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第9話 図書館回

ほのぼの回です

 予想外の1日が終わり、それから俺はクラス中の好奇心の対象となっていた。

 レイ先生には、クラスメイトに属性魔法についての訓練の方法など教えてやってくれと言われている。担任でも教える限界があるそうで、近くにお手本がいるのはクラスメイトにとっても心強いと。


 なんだかもやもやした気持ちになっていた。魔法学校で教えることになるとは……。

 ダレンは俺の手柄だろ、と茶化してくる。

 ソフィはあまり今までと変わらず、話しかけてくる。


 一番びっくりしているのがスクールカーストだ。



 王女ソフィ=俺 > 特異魔法 > 空間魔法 > 治癒魔法 > 属性魔法=強化魔法



 体感だ。

 あくまでも俺の体感だけど、あの演習が終わった後はこんな感じになってる。たぶん、目まぐるしく序列は変わっていくんだろうな。

 演習がきっかけで、クラスメイトと話す機会が多くなった。他のクラスメイトとも魔法について話せるのはやっぱりうれしい。


「ねえねえー、ケイタ君! この学校、深夜まで図書館やってるんだってさー」


 この高い声の主は、シルカ・ラスフォード。

 茶色の切りそろえられた短い髪と、少年のような瞳が特徴的なクラスメイトの女の子。演習が終わってからよく雑談混じりに質問してくる。

 あと、胸が大きい。


「知ってるよ、まだ行けてないけど」


「なんだあ。知ってたのかー。ねえねえ、今度行ってみない?」


「いいけど、平日は時間ないかな。今週の休みとかは?」


「いいね、いいね! じゃあ約束ねー!」


「――聞き捨てならんな、その会話!」


 ダレン、お前は、どこからわいてきたんだ。


「まったくだわ」


 お前もだソフィ。





 なんだかんだあり、明後日、4人で図書館に行くことになった。

 この学校の図書館は、国の祝日以外は、ほとんどの日が深夜まで利用できるようになっている。学校の図書館ではあるけど、この国最大の魔法関連の図書館として、学校関係者以外にも開放している。国中の魔法使いや研究者が利用しているのだ。





 いつ見ても、でかい。

 学校の敷地内にある別棟の図書館。高さもさることながら、横に異様にでかい。この敷地にある建物はだいたいでかい。


「俺が一番か……」


 少し早く着いたようだ。ソフィは来ていると思ったけどなあ。


「あら、あなたが一番のようね」


 やっぱり、2人より早く来た。


「まあね。ソフィは図書館入ったことある?」


「入るのは初めて。でも、図書館の本はよく借りてきてもらって、家で読んでいたわ。」


 お手伝いさんにでも借りてきてもらったのかな。


「ごめーん、遅れた? 遅れてないよね? セーフ!」


 シルカが走ってこちらに向かってくる。独り言なのかどうかたまにわからないときがある。


「なんでダレンと一緒に来なかったの?」


「朝、用があるって先に出て行ったんだ。てっきり間に合うもんだと思ってた」


 ダレンとは朝から会っていない。どこ行ったんだろう。





「ダレン、来ないねえ。先に中入っちゃおっか」


「そうね。そのうち来るでしょう」

 

 2人が先に、図書館の入口へと歩いていく。


 シリカはソフィと自然と話す。俺やダレン以外の学校の生徒は、ソフィと話すとき、少しぎこちない。それはこの国の王女様だからだと思うが。

 俺はあまり気にしたことがなかった。まだ、少し変な人だと思ってはいるが。


 入口に入ると、顔見知りが立っていた。


「ようこそ、エルヴァ魔法学校中央図書館へ!」


「行きましょ」


 ソフィが無視して歩き出そうとする。俺とシルカも後に続く。


「待てーい! みんな図書館行ったことないっていうから、ダレン様が、朝早く起きて案内しようと準備してたんだよ」


「ダレン、本当に案内できるのか?」


「おうよ!」


 その後、ダレンの案内で図書館を見て回った。図書館の職員に聞いて本の場所を把握したらしい。


 この図書館には、魔法関連の本が、綺麗に整理されていた。天井が高く開放的で、本棚が等間隔に並んでいる。俺は授業で少し興味をもった、ティラスの歴史についての本を数冊借りた。

 

「あなた、歴史について興味があるの?」


「うん、この国が鎖国的って聞いたから」


「そう。この国は隣国や他国との交流をあまり持っていないようね。宮廷内でも聞かないわ」


 ソフィもこの話題について詳しくはないようだ。





「はい! ここで案内が最後になります! ここが出口。出口でもあり、入り口でもあります!!」


「そんなことわかってるわよ!」


 少しふざけたダレンを、ソフィが睨む。

 ダレンはすぐに視線を逸らした。


「ありがとダレン! いやあ、しっかし、図書館の中は広いねえ。もうヘトヘトだよ。」


「じゃあ、みんな帰ろうか」


 外は、暗くなる少し前。夕方6時前といったところか。

 ソフィとシルカの2人と別れ、俺とダレンは男子寮へ帰った。

 




「ダレン。なんで今日は図書館を案内しようと思ったの?」


「ん? 朝の気まぐれだよ」


 ダレンはやっぱり面白い!

 その日、ダレンはめちゃめちゃ早く就寝した。


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