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第17話 宮廷魔法使い

 数日後、宮廷内で宮廷魔法使いの新任式を行った。

 あれこれこの国の決まり事を、貴族や研究者、魔法に携わる大勢が見ている中でやる。なにか変なことしていないか心配が尽きなかった。


 そして正真正銘、宮廷魔法使いとなった。

 宮廷魔法使いとしての役割についてざっくり説明を受けたが、やってみなくちゃわからない。まずは魔法学校に行き、新校長へ今回の就任の報告と魔法学校の様子をみること。それからだ。


 校長には副校長のセコウド先生が暫定ではあるけれど就任していた。

 セコウド先生に魔法学校の失態だとすごく謝られた。

 魔法学校のせいでもなんでもない。ライラ校長、いやライラ・ミラーが単独で行ったことだ。


 久しぶりの3組。クラスメイトとは久しぶりに会う。

 暗いのかな。学校やめちゃった人いないかな。

 そんなことを思いながら教室に入る。


「ケイタ宮廷魔法使い就任おめでとう!」


 ダレンだ! みんなも思ったより明るい。よかった。


「ありがとう!」


「ねえねえ! 宮廷内ってやっぱりすごいの!? 楽しかった!? 緊張した!?」


「シルカ、会って早々質問が多すぎるわ。いろいろ疲れてるはずよ。そうでしょ?」


 ソフィが俺を見る。


「まあ……」


 笑って返すしかなかった。でも久しぶりの感覚。

 心配する必要はなかったようだ。


「レイ先生は?」


「病院にいるわ。安静にするよう言われているらしい」


「そう……」


 みんな心配そうだ。元気に振る舞ってはいるけど、やはりどこかに違和感みたいなものがあるのかもしれない。


「でもわけわからんよなー。クラスに宮廷魔法使いがいるって」


 ダレンの一言が暗い顔を吹き飛ばす。


「そうね。お手本が近くにいるっていうのは……」


「――よしてくれよ」


 それから数日、自習を行った。レイ先生は早く教職に復帰できるらしいので担任代行などは行わず、その代わりにセコウド先生がホームルームに来てくれた。





「みんな席に着けー」


「え!? レイ先生! もう大丈夫なんですか?」


「心配かけました。もう大丈夫」


 みんなの声色はなんだか明るい。

 レイ先生は大丈夫と言っているが、右腕がなく前までとはまるで別人に見えた。


「今日からは通常通り授業を行うのでそのつもりで!」


『はい!』


「では前回の続き、魔法書の……」


 今までの日常が戻ってきた。ここに来るきっかけになった女性はもういない。どこでなにをしているのか、この国の人は誰も知らない。あの日から俺を取り巻く状況が目まぐるしく変わった。俺と同じく学校のみんなも変わっていくのだろう。変わることを願っているのかもしれない。


 魔法を使いたい。

 ただそれだけのためにここに来たけど、ライラ・ミラーの話、国王の話を聞くとこの国と魔法は切っても切れない関係のようだ。いい意味でも悪い意味でも。宮廷魔法使いになった俺はそれとうまく付き合っていかなければならない。


 これからは、ただ憧れていた魔法だけではなく。

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