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第16話 宮廷にて

「ソフィ王女様、ケイタ・ブラン中へ」


 初めて宮廷を訪れた。

 宮廷魔法使いの反逆。これを最小限に抑えたと、俺とソフィは国王に呼ばれた。


「失礼します。」


「ケイタ・ブラン、ソフィ……今回は迷惑をかけたな」


「いいえ、父上。彼が私を助けてくれました」


「うむ。ケイタ・ブラン、よくやってくれた」


 かなり緊張する空間。宮廷魔法使いが6人。国王の側近が3人ほど。

 椅子に座っている国王は、白髪に白い髭を蓄えたダンディな感じの人だ。年齢は50前後といったところだろうか。


「とんでもございません、国王。ソフィ王女と魔法学校のクラスメイトのみんなのおかげです」


「本当にありがとう。ソフィも無事でよかった」


 国王は深々と頭を下げた。


「2人をここへ呼んだのは、ライラ・ミラーから聞いた話についての説明をしなければならないと思ったからだ」


『……』


「魔法自警団は犯罪者の戯言として扱っていたが、ライラ・ミラーの話したことはこの国の真実だ」


『えっ!?』


 俺とソフィは目が合った。





 国王から話が続いた。


 この国には昔から、ライラ校長の言った通り、複数の魔法使いの血を掛け合わせて、キメラと魔女の石が生まれていた。この国の住民には知らせず、ごく一部の魔法使いによって長年、この黒魔法を断絶させるため調査を行っていた。それが今の宮廷魔法使い。今まではキメラの数も少なかったけど、最近になって頻繁に見かけるようになったので、調査を強化しているところだったという。


「すべては魔法使いの欲望が生み出したもの」


 国王の言葉でソフィは悲しい顔になった。

 俺も信じたくはない。俺にとっての魔法は、素晴らしい、かっこいいものだから。


 話の隙間に、ある疑問を国王にぶつけてみた。

 ずっと気になっていたこと。


「国王! この国が鎖国的なのは、この話に何か関係がありますか?」


 学校の授業で鎖国の理由について、キメラを隣国に出さないため、迷惑をかけないためとなっていた。

 国王が、本当の理由は大きく2つあると話し始めた。


 1つは、この国があまり他国から好かれていないからだそうだ。現在、魔法を使う国家はこのティラス以外に確認されていない。それは他国が魔法使いを気味悪がり、自国の魔法使い――異端者――を排除したからというう。人にはマナが少なからず存在し、伝承しながら魔法は続いてきた。世界の各国は、伝承を絶ち、異端者を排除し、魔法使いが生まれないようにした。

 魔法使いのいるティラス全体を異端者の集まりとして考える人が多いのだろう。


 2つ目は、魔法を使う生活で事足りるからだ。他国は魔法がない分その他の部分で発展している。でもこの国には昔から魔法を守りながら生活してきたという自負があった。変わらない、変わりたくないという感情が働いているという。



「これがこの国の歴史だ」


 国王はゆっくりと息をする。


「ライラ・ミラーは現在も逃亡中だ。そしてライラ・ミラーの痕跡を探り、同じように黒魔法を使う者がいるか調査しなければならない」


「そうですね……」


 俺は相づちをうつのにやっとだった。


「そこでだな……。ケイタ・ブラン、君にはぜひ宮廷魔法使いになってもらいたい」


「えっ!? えーーーー!」


 俺が宮廷魔法使い? えーーー!


「国王! えっ!? 俺、魔法学校に入ったばっかりですよ?」


「君の優秀さは聞いている。ソフィにも危険が及ぶだろうし、近くに宮廷魔法使いがいるというのはいいことだと思うんだがな」


「父上、私も賛成です。彼の能力は宮廷魔法使いに値します」


 おいー! 他人事だと思って!


「ライラ・ミラーが抜けて一人分枠が空いたんだ。どうかな? 無理にとは言わないが……」


 国王の目がキラキラしている。無理に言っているんだろうな……。


「……わかりました。引き受けます」


 まだ宮廷内での機密事項だが、俺は最年少宮廷魔法使いになった。

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