第55話 交差した2つの世界 トーキョー
アレリアは、ただひたすら、ドールを作り続けていた。
それからどれほどの時が経ったのか。
日なのか、月なのか、年なのか…あるいはもっと永いのか。
千体作れば、すべてがリセットされる。
そしてまた一体目からやり直し。
それを、
何度も、何度も、何度も
気の遠くなるほど繰り返していた。
「……ふう……これで、よいか?」
「ありがとうございます!!」
人々は変わらずそれだけ言うと、当然のように去っていく。
だが、アレリアはそれでも作る。
強靭な精神で、何千、何万というループに耐え続けていた。
ただひとつの目的のために。
マジェスタリアに、寄り添うために。
罵倒も、理不尽も、怒りも、哀しみも。
そのすべてを受け入れていた。
『……なんで……
なんで、精神が壊れないの……?』
『コイツは……
もう何万回もリセットしてるのに……なんで……!!』
アレリアの脳内にマジェスタリアの怒りが響く。
「君を理解したいからかな……。私は大丈夫だ」
『ぐ…うう…!!』
その時――
一人の少女がアレリアに声をかけた。
ふわふわとした服を身にまとい、
柔らかな笑みを浮かべた、優しい瞳の少女。
マジェスタリアの、数少ない友人だった。
「アレリア……大丈夫……?
もう無理しなくてもいいのよ?とても大変そう……」
(この子も……何度、声をかけてくれただろうか……)
アレリアは、静かに首を振る。
「心配はいらない。これは……私の仕事だ」
「……そう……?
でも、なにかあったら言ってね」
その言葉だけを残し、少女は去っていった。
やがて、家へと戻る本来のマジェスタリアの家に
「……マジェスタリア、どうした?」
『ううう……うるさい……』
『あいつ……いつも何もしらずに声かけやがって……
私の存在意義を、否定するつもりなの……?』
『これは……私にしかできないのよ……
私がやるしかないの……みんな、私に期待してた……
私がいないと、ダメだったのよ……』
その瞬間
アレリアは悟る。
精神の限界は、自分ではない。
マジェスタリアの方だったのだ、と。
「……最初は、君がなぜ助けを求められても応じないか……不思議だった」
静かに、だが確かに語りかける。
「だが……わかってきた気がする。
誰かに認められたくて……
特別でありたくて……
その立場にすがってしまったんだな」
『……ぐ……うう……』
「私も勇者として讃えられて……
誇りと同時に、特別であることに酔っていた部分があった。
疲れているのに、それに気づかないふりをする方が……楽だった」
少し、微笑む。
「だから……君の気持ちが、少しだけわかる」
『あああああああ!!!
うるさい!!だまれ!!』
叫びと共に
世界が、塗りつぶされる。
再び、完全なる暗黒空間へと引き戻される。
「……!? マジェスタリア!」
『だまれ……黙れぇぇ!!』
『お前を……
負の感情に染めて、取り込もうと思っていた……
だが……もういい!!』
空間そのものが、アレリアに押し寄せてくる。
『お前は、すでに私の中にいる……
このまま……存在ごと、消えろ……!!』
ズズズズズズ……
何もないはずの漆黒が、
まるで粘性のある液体のように、体を絡め取っていく。
感覚も、力も、意識も、吸い取られる。
「うおぉぉぉっ!!」
アレリアは叫び、ブレイブの魔法を解放する。
黄金の光が、闇を押し返す。
だが――
(くっ……!!さすがに内部じゃ……きついな……!!)
じわじわと、押し込まれていく。
『うぐぐ……!本当にしつこい奴……!!』
マジェスタリアの声も、どこか震えていた。
しかし、流石に
魔法の源を吸収したマジェスタリアは、格が違った。
徐々に、確実に、アレリアは追い詰められていく。
『……飲み込んでやる……!!お前を!!
お前さえいなければ……私は、復讐できる……!!』
闇が脈打つ。
まるで生き物のように、アレリアの身体を這い、絡みつき、侵食していく。
負の物質が、身体を…魔力を…心を…塗りつぶそうとしていた。
「ぐ……っ!!まだだ……!」
歯を食いしばり、必死に光を放つ。
だが、光はじわじわと喰われ、狭められていく。
『……本当に……面倒な奴……』
不気味な静けさを含んだ声。
『ならば、別の場所から確実に叩くまで……
トーキョーのドールたちを……こちらに呼び寄せる……!!』
場面は、急転する。
トーキョー
「アンガー☆ビーーーーム!!」
「ぎょえーーー!!」
怪人は派手に吹き飛び爆散。
チュドオオオォン!!
