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vs.  作者: 燐音
【双炎の模擬試験】
1/3

vs.

ーー何も彼にはなかった。


相手を圧倒する力も、それを補う豊富な知識も、武器を扱う高度な技術も、ないに等しい。


得意なことがある訳でもないし、特殊な体質だったり、不思議な力を使えることもない。


今、彼の目の前には倒すべき敵がいる。


しかし、倒すことは彼には困難だ。


彼には何もないのだから。


相手との差は勿論、歴然である。


そんなことを彼は知っていた。


挑んでも、勝つことは容易くはない。



ーー ただそれでも、青年は戦っていた。



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