいいなあ。そう思うだろ?」

 

 男子の誰かが、遠くで話している。

 そりゃあ、美人のほうがいいに決まってる。


 教室の戸が開いた。書類を持っているのは、背の高い、黒髪、短髪。30代くらいの男の人だった。


「みんな席に着け」


 生徒が一斉に席に着く。女子がざわざわしている。


「担当のレイ・ダイクだ。私が、このクラスを受け持つことになった。よろしく」


『よろしくお願いします』


「今日から魔法を扱う授業が始まる。みんな、この学校生活を楽しもう」


『はい!』


「初めに……みんなはなぜ魔法を学びたいか、教えてくれるか?」


 教室中がざわざわとする。回答をしようとする生徒がいない。


「ケイタ・ブラン。君はどう思う?」


 しまった。視線を外していたがあたってしまった。


「えっと……魔法が好きだから……です」


 教室中に笑いが起こった。自分で言ってみたが、笑われると恥ずかしい。


「そうだな。私も魔法が好きだ。魔法を学ぶ理由は人の数だけある。でも、この魔法学校が魔法を学ばせている理由はなにか。その一つは、キメラ退治の優秀な魔法使いを育成することだ」


 レイ先生は続けて話す。


「キメラがどこから来たのかや何者なのか、正確にはわかっていない。ティラスの国王、そしてこの国の人々を守るためには、魔法で対抗することが必要なんだ。そのためにぜひみんなには魔法を使い、人々の力になってほしいと思う」


 レイ先生は静かな話し方だけど、熱がこもっていた。

 そのあと、自己紹介をして学校の事務的な説明が続いた。





 なんでもない入学初日。といくはずだったのに、厄介なやつに目をつけられてしまったのが悩みの種だ。

 聞くところによると彼女ソフィは、ティラスの王女様だというじゃないか。初めて会った時に機嫌を損ねてしまったらしく、俺にやたらと絡んでくる。変な人とは関わりたくなかったんだけど、それなりには対応している。


「ねえ。あなたって、魔法は使えるの?」


「なんでそんなこと聞くのさ。使えるよ……。一応」


「ふうん。そう。魔法を使えるようには見えなかったから……。一応……ね」


 こんな感じ。ソフィ・アスティン、嫌味なやつだ。

 まだ、授業も始まっていないのに。魔法の授業になったらぎゃふんと言わせてやる。ぎゃふんと言え!





「ケイタ。昨日のやつもう一回教えてくれ!」


 こいつは、寮部屋の相棒、ダレン・クランだ。坊主頭で小柄な、いいやつ。


「昨日の宿題の魔法陣か? あんなに教えたのに」


 紙に魔法陣を描き、魔法を発動すると、発動が正しくされているか記録される仕組みの宿題。簡単なテスト問題だ。

 正確な描きと、描き始めてからの時間、適切に発動させているかをみる。

 ダレンは、そもそも覚えようとしないからダメなんだよ。


「なあ、教科書見ながらやっても、全然発動しないんだよ」


 ダレンお前は、授業中の話と、昨日の俺の話を聞いていたか。


「教科書の例から少し変えてるって言ってただろ。ここの節を変えるんだよ」


 俺は、ダレンに答えを教えてやった。


「さっすが! 持つべきは友だな」


 調子がいいやつめ。

 ダレンは、属性魔法使いの両親に生まれたので、風の属性の魔法が使える。小さな頃から、見て覚えたらしく、座学がかなり苦手なようだ。


 この学校の授業は、座学と演習の2つ。

 俺たちが入学して、2日目からすぐに座学が始まった。

 今のところは、魔法を扱う心構えについてと、魔法の初期知識の授業。あとはティラスの歴史について。

 専門の先生の持ち回りで、いまだに担任のレイ先生にはホームルームで会うくらいだ。


 入学した生徒は、家が魔法使いの一家だったり、そうじゃなかったりするので、一様に受けるようカリキュラムされているが、魔法の初期知識や心構えについては、アウストから教わったものばかりだった。


 でも、ティラスの歴史については、初めて聞くことばかりだった。

 大昔からティラスにはキメラがいたこと、そして最近数が増えてきたことについては知っていた。

 でも、ティラスが鎖国的国家であることや、その理由については初耳だった。

 鎖国の理由はもっともで、キメラをこの国の外に出さないようにしている、ということだった。噂だと、キメラがいるのはティラスだけだというじゃないか。

 

 そんな感じで1週間、知っていることと知らないことをクラスメイトと一緒に教わった。


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