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【温泉】スキルが引き寄せレベル9999すぎたので女神になってトラブルを打破します  作者: あきかたりれお


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23話温泉転売ヤーシャルナ

「あの、これって……」


私は売り台の小瓶を一つ手に取る。


「おぅっオネーチャンお目が高いッスね!女神の泉、金貨5枚ッス!!」


「あの、開けてみてもいいですか?」


「ダメダメ!売り物なんだから!でもまぁ〜皆さんも見てみたいッスよね?!一個だけアタイが開けてみせるッス」


女は小瓶の一つを開けると平たい皿に移す。中身は精々50mLといったところか。ぼったくりもいいとこだ。


「ちょっと失礼……スキル【温泉鑑定】」


小さめに呟くと表示される青いウィンドゥ。そこにはしっかりと「炭酸水素塩泉」の表示が出ていた。間違いない、コイツ――


「温泉泥棒!」


思わず立ち上がってしまった。商品を興味深そうに見ていた人々も私の発言に首を傾げる。


「あぁ?!誰が泥棒だと!お前、アタイの商売を邪魔する気ッスね?!」


「違うよ!私のスキル【温泉鑑定】で見たから!これは女神の泉なんかじゃない、私の炭酸水素塩泉だよ!」


「はぁ?何意味わかんねぇこと言ってんスか?これ以上アタイの商売を妨害したらぶっ飛ばす!」


「商売邪魔してるのはそっちでしょ?!」


赤い瞳と睨み合う。普段から人と争わない質だが、今回ばかりは許せない。


私の温泉を盗むだけじゃなく、高額で人に売りつけようなんて……


「皆さんこれ女神の泉じゃないですから!私の温泉ですから、買っちゃダメですよ!」


「テメェ……いい度胸してるっスね……痛い目みせなきゃ、分かんないッスか?」


「な、ナツ!」


ラーウェルに肩を叩かれ後ろを振り返れば、そこには剣を構えた屈強な男が二人。一目で分かる。逃げなければ、と。


「あーあぁシャルナ様の邪魔ァする奴は死刑死刑!峰打ちにしてやるからオネンネしてなぁ!」


腕を捕まれ人混みから引っ張り出される。よろけた所へ、大ぶりの大剣。


回避、防御、反撃


何も出来ない。間に合わない――!


「ほんま……世話が焼ける店主じゃなっ!」


ガィンッ


鈍い音と共に大剣を弾いたのはリンファの大斧。リンファは弾いた衝撃で後ずさったステップのまま、私へと方向転換。私の腰を抱き、あっという間にバザールから逃げ仰せた。


「リンファッ」


「口とじぃ!舌噛むで!」


両手で口元を抑える。私の体を抱えながらもリンファの逃走スピードは凄まじい。


「待ちやがれ!」


相手も相当な護衛らしい。ラーウェルが援護射撃として水魔法を放つが、男たちはものともせず弾き飛ばす。


「チッこのままじゃ追いつかれるぞリンファ!」


「わかっておる!街さえ出ればソラかキラが異変を察して駆けつけてくるはずじゃが……そこまで逃げ切れるかどうか……」


「そんな……」


私が、私が何も考えずにとつっかかったせいで二人が――……いや……人のもの盗んで、転売する方が悪くない?


「絶対、許さない……」


リンファに抱えられたまま後ろを振り向く。


「ナツ?!じっとせんか!落ちるぞ!」


「こんな卑劣な泥棒に、絶対負けないんだから!スキル!酸性泉!!!」


掌が傷もうがお構いなし。掌からめいいっぱいの酸性泉を噴射。波状に広がった液体に、男達は警戒心から避ける。


「避けられた……っ」


「充分だぜ!ナツ!ウォーターショット!」


ラーウェルの口から放たれた大粒の水爆弾が男達を飲み込み弾き飛ばす。


かくして私達三人は不戦湯まで逃げ帰ることに成功した。


「ナツ様!どうされましたか?!」


「あ、あぁ……キラ、お、温泉泥棒が、私の温泉売りさばいてて……」


「なになにー?って、わぁナツちゃん!その手どうしたの?!」


「手?」


己の掌を見れば真っ赤に爛れている。今更になってヒリヒリと痛み出した。


「酸性泉思いっきり出したせいだぁ……痛ぁぃ〜」


「丁度いいじゃろう。わらわも重たい物をもって走りすぎた。汗を流したい。ナツ、硫黄温泉じゃ」


「しれっと重たいって言ったなぁ!」


◾︎◾︎◾︎


「たでーまぁ」


薄暗い部屋に響く挨拶。返事は無い。ただ一匹の猫だけが女の足元に体を擦り付けて絡みつく。


「よしよし、いい子にしてたッスかぁ?今日はがっぽり稼げたから、ネネにはまぐろを買ってきてやったッスよ〜」


「ほ〜う?俺には何買ってきてくれたんだよ?シャルナ」


「っ!……帰ってたのかよ……」


シャルナ、女のベッドに腰掛けていたのはガタイのいい男。足を組んで酒瓶を煽る。


「その言い草はねぇだろぉ?んで、儲かったなら寄越せよ」


「この間金は渡したばっかりッスよ?今日の売上はアタイの夢のために使うんッス」


「そぉんなこと言ってもいいのかぁ?シャルナ〜?」


男は立ち上がると酒瓶を片手にシャルナへとちかづく。シャルナよりも一回り大きく背の高い男に、シャルナの中に植え付けられたトラウマが叫び声を上げた。


「っ……こ、これを持ってとっとと酒でも買いにいけ!」


シャルナはポケットにしまいこんでいた札束を男に叩きつける。男は「初めからそうすりゃいいものを」そう高笑いしながら部屋を去る。


「クソ親父め……っクソ!畜生!」


拳を固く握りしめ、涙ぐむシャルナ。その足元を慰めるかのように黒猫が擦り寄る。シャルナは猫を抱き上げると深呼吸一つで涙を追いやった。


「まってるっスよネネ!アタイが女神の泉でいっぱい儲けて、世界一の料理屋を作ってみせるっス!」


にゃぉぅ


黒猫はゴロゴロと心地よさそうに喉を鳴らした。その背後で、老婆が羽織っていた小汚いローブが、静かに垂れ下がっていた。


◾︎◾︎◾︎


謎の老婆。温泉転売ヤーのシャルナ。シャルナを取り巻く環境。これらがナツ達とどう関わっていくのか……お楽しみに!












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