立ちのぼる黒煙の中で、つばきは荒い息を吐いた。
「はぁ……はぁ……
クナギ……!私は、いったい何体倒したのよ!?」
「現在、三十体です!」
「きぃぃー!!まだまだじゃない!!このぉ!!」
苛立ちを爆発させた、その瞬間。
「ひゃっはぁ!!隙あり!!」
背後から別の怪人が飛びかかる。
「うぉぉ!!」
ガキンッ!!
竹刀の音が鋭く響いた。
間一髪、陽翔が間に入り、怪人の牙を弾き返す。
「いてぇ!!このガキが!!」
「陽翔くんに触るなぁぁぁ!!アンガー☆ビーム!!」
「ぎゃあああ!!」
ドゴォォン!!
「あ……ありがとう……つばきちゃん……」
「ふぅ……怪我はないかな?陽翔くん」
「うん……こっちは大丈夫……
でも、もう何がなんだか……現実味がなくて……」
煙の向こうの街を見渡しながら、陽翔はぼやく。
「まぁ、色々あったからね……でも、陽翔くんは戦わなくていいの!私が守るもの!!」
「助かるよ……でも、なんとなくなんだけどさ」
「俺や街のみんなが……闇に呑まれて、悪夢を見ていた時……
つばきちゃんの声が、聞こえた気がしたんだ……強い声が
それで、目を覚ますことができた気がしてさ…」
「本当に……つばきちゃんのおかげだよ……」
「ええっ!?そ、そんな……!!……これは……チャンス……?」
「つばき様、現在も戦闘中ですぞ!」
「いいじゃないの!!ちょっとくらい!!」
そんな、ほんの一瞬の緩み。
その時だった。
ギュオオオォン……
「……な、なんだ!?」
怪人たちの身体が、糸に吊られるように宙へと浮き始めていた。
一体、また一体と、空へ………吸い上げられていく。
「怪人達が……空へ……!?」
「もう!!トーキョーを襲うなら襲う、帰るのなら帰る!
はっきりしなさいよ!!追うわよ、クナギ!!」
「はい……!」
つばきは地面を強く蹴ると、空へと舞い上がった。
空を裂き、闇へ向かって飛ぶ怪人たちの背を、一直線に追いかける。
「つばきちゃん!」
背後から、陽翔の声が響く。
「陽翔くん……大丈夫よ。
私たち……絶対に勝つんだから!」
振り返らず、それでもしっかりと届くように叫ぶ。
「うん!……信じてる!待ってるからね!」
一瞬だけ、口元が緩んだ。
「……ありがとう。
それから、アレリアと……ひよりを……必ず連れて帰るから……!」
「我々は、やりますぞ!」
クナギの声が重なり、二人の身体はさらに速度を増す。
ギュオオオォン――!!
雲を突き抜け、成層圏を越え、星々の海へと身を投げ出した。
ーーーー
宇宙空間・マジェスタリアジュピター周辺
巨大な惑星と融合したマジェスタリアの周囲に、黒いオーラが渦を巻き巨大な口は開いたままだった。
闇が、脈打っており今にも爆発しそうな雰囲気を漂っている。
その近くで、チュチュはただ、一人、浮かんでいた。
「あわわわわ……アレリア……大丈夫かなのだ……?」
心配そうに見つめ続けていた、その時。
ピコピコピコピコ!!
「ん……?こんな時に……?」
突然の怪人アラーム
「……え?」
無数の影が、闇の中から湧き出てくる。
トーキョーで見た怪人たちが、
黒い流れに乗って次々と現れるが数が、異常だった。
「……た、大量なのだ……!」
怪人たちが、チュチュの方を向く。
ぎょろり、と光る、無数の眼。
「わーーー!!!
大変なのだ!!ピンチなのだぁぁぁ!!」
怪人たちが、まるで主の元へ帰るかのように
マジェスタリアへと集まり、闇の渦の中へと吸い込まれていく。
次の瞬間…
「アンガー☆ブリザード!!」
つばきの杖から放たれた冷気が、宇宙空間を白く染めた。
パキィ……!!
パキパキパキパキッ――!!
怪人たちの体が一瞬で凍りつき、空間に静止する。
「この技……もしかして……」
「土壇場で成功してやったわ……
まだ倒してなかったの?まったく!!」
「つばきちゃんなのだ〜〜!!」
「チュチュ!無事か!?」
「クナギ!! 無事なのだ!
でも……アレリアがまだ、あの中に……」
チュチュの視線の先――
漆黒の惑星と化したマジェスタリア。
巨大な顔が歪み、ゆっくりとどんどん口を開く
中心には、光さえ吸い込むブラックホール。
「げぇ……!?あれがマジェスタリア??
