表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
望んだものはただひとつ  作者: 黒白 蒼翠
0 二度目の人生
3/3

0-3 生

はい。だいぶお待たせしました。どうにも書けなくて。それと、忙しかったもんで。読んでくれる人がどれだけいるかわかりませんが、不定期投稿でいかせていただきます。

 


「え?どこだよここ」


 先の見えない真っ暗な闇の中でひたすら歩き続けた。暖かいなにかに向かって歩き続けた。

 歩き続けたその先で目を開けるとそこは見たことのない場所で、さらに自分はベッドの上で寝ているようだった。


「ここは……?」

 自分は黒の広がる闇の中でひたすら歩いていたはずだ。ならどうしてベッドの上で寝ている?自分はあの時たしかに死んだはずだ。それに、いつもより少し声が高いような。君音キミトの頭に浮かぶのは現状への疑問だった。

 さらに、周りを見渡すと見えるのは木製の壁に本棚や椅子なんかの家具、燭台、扉その他いろいろだった。また、自分の服はどう見ても化学繊維には見えない布製の服。そんな状況は君音の疑問を増やすだけだった。



 コンコン

 そんなことを考えていると、扉をノックする音が聞こえた。返事をしようと思ったが、ノックをした相手は返事を待たずに扉を開けたようだ。


「おや、起きていたのかい」

 部屋に入ってきたのは日本人らしくはない顔立ちのおばあさんだった。

「あ、はい。えっと、ここは?」

「ここかい?ここはね、サノバという村にある私の家さ。ちょいと待ってな、じいさんを呼んでくるよ」

 そう言っておばあさんは部屋を出ていく。どうやらおじいさんを呼びに行くようだ。


 それにしてもサノバとはどこだろうか。そんな地名聞いたことないのだが、おばあさんの顔立ちから考えるに外国だろうか。ここはどこの国かというのも聞かないといけないな、とそこまで考えおばあさんたちを待った。


「おお、起きたか。それはよかった。わしの名はフリエン。ただのじじいじゃ。それで、お主の名前はなんという?」

 どうやらおじいさんはフリエンというらしい。やはり外国だろうか。

「えっと、君音と言います。」

「キミト?この変では聞かない名前だねぇ。あぁ、私の名前はエイラさ」

 おばあさんの名前はエイラか。名前もわかったことだし、さっきのことを聞いてみようか。

「あの、サノバって聞いたことないんですけどどこの国にあるんですか?」

「ここはイーラという国じゃ。サノバというのはキリドヘイムという国との国境近くの辺境にある村じゃ。わかるかの?」

 イーラ?キリドヘイム?聞いたことがないな。地球にそんな国はなかったと思うが。こっちがわからないのだから向こうに聞くしかない。

「いえ……。では、日本というところを知っていますか?」

 二人は目を合わせて無言で首を振る。

「そうですか……」

「お主はそのニホンというところから来たのかの?わしが発見したのはお主が湖の近くで倒れているところだったのじゃが」

 倒れていた?なぜ?

「恐らくそうなのですが、倒れていた?僕がですか?」

「あぁ、それをじいさんが見つけてうちに運んできたのさ。みたところ装備も持ち物もない10歳近くの子供が倒れていれば保護ぐらいするさ」

「10歳……?」

 震える声でそうつぶやく。どういうことだ?

「おや、違うのかい?」

「あ、あの!鏡か水とかないですか!?」

 自分の姿を確認しないといけないよな。

「あ、ああ。家のすぐ前にお主が倒れていた湖があるぞ」

「ありがとうございます!」

 そう言って急いで家を出て湖に近づく。湖面に映るのはなんと10歳くらいのころの蓮沼君音の姿だったのだ。

「ど、どういうことだよ……」

 若返った?なぜ?そんなことがありえるのか?

「どうしたんだい?」

 そう言っておばあさんが近づいてくる。

「あ、い、いえ。あの、10歳であってます」

「?そうかい。じゃあ家に入ろうか」

「はい……」

 おばあさんにそう促されて家に入る。



「それで、行くところはあるのかい?」

「いえ、それが特に」

 おじいさんの質問にそう答える。そう。行く場所なんてないのだ。初めて見る場所で行く宛なんてあるわけがなかった。

「じゃあここに住めばいいさね。行く宛もなく彷徨うよりここに住んだ方が安全だろう?」

 おばあさんはそんな魅力的な提案をしてくれる。

 思い出してみると、部屋にあったのは電球などではなく燭台。そして自分の服の素材。湖を見る時に見えた開発の進んでいない自然の風景。それらはどうにもここが現代ではないと知らせているようで。

 そんなわけのわからない世界でふらふらと生きるよりは2人に色々なことを聞きながら過ごした方がいいのだろうか。いや、きっとそれがいいのだろう。


「おじいさんとおばあさんがいいのであればそうしたいなと考えています」

「なら決まりじゃな。わしらには孫がいなくての。丁度いいわい」

「そうと決まればまずはキミト、敬語はやめて楽な態度になってくれると助かるね」

「あと、体も拭いた方がいいだろう。向こうに井戸から汲んだ水があるからそれで体を拭いてくるといいじゃろう」

「じゃあ私はご飯を作るとしようかね。キミトはずっと寝ていたわけだしたくさん食べてもらわないとね」


 話の展開が早く、ついていけなくなるキミト。ぼーっとしていると

「ほらキミトさっさと行ってきな」

とおばあさんの声が聞こえる。

「あ、はい!じゃなくて、うん!」






 どうやらこれからはフリエンじいさんとエイラばあさんと共に暮らしていくことになるらしい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