0-2 歩
「くそっ！なんでだよ！なんで俺が死ななくちゃいけないんだよぉっ……！もっと生きたかった！もっと遊びたかった！なんで、なんで！父さん、母さんっ…。もっと一緒にいたかった、もっと喋りたかった！俺はっ！くそっ…くそっ！なんでっ、なんでだよぉ。なんで俺がっ……」
ひたすら泣いた。泣き続けた。涙なんてもう出ないんじゃないか、そう思うくらい。
悔やんだ。
怒った。
泣いた。
懐かしんだ
哀しんだ。
後悔した。
それでもまだ足りないほど泣いた。
涙が枯れたのだろうか。涙が止まった。それでも、胸の中には後悔と悲しみと怒りが渦巻いている。
それでも顔を上げた。どれだけ後悔しても、もう戻れないんだ。だから顔を上げた。
見渡すと何も無かった。何も無かったのだ。何も、いや『黒』という色のみが広がっていた。これが闇なのだろうか。
何も無い空間に独りでいる。
それを知ると今度は孤独感に苛まれる。立ち上がり、フラフラと歩き出す。
何も無い。地面すらない空間を歩く感覚。いつもは気になるであろうそれに興味を示さずにただひたすら前へと歩いた。
フラフラとゆっくりとそれでも顔を上げて前を向いて。
どれくらいあるいたのだろうか。不思議と肉体的には疲れていない。
疲れるほど歩いていないのかもしれない。目印も何も無い。光などあるはずのない場所でひたすら歩き続けた。
どんなに足を止めたくなってもひたすら歩いた。
先の見えない闇の中で何度も絶望した。
それでも前へ歩く。
歩く
歩く
歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩くあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくあるくアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクアルクあるクあるクあるクあるクアるくアるクアルクアルくアるクあるクアルクアルくアるくあルくあるクアるクあルくあるくアルクアルく
「疲れたよ、もう」
気が遠くなるほど歩いた。何も無いことに何度も絶望した。ずっとここにいないといけないのではないか。そう思った。これは罰なのかもしれない。そう思った。
それでも歩いた。何故？わからない。でも歩いてきた。
「え？なにこれ。あったかい…？」
自分の向く方向から暖かさを感じた。
陽だまりのような。そんな暖かさを。
また歩き始めた。前へと。暖かさへ向かって。
進む度に懐かしい気持ちになる。ふと頬に手を当てると手が濡れた。どうやら涙を流しているらしい。
その暖かさが欲しくなって歩いた。もしかしたら走っていたのかもしれない。
暖かさの先には光があった。存在しないと思っていた光が。優しい光だ。暖かく優しい包み込むような光。どこかで感じたことのあるようなそれに目を閉じる。
どれくらいそうしていただろうか。
目を開くとそこは闇が広がる世界ではなく、柔らかなベッドの上だった。
次転生です。でもまだ書けてないです。お待ちください。
