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【温泉】スキルでスローライフしていたら、冒険者と魔獣が押し寄せ、女神の泉扱いされるようになったんだが  作者: あきかたりれお


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17話トラブルは拳と温泉で解決!

銭湯メンバー達と共に外へ出てみれば、森から押し寄せてくる群衆達。遠目からでも殺気立って木々を蹴散らしながら向かってくるのが分かる。


「うわ……これヤバすぎるよ。逃げなくちゃ……ン?」


ふと群衆の先頭に見知った人物が。目を凝らして見れば――


「ねぇあれ、グライス君じゃない?」


群衆より少し離れた先頭を走る、茶色い髪の青年。


「ありゃま、ホントだねぇ。しかも誰か抱えてるよ〜?」


ソラは呑気に背伸びをする。

グライスが布団に包まれた少女を横抱きにして走っているではないか。私の頭は一つの仮説へと辿り着き、苦笑い。


「もしかしてあの群衆が殺気立ってるのって、私達にじゃなくてグライス君の方なんじゃ……」


「――い!――!」


「なんか叫んでるぞ?」


耳を澄ませる。


「おーい!助けてくれぇええ!」


スンッ――


全員が見事真顔になった瞬間だった。


「キラ、ソラ。あのクソガキ取り押さえて」


「承知」


「あいあいさー!」


グライスは双子勇者に羽交い締めにされ、あえなくお縄となった。グライスを殺気立って追いかけていたのは彼の村人と使用人達のようだ。


「やいグライス!ユラ様を攫うなんて血迷ったか?!」


「違ぇ!俺はユラの病気を治すためにここへ来たんだ!」


「ふざけんじゃないよ!病弱なユラ様の体に負荷をかけるなんて、殺しも同然さ!」


「やっぱりめかけの子がやることは違ぇなぁ……正妻の娘がそんなに憎いかよ?」


「テメェッ」


「はいはーい、動かないでねグラっち。それから皆さんも、その物騒なもんしまって下さいよ〜。できないって言うなら、僕とキラが不戦湯の敵と見なしお前ら全員叩きのめすぞ」


この二重人格め。無邪気な笑顔からの低めの脅しと殺気に群衆達はクワやカマを地面に落とす。流石Aランク冒険者だ。


「おぃソラ。不用意に脅すな。だいたい、このガキのことは俺も信用していない。最初からナツ様を騙す嘘かもしれん」


「俺っちが嘘なんかつくか!」


「まぁまぁ二人とも落ち着いて……まずは止めてくれてありがと。二人ともかっこよかった!」


「えへへ〜」


「こ、光栄です……」


「ナツ!俺っちはどうなってもいい!ユラを温泉に入れて、治してやってくれ!」


「テメェ!まだ言いやがるか!ユラ様をどうするつもりだこの悪童め!」


「あ……みなさ、やめてください」


グライスに運ばれていた少女がか細い声をあげる。黄土色の髪の毛をした少女は、小さく細い。


喘息って言ってたもんね……顔赤いし、熱もあるかな?


「私が兄様の話を聞いて、自らお願いしたのです……ですから、どうか……ケホッゲホゲホッ」


唐突に咳き込みだすユラ。顔を真っ赤にし、喉を抑えながら止まらない激しい咳。


発作だ!どうしよう。この世界に吸入薬なんて無いだろうし……


「ユラ様っ!……やはり無理やり外へ連れ出したから悪化したのよ!アンタのせいよ!」


メイド服の女が眉を吊り上げる。


妾の子って言ってたよね。ってことは血の繋がった兄妹じゃないんだ……あれだけ大金を持ってたこと。村人や使用人達から煙たがられていること。いろいろ聞きたいことはあるけどそれよりもまずは――


「スキル【温泉】!硫黄温泉!ラーちゃん!」


湯呑みを持ってきて!とお願いする前にラーウェルは湯呑みを手にして銭湯から出てくる。


「流石私の使い魔ちゃん!」


硫黄温泉を掬い上げ、ユラの前へと跪く。当然、村人達は私の肩を掴んで止めようとするわけで――


「おぃおぃテメェ!ユラ様に怪しい物を飲ませる気か?!」


「うるせぇ見とけ!ナツの温泉は本当に」


「グライス君。ダメだよ。そんな風に突っかかってたら信頼も味方も得られない。目を見て、キチンと話すの」


私はイカつい顔をした中年男性を真っ直ぐに見つめる。


「ユラちゃんを助けるために硫黄温泉を飲ませます。信じてください。これは、魔法の湯。温せ」


「ふざけんな馬鹿女がァ!テメェのよく分かんねぇ液体は毒に決まってるだろ毒にィ!」


近い、うるさい、過度な決めつけ。クレーマー三大原則、クリア。


「ふぅ……キラ、ソラ」


「はいはーい……なぁオッサン。黙って見とけよ。ナツちゃんが治すつってんだろォ?」


「次ナツ様に触れてみろ……その汚らしい腕、切り落としてやる」


右と左、それぞれに剣を構える双子勇者。放たれるドス黒いオーラに、クレーマーおじさんは呆気なく撃沈した。


「ね?言ったでしょ、グライス君!」


「……」


ドン引きしているグライスには構わず私は湯呑みをユラの口元へ。


「ユラちゃん、飲めそう?」


咳こみながらもユラは小さく頷く。そして少し落ち着いたタイミングで、硫黄温泉を口にしてくれた。村人達が固唾を飲んで見守る中、ユラの喉がゆっくりと嚥下えんげ


そして――


「咳が……止まってる。胸、苦しいのも無くなって、体が軽いっ!」


ユラが跳ね起き、軽いステップを踏んで一回転。


村人だけでなく、グライスもあんぐりと口を開けた。


どうよ!これが温泉の力なり!


◾︎◾︎◾︎


やっぱりクレーマーには強気でいくべきですね。怒鳴る奴は怒鳴られる覚悟を持っていただかないと。


次回、不戦湯、話題になっちゃいます!













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