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【温泉】スキルでスローライフしていたら、冒険者と魔獣が押し寄せ、女神の泉扱いされるようになったんだが  作者: あきかたりれお


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1話スキル【温泉】

ハズレスキルを引いたと思った。

【温泉】――戦えない、攻撃力ゼロ。

なのに後で知ることになる。

このスキルが、世界の常識を壊すことを。


◾︎◾︎◾︎


拝啓。転生しました。


異世界転生。剣と魔法。冒険者。

テンプレな単語が頭をよぎる。


「まずはスキル確認だよね。剣?魔法?それとも俺TUEEE系?」


胸元を押した瞬間、青い半透明の画面が浮かび上がった。


◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎


クリハラ ナツ

Lv 1

HP 100 / MP 100


スキル【温泉】Lv 1


◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎


「……温泉?」


目を擦ってもう一度見る。


「……温泉?!」


膝から崩れ落ち、頭を抱えた。


「戦えないじゃん!回復ですら怪しいじゃん!

温泉って!観光地かよ!!」


◾︎◾︎◾︎


その日は宿を取り、部屋に入るなりベッドに倒れ込んだ。


「落ち着こう。温泉……温泉……」


再びスキルを確認するが、詳細は表示されない。


「発動方法も不明?完全にハズレ……」


半ばヤケになり、ウエストポーチを漁った瞬間、今度は緑のウィンドウが現れた。


◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎


アイテムボックス

・石造りの浴槽

・回復ポーション×5


◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎


「……浴槽?」


タップすると、床から光が溢れ、

宿の一室に不釣り合いな石造りの浴槽が現れた。


「いや、なんで浴槽」


蛇口に触れた瞬間。


ドドドドド……。


「……え?」


湯が溢れ出した。


◾︎◾︎◾︎


湯気とともに立ち上る、懐かしい匂い。

手を浸せば、ちょうどいい熱さ。


『スキル【温泉鑑定】が解放されました』


頭に直接響く声と共に、青い画面が浮かぶ。


◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎


【温泉 Lv1】

炭酸水素塩を含む湯。

入浴者のHPを徐々に回復し、疲労を癒す


◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎


炭酸水素塩。

血行促進、美肌効果――美人の湯。


「……当たりじゃない?」


服を脱ぎ、恐る恐る湯に浸かる。


「あ゛〜……」


全身の力が抜け、

疲労が溶けるように消えていく。


「これは……確かに戦えないけど」


湯船に身を沈め、私は呟いた。


「温泉があれば、なんとかなる気がする」


こうして、

ハズレスキル【温泉】を手にした私の異世界生活が始まった。


――まだ、この温泉が

冒険者や魔獣を呼び寄せることも知らずに。



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