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第14話 課外授業3

「2人とも待っていたわ。ソファにでも座って」


「冗談はなしよ。ライラ・ミラー、あなたの目的は?」


「ソフィ王女……。失礼。学校内ではソフィと呼ばなければならなかったわね。まあ、もうどちらでもいいわ。私にはもう……。関係のないこと……」


「ライラ校長、なぜあなたがキメラを使ってレイ先生を?」


「見定めをしたくてね。あなたたちの才能を」


「え!?」


 意外すぎる言葉。レイ先生に恨みをもっていたとか、誰でもいいから力を試したかった、ではなく。

 才能を見定める?


「なんでそんなこと……」


 俺と同じくソフィも驚き、そして呆れている。


「そうね……。どこから話しましょうか。キメラ辺りかしら。……あなたたちはこの国になぜキメラが存在するのかわかる?」


「そんなのどこにも記されていないわ。異国の地から流れ着いたんじゃないの?」


「大昔からいると言われているのに? この国の魔法使いが必死になっても減らないのはなぜ?」


「知らないわよ! 元々数が多かったんでしょ。これが今日の行動と、どう関係するのよ!」


 ソフィは熱くなるが、確かに俺も疑問だったこと。

 どこから来たのか、なんのために。


「ふふ、不正解よ。正解はこの国の魔法使いが作っているから」


『え?』


「永遠の命を得たい。大切な人を蘇らせたい。それらの願望から、大昔より仲間の魔法使いの血を使って黒魔法の実験が進んだ。そして出た答えは、より優秀な魔法使いの血。マナ、特異性、生まれ持った才能が実験を進めさせた。大切な人は戻っては来なかった。永遠の命も。けれど、これらと引き換えに実験体として使っていた動物をより凶暴にさせてしまったのよ。キメラの典型が2種以上の個体で成り立つのは、実験の賜物ね」


「そんな話信じれるわけないじゃない!」


 確かに簡単に信じることができるはずがない。


「ライラ校長、何か確証は?」


「これなんてどうかしら」


 ライラ校長は胸からネックレスを取り出した。赤い丸い石。

 宝石か?


「これは魔法使いの血から作った、魔女の石。」


 石が淡く光りだすと同時に、右の手のひらを俺の方に向ける。


 次の瞬間、氷の弓矢が俺の横をかすめ、壁に突き刺さる。

 ゾッとする感覚。

 死の恐怖からじゃない。




 空間魔法に氷の特異魔法。

 属性魔法以外に、2つの適性魔法を使うことのできる人間はいない。


 まさか。そんな……ありえない。


 レイラ校長は、間髪入れず火の弓矢を放つ。


「ケイタ、あなたはこっちのほうがよかったのかしら?」


 これは初めて会ったときに魔法使いが使っていたもの……。

 違う! 誰か違うって言ってくれ!





「この魔女の石は大昔から伝わる、魔法使いの血を使って固形化させたもの。魔法の伝承と同じね」


 ライラ校長が不気味に笑う。


「あなたたちは次の石の候補ってとこかしら」


「だから私を見定めていたってこと?」


「……そういうことね」


 俺が好きだった魔法っていうのはこんなものだったのか!?

 悪魔の実験、キメラ、魔女の石……。なんだかよくわかんねえな……。


「シャットアウト・ルーム。この部屋は外から助けが来ることもなければ、音や衝撃が漏れることもない」


 さっきまであったソファも本棚も机も一瞬で消えた。

 バリアで囲われたような壁と天井。場所はそのままで別空間のよう。これがライラ校長の能力か。


「さあ、さっきの続きを始めましょうか」 

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