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【温泉】スキルでスローライフしていたら、冒険者と魔獣が押し寄せ、女神の泉扱いされるようになったんだが  作者: あきかたりれお


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14話掛け湯掛け湯掛け湯

不戦湯のルールは三つ。


一つ、銭湯内で争わない。争った者、永久出禁とする。


二つ、温泉には掛け湯をしてから入ること


三つ、長湯厳禁(MP減)


銭湯は冒険者と魔獣たちで大盛り上がり!私は異世界での非日常を楽しんでいて――


「っていう感じになるはずだったんだよ」


「お、おぅ……」


「うぇ〜んどうしようラーちゃん!お客さん全然来ないよォ!」


私は静かな番台に突っ伏し、ラーウェルを抱きしめて嘆く。


「ぎゃっ鼻水着いてるからやめろナツゥ!」


「だって今日来た客と言えばゴブリンとゴブリンとゴブリンだよ!」


「キラとソラが追い払ってくれたし、まだ夕方だろォ?冒険者が疲れてやって来るならこれからだって」


「そっか!店の前で宣伝しよう!」


「お前ちゃんとしてるはずなのに時々致命的なミスするよな……」


私は呼び込みの為、銭湯の外へ飛び出した。

けれど待てども待てども。来るのはゴブリンばかり。ソラが何度も首を切り落とすせいで日が暮れ切る頃には見慣れた光景になってしまった。


「見慣れたく無かったけどね……」


「ナツちゃん大丈夫だよ〜また明日、きっと誰か来るって!」


「なんじゃ。わらわを買い出しに行かせたと思ったら、誰も来なかったのか?」


買い物袋を抱えたリンファからの鋭い一撃。


「ラーちゃんにせっかくここまで手伝って貰って、シュタインさんには投資までしてもらったのに……これじゃハズレスキル&大量の借金抱えた放浪者になっちゃう……」


「だ、だーいじょうぶだって!あ!ほらナツ!見てみろよ!森から誰か来るぞ!」


森に揺らぐ大きな、否、小さな――


ン?人影だと思うけど……なんか変だな。ぶらんぶらん揺れてるし、大きいような……


徐々に露になる全貌。まず見えたのは人影の正体。少年はグッタリと意識を失いぶら下がっている。酷い容態に心臓がキュッとした。


そして、その少年がぶら下がっていたのは獅子の体に鷲の羽が付いたバケモノの鋭い牙――


「またお前かぁ!!」


つい、全力のツッコミを入れてしまった。


「レオクシスさん!この人どうしたんですか?!」


「ふむ。これには深い事情があってだな」


レオクシスは少年の体をドサリ、地面へと降ろす。大きな外傷と言えば腕や足のかすり傷だろうか。


どんな事情があるかは今から聞くとするが、ロクな事情ではなさそうだ。


◾︎◾︎◾︎


~回想~


「今日も何かしら貢物持って行ってやるか。ナツが"銭湯"とやらを経営するとかでうるさいからな。おぃ、お前たちはどうする?」


「行かなーい」


「食べられないなら、意味、ない」


「これからボーイフレンドと会うの」


「そうか。ならば我だけで……何ィッボーイフレンドだとォオオッ?!」


妻に宥められ、レオクシスは渋々一匹にて貢物探しへ。

小さな滝の上に差し掛かった所、水浴びをしているキングボア(猪)が。


「ふむ。奴はAランク魔獣。手土産にすれば丁度いいだろう」


レオクシスは崖から飛び出すと落下と同時にキングボアを捩じ伏せた。


◾︎◾︎◾︎


「以上が深い事情だ」


「いやなんの説明にもなってないからね!キングボアを捩じ伏せただけでこの男の子がボロボロになる意味が分かんないよ」


私のツッコミの勢いにレオクシスはタジタジだ。


「こ、こやつがたまたま、キングボアと戦っていた最中だったらしく……その……」


「一緒に潰しちゃったわけだ」


「仕方ないだろう。わっぱが小さすぎるのが悪い」


「でも意外。ここに連れてきたってことは硫黄温泉に入れたいってことだよね?」


「あぁ。我は無差別に人を殺したりせん。後々討伐対象になるのも面倒だからな」


「とりあえず硫黄温泉かけてあげよっか」


「俺が運びます」


キラが少年を運び一同は男湯へ。流石に目覚めたら全裸だったは可哀想なので床に寝かせ、服の上から温泉を掛ける。


ポゥ


緑の光と共に少年の外傷が消えていく。


12歳くらいかな……?こんなに小さいのに冒険者なんだ……


「う……」


少年が身動ぎゆっくりと茶色瞳が開く。


「あ、良かった目が覚めた?」


「ここは……」


「ここは不戦湯。私のお店だよ」


「店……変わった箱を売ってる店なのか?」


「いや、これは温泉って言って――」


「あー!きっ貴様は俺っちの獲物を横取りした魔獣!」


少年は立ち上がると、大浴場に浸かっているレオクシスへと走り出す。


「ちょっ私の不戦湯は戦闘禁止……」


少年は高く飛び上がり優雅に温泉でくつろぐレオクシスに向け、背中から剣を抜こう――としかけたのだが。


「ハッ剣が、無いッ?!止まれな……わぁあああっ」


バシャーンッ


炭酸水素塩湯が飛び散り少年はレオクシスの真横に沈んだ。


「ぶはっ!アッチィ!熱湯か?!ッ……な、なんだ……?すげぇ、気持ちいい……この液体は、一体」


頬を赤らめ戦意を削がれたように脱力する少年。やはり温泉パワーは素晴らしい。

だが――


「掛け湯しろぉ!」


このガキ。私の不戦湯ルールを早くも二つ破りやがって!


初めてのお客から大波乱の予感――!




















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