12話商人はスピード感が命
不戦湯の設計図は、和を全面に打ちすデザインにした。どんな銭湯ができあがるかは後のお楽しみだ。
リンファに設計図を渡したところ「なんじゃこれは。お主は馬鹿か?」と悪態を突かれたが、なんだかんだと作業に取り掛かってくれた。
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私とラーウェルは不戦湯の商売許可を得るため商人ギルドを訪れた。
商人ギルドの受付嬢は咥え煙草で書類をチェック中。
話しかけにくいな……
「えっと、店を登録したいんですが」
「はぁ……ステータスウィンドウ見せて」
今ため息ついたなこの人
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拠点:ラザ国
所持金:銀貨4 金貨104
クリハラ ナツ(転生者)
Lv11
HP 500
MP 400
スキル
【温泉】Lv 4
【温泉鑑定】
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「……意味わかんねぇスキルだな?アンタこれで商売すんの?即赤字で借金抱えてぇわけ?」
「えっと……この【温泉】っていうのは浸かった方のレベルを上げたり状態異常を治したりできるスキルなんです」
「……それマジ?」
「マジ、です」
受付嬢はボリボリと頭をかいた後、煙草を灰皿へ潰し立ち上がった。
「こっち来な」
受付嬢に案内されたのは豪勢な部屋。高そうな赤紫の絨毯に、艶のある机と革製のソファ。一目で価値が分かる。
「そこ座ってろ」
促されるままにソファへ。静まり返った部屋とお高そうな壺や絵画たちに囲まれ落ち着かない。
「ねぇラーちゃん大丈夫かなぁ?もしかしてスキルを商売にするのって犯罪だった?」
「魔法を商売にしてる奴もいるから大丈夫た。だがナツ、今からおもしろいことがおこるぞ」
ニヤリと笑ってラーウェルはふんぞり返る。私は一抹の不安を抱えたままいずれ開くであろう扉を見つめた。
ガチャ
来たっ……
私は思わず立ち上がる。
「いや、そのままでいい。かけなさい」
「は、はい」
入ってきたのは口髭を蓄えた背の高い男性。右側だけをかきあげた髪型に、造形美と言わんばかりのジェントルマンだ。
ひょわああ……とんでもないイケオジが出てきた
「僕は商人ギルドマスターのシュタイン。ウチのアリスは鼻が利くんだ。特にお金の匂いに敏感でね。それで、稼げるのかい?その【温泉】という魔法のお湯は」
向かい側に座り、両手を組むシュタイン。グレーの鋭い瞳は「金儲け」という獲物を狙っている。私は生唾を飲み、拳を握りしめる。
「はい。稼げると思います。まず私のスキル【温泉】は今のところ二種類。レベル上げと治癒ですが、人が入ることでスキルアップし、他にも多くの湯が――」
「ストップ。長い」
プレゼン失敗?!
「スキル【温泉】。君はそれを誰に向けて売りたい?」
「冒険者と魔獣に……」
「そのためにどこに店を構える?」
「ラザ国と魔物の森の境目あたりに」
「グレイトだ。アリスの勘は素晴らしいね。君、名前はなんと言ったか」
「ナツです。こっちは使い魔のラーウェル」
「ナツ君。君の商売、僕が投資してあげよう」
「と、投資?!」
「投資額金貨1000万枚。護衛にAランクパーティ。いかがかな?」
は、破格すぎる……!
「ほ、ほんとにいいんですか?」
「あぁ。君の話からは儲かる匂いがしたからね。まぁまずはその【温泉】とやらを見せてもらってからだ。今すぐ見に行こう!」
「え?!今から?!まだ建物の骨組みもできてないと思いますよ?ここでも広げられますが……」
「否!"金は急げ"と言うし、現場を見てこそ君の収入を予測できるというものだ」
「はぁ」
「護衛を連れてくるから外で待っていてくれたまえ!」
シュタインは足取り軽くその場を離れていった。
「はぁあ〜」
「な?商人はおもしれぇだろ?」
「なんか一気にいろんなこと起こりすぎて追いつかないよ……商人って皆あんな感じなの?」
「ここはラザ国一の商人ギルド。しかも今のは"目利きのシュタイン"。
市場に限りがあって流行りを逃せばすぐ倒産。そんな競争率の高い市場で生き残ってきた最強の商人だぜ。こうなるかもって期待はしてたけど、ナツは運がいいな!」
「……いや、私じゃなくて温泉のおかげだよ」
ナツは自分の掌を見つめると、温泉がもたらしてくれたラッキを噛み締めるように握りしめた。
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シュタインと護衛勇者二人を連れてリンファの元へ戻る。
ん?リンファが誰かと喋ってる。冒険者かな……
グォンッ
風切り音とともに身の丈以上の大斧を振り回すリンファ。地面を砕き、飛び散る石礫。
「えっ、もしかして喧嘩?!」
「おぅナツ!それ以上寄るでないぞ。バケモノのお出ましじゃ 」
「ば、バケモノってこんなフィールドの入口に?!」
激しい地響きと共に森から飛び出てきたのは獅子の胴体に鷲の羽が生えた"バケモノ"に違いなかった――
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商人ギルドの受付嬢アリス
スキル【鑑定】持ち。
数多の商品を【鑑定】してきたため、価値や売れ行きへの予測が正確。シュタインから金儲け出来そうな案件を特別案内するよう頼まれている。




