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▲歌姫アヴリール 共通①


『“――むかしむかし、路上で暮らす貧しい少女がおりました”“少女は汚れていましたが、美しい歌を歌います”“ある時、天から雨がふり汚れはたちまち落ちて、少女は美しい歌姫となりましたとさ”』


『アルリおねーちゃん続きは?』

『わからない。だって幸せな終わりだったから続きは要らないでしょ?』


私が望んだ夢物語、現実に帰れば虚しいだけだ。


『お姉ちゃん歌って~』

『はいはい』


期待せずに生きていれば些細なことでも幸せだと思える。


■■


「アルリ」

「はい陛下」


私を呼ぶのは先代皇帝の娘にして国一番の歌姫といわれた女帝スカーレッド。

一年前に私は彼女に歌を買われ、弟子として城へ住む事を許された。


「この先、私に何かあったら貴女はすぐに帝国から逃げなさい」

「は、はい」


よくわからないが、陛下の命令は絶対なので異論はない。


「ねーきいた!?プルテノの王子が結婚なさるんですって!」

「ショックだわ!」



「……ってことがあったの」


城のカウンセラーであるスヴェールニグは父は皇帝、母が平民ということから自国での立場がなく隣国ロスヤから渡来して宰相にまで上り詰めた実力者。


「いやはや、まるで災いを予見しているかのような発言だね」


彼は私と同じように陛下から直々に城に招待されているらしい。

そのことから二人きりの時は気軽に話すという約束を向こうからしてきた。


「そういえばスヴェールニグ、貴方ほどの方なら陛下の夫になれるでしょうに、どうして独身なの?」

「いきなり何ですか?」


なぜ結婚しないのか聞くと、らしくないほどに同様する。

彼は肌も白く金髪、恐らく母親が美人だったのだろう事が想像できる。


「ロスヤは男が少ないからモテるって聞くわ」


その国では寒いから強い酒を飲んで体を暖めているという話をきく。


「ロスヤの男が少ないという話はともかく、私はこちらに来てから酒より紅茶をよく飲みますね」


――モテるも何もロスヤにいないのだから関係なかった。

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