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第0話 魔法使いとの出会い

 ヒーローになりたい。


 幼い頃、誰もがそんな夢を見るだろう。

 俺だってそうだ!


 かっこいい技のある剣使い。拳に自信のある武闘家。ゲームやアニメの中にはたくさんのヒーローが存在する。

 俺はそんなものにまるで興味がなかった。


 魔法使いこそが俺のヒーロー。


 魔法で炎をバーン! 氷をシャーン! そんでマントをファサー! 

 これこそロマンってやつじゃないか!


 本を読みながら魔法を操る。なんて知的なんだ。


 中学生の俺はまだ魔法使いになることを諦めていないのだ!

 いつかそのときが来るのを待ち、ファンタジーな関連書を読み漁っていた。


 いつものように部屋のベッドの上でくつろいでいると、ぱっと部屋の中が青く光った。


「なんだ!?」


 雷か? いや今日は雨も降ってなかったし、そんなわけないと思いながら部屋の中の光の正体を確認しようとした。

 ん? 今、咳払いが聞こえてような……。


「誰だ!?」


「お! 聞こえるようじゃの、大成功」


 部屋の中からおじいさんの声が聞こえるけど、誰もいない。どうなっているんだ!?


「君のいるところに魔法陣あるじゃろ? 結構おっきめのやつ」


「魔法陣?」


 聞き返しはしたが、かなり身近な言葉だ。

 腰を上げて確認すると、床に青い魔法陣がある。人が一人立てるぐらいの大きさだ。

 部屋が明るくなった理由はこの魔法陣だったようだ。


「あるけど……本当に魔法陣!?」


「そう。魔法陣もあるんじゃな、よっし」


 声の主は凄く喜んでいるようだった。


「さあ、君は何の魔法が得意なんじゃ?」


「え? 俺、魔法使えないんですけど」


「魔法が使えないじゃと!? そんなにも大きなマナを持っているのに?」


 将来、使えるようになる予定なんです。なんて思っていても言えなかった。


「他国の者は、魔法が使えないというのは本当だった……か」


「ちょっと、話がよく見えないんですが……」


「単刀直入に言おう。我が国、ティラスに来てキメラ退治を行ってはくれんか? 大昔からおったのじゃが、ここ最近になってキメラの数が多くなり、優秀な魔法使いが足りないと聞く。今は魔法を使えなくとも、ティラスに来ればいくらでも使えるようになるじゃろう、君のマナなら」


「――やります!」


 即答した。自分でもよくわからないけど。

 キメラ? マナ? 難しい話は置いといて魔法が使える。この事実だけで俺は有頂天になっていた。


「おお! そうかそうか。それは話が早い」


「……でもどうやってその国に行くの?」


「魔法陣があるじゃろ? その上に乗ってくれ。合図をくれれば転送してやるぞ」


 転送! 魔法っぽい。合図を送って早く魔法の国に行きたい。

 俺はベッドの上から魔法陣へ勢いよく飛び乗った。


「おっけいでーす!」


「じゃあ、いくぞ」


 一瞬にして部屋の中が青色の光に包まれた。

 俺は堪えきれずに目を閉じた。





 10秒、15秒といったところか。ワクワクしながら目を閉じていた。


「大成功じゃよ。さあ、目を開けて」


 おじいさんの声で目を開ける。ぼやけた視界がやんわりと元に戻っていく。

 おじいさんは、70歳くらいだろうか。青い目に、多くない髪と立派に蓄えた髭が金色だ。


 おじいさんの周りには、本や物が積んである。ここはとても古い家の中のようだ。


「初めまして。わしが君を呼んだ、アウスト・ブランじゃ」


「初めまして。俺は大橋圭太です」


「うむ。ケイタよ。君には魔法を使うためのセンスがある。そして、膨大な量の書物と、このわしがおる。ティラスを救うために魔法使いになってくれ」


 この日からケイタ・ブランと名前を変え、魔法の国の住人となった。

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