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第13話 課外授業2

「課外授業? どこが!?」


 俺は、思わず言葉が出た。


「最悪の状況にどう対応するか。それが見たいかな?」


「そんなことよく言えるわね。人殺し!」


 ソフィがライラ校長をギラっと睨む。


「まだ、殺してないわ。 今から……そうなるのかもしれないわね」


 ライラ校長の隣に魔法陣。中から同じキメラが現れた。

 空間魔法? 空間魔法使いか。


「さあ、先生は見本を見せたわよ。全員でこの1匹を倒せるかしら?」


 ……いかれてやがる。なんで楽しんでいられるんだ。


「ボルティックスピア!」


 ソフィが一撃を見舞う。

 キメラの体をとらえたが、まだ致命傷ではない。


「グオオアアアアアア」


 ソフィの方に走っていく。


「……や、やめてっ」


 後退り。よろけて尻もちをつく。



「――危ないッ!」


 とっさに体が動いた。

 リミッター解除して勢いよく走りだし、体全体を硬化してキメラに体当たりした。


 まだキメラは起き上がれていない。


 俺たちにもできること。何か弱点は? 

 キメラに初めて会ったあの日、あの魔法使いはどうやってキメラを倒した?


 落ち着け、キメラの動き、体の特徴なにかあるはず……


 そうだ!


「ソフィ! 額だ! キメラの額を狙え!」


「で、でも……」


「早く!!」


 前にキメラを見たとき、魔法使いは額を一突きにしていた。



「ボ、ボルティックスピア!」


 紫の閃光がキメラに向けて放たれた。額をとらえた光。

 こんな状況でも一発で狙える技術。これがソフィ。

 

「グアアアアアア!」


 キメラは頭を抱えてのたうち回る。やっぱり弱点は額のようだ。

 弱り始めたキメラを火の属性魔法で燃やし続けた。あの日見たように、動かなくなるまで。


 ライラ校長は何も仕掛けてこない……。ただ観察しているような……。


「ソフィ、ケイタ大したものだわ。私の目に狂いはなかった」


「あなたいったい何者なの? なんで……」


「こんなことが起きたらこの国の魔法使いが黙っていないはずです。ライラ校長!」


「何者……。何者でもないかもしれないわね。」


 ライラ校長は静かにこう言った。


「あなたたち、2人は合格よ。後で校長室へ来なさい」


 ライラ校長はそう言うと、足元に魔法陣を浮かべそのまま消えた。





 ライラ校長が消えてから、なにもわからぬまま、3組は魔法模擬場に残された。


「いったい、なんだっていうのよ!」


 ソフィは憤りを隠そうとはしない。


「愚痴や、弱音は後だ」


 そう、まずはこの状況を理解して、事態を沈下しなければ……。


「シルカ! 君はレイ先生の傷の手当てを」


「は、はい!」


「他の治癒魔法が使える人もシルカを手伝って」


「……あと、ダレン、他の先生を呼んできて状況を伝えてくれ」


「お、おう!」



 俺はどうする。

 俺はどうしたい? 


「俺は……」


 ソフィを見た。

 ソフィは俺に訴えかけている。校長室に行かせてと。

 他の先生を呼んできたほうがいいに決まっている。


 でも……それでも、俺の心が、行けと叫んでいる。


「あとのみんなも自分に出来ることを!」




「ソフィ、校長室へ行こう!」


「もちろんよ!」


楽しんでいってください!

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