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1人にだけ恐怖の家

夜ご飯を食べ終え雄が部屋に戻った後茉奈と紗奈がミーティングをしていた。

そう。雄が家から出たくなる作戦を練っているのだ。

「次はこれで行こうと思うの」

茉奈が袋から取り出しテーブルに置いた。

紗奈はそれをまじまじと見つめギョッとした。

「うわぁ!!」

紗奈が叫び声をあげるが茉奈がシーッと指を一本立てて自分の唇にあてる。

「お姉ちゃん、これ本気?」

紗奈が珍しく引きつった顔をして茉奈に視線をやる。

「えぇ本気よ。雄が安全地帯だと思っている所に苦手な物が至る所にあるんだから外に出る以外の選択肢はないわ」

フフッっと不敵な笑みを浮かべる茉奈を見て紗奈は味方で良かったと心底思うのだった。

「さっ!早速仕掛けていきましょう!」

茉奈が号令をかけると紗奈が敬礼のポーズをした。



翌朝

いつもの様に紗奈が雄を起こしに行く。

コンコンコン

「兄ちゃん!ご飯だよー!」

「うーい」

珍しく起きていた雄は適当に返事をして出て来た。

「おはよー兄ちゃん!」

いつもの様に笑顔で挨拶する。

「あぁおはよー」

雄はあくびをしながら思った。笑っている時は本当に可愛らしくてまるで天使みたいだな。さぞかし学校でもモテるのだろう。紗奈に手を出す輩がいたら葬ってやる!とか考えていた。


この時すでに家の各所にトラップを仕掛けていた。

取り敢えず朝食が終わるまでは何も起きない。

わざと朝食が終わるまでは雄が気付かないようにセットしたのだ。なぜかと言うと茉奈に紗奈が「朝食食べないと死んじゃう!」と駄々をこねたからだ。茉奈は雄の行動パターンを熟知しているため、セッティングは容易だった。


そして雄は計画通りの行動をとる。

まずキッチンに向かい飲み物とお菓子を補充する。

ここで1つ目のトラップ。冷蔵庫の下辺りにセットしてある。そろそろかなと茉奈と紗奈が雄に目をやる。

……

………

「ゔあぁぁぁぁ〜〜〜〜〜!!!!!」

色んな物にぶつかりながら後ずさる雄。

予想以上にデカいリアクションに紗奈はもちろんポーカーフェイスの茉奈も吹き出しそうになり慌てて口元を押さえる。

「茉奈〜!!ごっごきゴキブリがいる!!こっちにくるぅぅ!!!」

茉奈も紗奈もオモチャが動くわけないだろ心の中で突っ込んだ。

「助けてぇー!!」と雄が茉奈と紗奈に助けを求める。

助けて欲しいのは茉奈と紗奈の方である。ワントラップ目でバレるワケに行かないので必死に笑いを堪えた。

茉奈がポーカーフェイスを発動。

「ゴキブリなんて何処にいるのよ。ウチでゴキブリなんて出たことないわよ?」

仕掛けた本人がよく言うと紗奈は思っていた。

「あっあそこ!冷蔵庫の下!!」

そこにいると必死に伝える雄。

「いないじゃない!」


「えっ?ホント?」

雄はもう居なくなったのかとホッとして茉奈に近づく。

「!?いるじゃぁ〜ん!!!」

慌てて下がる雄。

茉奈のポーカーフェイスが揺らぐ。紗奈はプルプル震えている。

「何処にもいないってば!!」


「いるんだってば!!」


そう。茉奈と紗奈にはトラップが見えないという設定。つまり雄にとっては虫の幽霊的なポジションになるだろう。

なんなんだ?と思いながら飲み物とお菓子の補充を諦めトイレに向かうがそれも計画通りである。雄はトイレに入る。そこには2つ目のトラップがある。

……

………

「ひやぁぁぁ〜〜〜〜!!!!」

女の子みたいな叫び声が茉奈と紗奈の耳に届いた。

茉奈は口を押さえたが堪えきれず吹き出し、紗奈は倒れ込み床をドンドン叩いている。


ガターン!!!

物凄い勢いでトイレのドアが開かれる。

茉奈と紗奈が慌てて整える。


「むっムカデがいた!!!ドアに!!デカイやつ!!!」

雄の喋り方が何故か片言になっている。

そして3人で一緒に見な行く。そして雄が「ほら!そこ!!」と言うが茉奈と紗奈には見えない。雄は混乱する。

「えっ?なんでだ?なんで僕にしか見えてないんだ。へっ虫のお化け?」

もう嫌だ!と雄は半泣きで自分の部屋に戻ろうとする。

ここがラストトラップである。20cmはあるリアルな巨大蜘蛛のフィギュアに糸をくくりつけ素早く引っ張り雄に向かってくるという仕掛けだ。雄がドアノブに手を掛け開けた瞬間に紗奈が糸を全力で引っ張る。

しかしここで予想外の出来事が起きた。雄が目元を押さえているため周りが見えていない。さらに左足に糸が引っかかり蜘蛛フィギュアが方向転換し、蜘蛛が雄について行く形で部屋の中に入りそのままドアが閉まってしまった。ある意味大成功であった。

……

………

…………

叫び声がない。茉奈と紗奈は顔を見合わせ雄の部屋を開けると倒れた雄の姿があった。

「雄ー?」

名前を呼びながら揺さぶってみた。

返事がない。ただの屍のようだ。

取り敢えず蜘蛛フィギュアを倒れている雄のお腹の上に置き茉奈と紗奈は手を合わせて拝んだ。


後から2人は思ったのだがこれって家じゃなくて部屋に引きこもるんじゃ?という疑惑がいまさら浮上したのだった。


前回までの恋愛もの?が落ち着いたので雄を家から出すぞ計画の話を書きました。

なんか計画よりも茉奈と紗奈が楽しんじゃってる感じになりましたねw

私もかなり楽しく書けました!

ここまで読んで下さったあなた!ありがとうございます♫次話もよろしくです(o^^o)

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