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第3話 適性

 その後も、毎日修業に明け暮れた。


 魔法陣を描かず、詠唱を行わないで使う魔法のことを、無陣無詠唱魔法というらしい。そして、アウストのような熟練の魔法使いは無陣無詠唱で高度な魔法を使うことが、一種のステータスになっているらしい。イメージを具現化する能力に長けているということだろう。

 同じように、俳句のほうも修業を重ねている。少しずつ形になってきているので楽しくて仕方がなかった。使うことはないかもしれないけど、日々成長している気がして毎日俳句を詠んでいる。アウストには川柳だと訂正されるけど。


 そして今日は、アウストから魔法の適性について教えてもらうことになっているのだ。

 初めて会ったあの日、魔法の適性について知ることができなかったから、すごくワクワクしている。初級の属性魔法については、適性がなくても自分のマナの大小に応じて発動することができるが、他にも魔法がいくつもあるのだ。


「今日は適性についてじゃな」


「ある程度、魔法が使えるようになったらって話だったからね」


「うむ。まずは、簡単な説明からじゃな。魔法には大きく分けて、5つの種類があるんじゃ……」


 アウストの言葉にも熱がこもる。

 要するに、魔法の種類は5つ。



『強化魔法』――人の体の一部や、持っているものなどを強化、能力向上させる魔法。


『属性魔法』――水、火、風、土の4つの変化を持つ魔法。適性のある変化が特に扱いやすい。


『治癒魔法』――傷を塞いだり、疲労を和らげるなどの、回復の魔法。


『空間魔法』――転移、転送、テレポートなど空間を操る魔法。


『特異魔法』――特異体質によって行える魔法。4つの属性魔法以外の属性を持つ魔法など、多種多様。



 こうやって聞くと、魔法は奥が深くていろんな種類がある。

 特異魔法については、新種の魔法や研究対象の魔法なども入るそうだ。レアな魔法ってことかな。





 アウストが適性を調べるため、魔法陣を床に描く。

 俺が見ただけでもかなり複雑だとわかる。いままで見た中で、描いている時間が一番長い。

 俺が描いたらいったいどのくらいかかってしまうのだろう。


「すまんの。適性魔法を調べるなんて久しぶりじゃから、時間がかかってしもうた」


 適性魔法を調べるなんてすぐにできると思っていた。

 手相を見て、はいっ属性魔法ね! ってな感じで。


「よし、ケイタよ。魔法陣の上に」


 ここに来たときと、同じ感覚。


「これは魔法を発動したときの癖を見る魔法じゃ。何が使えるか発動者にわかる」


「おっけ。」


 俺は、お得意の火の初級魔法を発動した。


「ふむふむ。なるほどな……」


 アウストはあご髭を撫でる。


「うむ、わかった! ケイタ、おまえさんは強化魔法じゃ」


「強化魔法! すごいの!?」


「至って普通」


 至って普通!! 俺の魔法、至って普通!!


「特殊性は無いだけで、使い勝手はいいんじゃぞ」


「ええ!? ちなみにアウストの適性は?」


「わしは空間魔法じゃ。特異魔法と同じくらい特殊じゃな」


 そうか、ここに転移したのは、アウストの属性が空間魔法だったからか。


「まあ、ティラスの魔法使いは属性魔法使いが多くて、次に強化魔法使いじゃな。それだけ見本が多いということじゃ。なにも肩を落とすことはないぞ」


「強化魔法でキメラって倒せるの?」


「魔法とは使い方次第じゃ。そしてケイタ、おまえさんには膨大なマナがある。必ずティラスを救ってくれるとわしは思っておるぞ」


 そう。俺がこの国に来たのはキメラを倒すため。魔法自体が強くないと、どうしようもない。話を聞くところ、どの適性魔法も全く使いようがない。というわけではなさそうだ。


「わしは、ここからの修業であまり力になれん。強化魔法を使うことができんからな。じゃが、この部屋には書物が揃っておる。助言ならいくらでもしてやるぞ」



 俺の魔法は強化魔法。何ができて何ができないのか、そして工夫が必要になってくる。小さな頃から夢見ていた魔法使いとは少し違うかもしれないけど、自分の魔法を見つけてみよう。





 強化魔法の本は、より専門的で高度なものだった。

 この魔法の対象になるのは、人の体か、物か、のどちらかだ。

 

 強化魔法の魔法書によると、本来持っている人の体や物の動きをよりスムーズにすることが基本で、そこに発動者のマナの力を使って一時的な能力向上を行う。だそうだ。

 意外と幅広い分野の魔法かもしれない。





 それからは、魔法書を読む作業に集中した。自分の魔法について理解を深めるため必死だった。アウストは強化魔法使いに教わることを勧めてきたが、俺にはそんな知り合いはいない。毎日、部屋に籠りっぱなしだったし。なにより、初めぐらいは自分で魔法を使えるようになりたかった。これからずっと使っていく魔法だしね。


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