みんな笑顔で
リビングに正座する…いやさせられている2人とソファーに腰掛け腕を組み鬼のような形相をしている2人。
「これは一体どういうことか説明してもらいましょうか?」
「本当だよ!心配して帰って来たら兄ちゃんと莉緒ちゃんが…そのエッチなことを…」
「ちがっ!!!」
雄と莉緒が立ち上がり反論しようとしたが、あまりの威圧感に所定位置に戻った。
「さぁ最初から話してもらいましょう」
茉奈が説明するよう促す。
雄と莉緒が1から全て細かく説明した。
「そう。雄は莉緒ちゃんの裸を見たのね」
「兄ちゃんの変態!!」
「こんなに説明したのになんでそこしか抽出されてないんだよ!!」
「でも見たのよね?」
「はい…」
反論したくても怖くてできない。まさに蛇に睨まれた蛙状態だ。
「はぁ〜もういいわ。大体わかったから。莉緒ちゃんはただ雄が引きこもっているっていうのを聞いて心配で様子を見に来たってことよね?」
茉奈はざっくりまとめる。
「はい…」
莉緒は俯いて返事をする。
「なのに雄は莉緒ちゃんを家になかなか入れず、びしょ濡れにさせて、上手くシャワーを浴びさせ浴槽に侵入し、莉緒ちゃんの裸を見て足を滑らせ頭打って気絶して…」
「いやいや!なんで僕の方だけ邪悪に捏造されてんの!?それじゃあただの変態じゃん!」
「兄ちゃん、策士ね」
神妙な面持ちで口を押さえる紗奈。そして味方のはずの莉緒が引いている。それを見た雄はガクッとなる。
「まぁ冗談はさておき…」
冗談かよ!!と雄は心の中で突っ込む。
「莉緒ちゃん、雄のこと心配してくれてありがとう。」
やっと茉奈は笑顔に戻った。
「はい!!」
莉緒も笑顔で返事をした。雄は拗ねたような顔で頭を掻く。
「ところでさぁ…」
紗奈が突然切り出し、3人が紗奈の方を向く。
「莉緒ちゃんって兄ちゃんの事好きなの?」
3人が沈黙し、雄は明らかに目が泳いでいる。莉緒はというと真っ赤になり口をパクパクさせ、やっと声を出した。
「なっなっなななな何を言っているのかなー!?紗奈ちゃんはー!!私が雄ちゃんの事好きなわけないでしょ!」
そう言いながら雄の背中をバシバシ叩いている。雄は痛いのを堪えているようだ。
「ふーん、違うんだ〜。じゃあ…」
不意に紗奈は立ち上がり雄の横にちょこんと座る。
「紗奈が兄ちゃんもらおーっと!」
雄の右腕にしがみ付きギュッとする。呆気にとられる莉緒と茉奈。ハッ!となり莉緒は負けじと雄の左腕にしがみ付き雄の腕で綱引きが始まった。
「さすがに兄妹じゃまずいんじゃないかなー?」
「いやいや、最近じゃそういうのもありなんだよー!」
紗奈と莉緒で火花が散り、雄はおもちゃのぬいぐるみ扱いのようになっている。そこでSTOPがかかった。
「あなた達…いい加減にしないと…」
茉奈が再び鬼のようになっていた。
「すっすみませんでしたー!!!」
今度は3人で土下座をしたのだった。
その後は思い出話しに花を咲かせ、4人でワイワイ楽しい時間を過ごし、気付くと外は暗くなり始めていた。
莉緒が立ち上がり
「じゃあそろそろ私帰るね!」
「そうね。あんまり遅くなると危ないし」
茉奈が頬に手を当て少し寂しそうにしていた。
「はいはーい!莉緒ちゃん!紗奈が送ってってあげよっかー?」
紗奈が挙手しながから元気に言った。
「大丈夫だよ!ありがとね紗奈ちゃん」
「ぶー」
莉緒に断られると口をとんがらせていじけて見せた。
「じゃあ僕、見送って来るよ。玄関までだけどなっと」
言いながら立ち上がる雄を見て紗奈が私もー!と言ったが茉奈に止められた。
「じゃあ気を付けて帰ってね」
「またねー!」
茉奈と紗奈はリビングで見送りをした。
「今日はごめんね。色々迷惑かけちゃって」
莉緒が少し申し訳なさそうに謝った。
「別に。迷惑なんて思ってないよ。結果的に…その…楽しかったし」
雄は照れ臭そうに指先で頬を掻く。
「そっか!良かった」
少し間が空いて莉緒がまた話し出す。
「それとさ、私また近くに引っ越して来たんだ!」
「はっ!?」
雄は莉緒が何を言ってるかわからないと言った顔をしている。
「実は今回の親の転勤短期だったの。で、結局戻って来ちゃった」
莉緒が気まずそうにそう言うと、雄は苦笑いをして莉緒の頭に手を置く。
「バーカ…おかえり」
その言葉で莉緒の瞳は潤んで慌てて玄関の扉の方を向いて誤魔化す。
雄に背を向けたまま恐る恐る尋ねる。
「また遊びに来てもいいかな?」
「あぁいいよ。茉奈も紗奈も喜ぶし」
莉緒は雄に背中を向けたままだが笑顔なのが何となくわかる。
「最後に1つだけ!」
莉緒が後ろで手を組みクルッと雄の方に向き直し前屈みになって上目遣いで言った。
「紗奈ちゃんが言ってた事、違くないかも!じゃあ!!」
ガチャ!
タッタッタッタッ
莉緒は走り去ってしまった。雄はリアクション出来ず硬直していた。
翌日の夕方
「ジュースジュース〜」
雄は独り言を言いながらリビングのドアを開ける。
ガチャ
「よっ!雄ちゃん!お邪魔してるよー!」
そこには片手を上げて挨拶する莉緒が居た。
「おまっ何でいるんだよ!!」
雄があたふたしているのを見て莉緒が笑いながら答える。
「だって雄ちゃんがまた来ていいっていったんじゃん」
「言ったけど!スパンが早すぎるわ!昨日の今日だぞ!!」
「え〜だって〜」
雄と莉緒が文句を言い合い、その様子を見て茉奈と紗奈が笑う。
少し前の笑いの絶えない朝倉家に少し戻ったようだった。
これで6話ですね!!
読んで下さっている方はいるのだろうか(´-д-`)
自分で物語を書くのって不思議な感じがしますね。
何と言うか何もないところに魂を吹き込むような感じ?w
そんな私の子供達を見て笑ってくれたら嬉しいです♫
それではまた!
コメント、評価お待ちしております!