もう惑星でしょ……!」
つばきが、きゅっと歯を噛みしめる。
「……アレリア、あの中にいるのね」
「そうなのだ……ひとりで、戦ってるのだ……」
「それなら…」
つばきは、チュチュの方を見る。
「アンタが行ってあげなさいよ。
アレリアの使い魔なんでしょ?」
「え……? そ、そうなのだけど……」
「一人で戦うのは、誰だってしんどいのよ。
……たとえ、勇者でもね」
「だからアンタは……
そろそろ、アレリアを助けてあげなさいよ」
親指で、自分の胸を指す。
「ここは――
アンガー☆ガールつばきに、任せなさい!」
「私もおりますぞ!」
クナギも、チュチュの背中をそっと押した。
「わ、わかったのだ……!!」
チュチュは深呼吸し、小さな体をまっすぐに伸ばす。
闇の中心ブラックホールへ向かって、まっすぐに飛び出した。
漆黒のホールが、大きく、口を開く。
ゴウゥゥゥゥ………
光が、希望が、音が……飲み込まれていく中で――
それでもチュチュの小さな光は、消えなかった。
「待っててなのだ……アレリア……!!」
そして、闇の奥へと消えていった。
マジェスタリア・ジュピター内部
終わりの見えない漆黒。
重力すら歪み、音も光も飲み込まれていく闇の海の中で、
アレリアの身体は、すでに半分以上が黒に沈んでいた。
腕も、脚も、感覚はほとんどない。
まるで存在そのものを溶かされているかのようだった。
それでも、かすかに声を絞り出す。
「……く……頼む……もう……苦しむな……マジェスタリア……」
『あと……少し…!
あと少しで、お前は完全に消滅する……!!
このまま……孤独に、消えろ……!!』
闇が笑う。
圧倒的な悪意と、歪んだ悲しみを宿した声が、頭の奥に直接響く。
アレリアのまぶたが、重く、落ちる。
(せめて……もっと……ゆっくり……話せていれば……)
(くそ……私の……実力不足だ……)
(君を……救いたかった……)
静かに、目を閉じた。
(………………)
「アレリア――――!!!!
助けにきたのだ!!」
光とともに、声が走る。
「……………」
薄れかけていた意識が、わずかに引き戻される。
「……!?……チュチュ!?
ば、馬鹿な……なぜ、ここに……!」
小さな身体で、闇をかき分けるようにして近づいてくる影。
使い魔のチュチュだった。
「一人で戦ったらだめなのだ!!」
『くそ……クソクソクソクソクソクソ!!!
こんな時に……!使い魔風情が……!!』
『しかし…チュチュ……お前に何ができる!!
お前に……何の力があると言う!!』
「うるさいのだ!!!」
チュチュは、震えながらも、アレリアの手をつかむ。
「アレリア……ありがとうなのだ……でも……
まだ、終わってないのだ……!」
アレリアは、かすかに首を振る。
「……チュチュ……感謝する……
だが……正直……もう限界だ……
君だけでも……早く、逃げろ……」
「だめなのだ!!最後に……あの呪文を、試すのだ!!」
「……あの呪文……?……エターナルの……あれか……?」
その瞬間――
失われていたはずの感覚が、少しだけ戻る。
冷え切っていたはずの指先に、かすかな温もり。
そして、確かな“重み”。
「……!?……聖剣が……反応した?」
虚空に埋もれていたはずの、ウィールの聖剣。
それが、淡く、しかし力強く光っていた。
「ウィール様の聖剣が…なぜ、ここで……」
剣を握る手に、力が戻る。
闇に沈んでいた心に、小さな火が灯る。
「……なるほどな……」
アレリアは、ゆっくりと笑った。
「……やってみる価値は、ありそうだ……」
そして、チュチュを見る。
「……チュチュ……やはり君は……優秀な使い魔だ……」
『エターナル……馬鹿め!!
あの呪文で、ひよりを戻すつもりか!?
ひよりが戻った程度で、どうにかなると思うな!!』
『いいだろう……!
やってみろ……見せてみろよ!!』
アレリアは、歯を食いしばりながら、
まとわりつく闇を力任せに引きはがす。
左手で聖剣の柄を掴み、 右手をそっと添える。
かすかに残っていた体温が、剣へと伝わる。
「いくぞ……チュチュ……」
掠れる声、それでも、芯は強い。
「ミラクル……エターナル……ラヴァーーーーッ!!」
―グワァッ!!!
純白の閃光が、闇の世界に爆ぜた。
それは、ただの光ではなかった。
今まで彼女が見てきた光ともまるで違う、異質な力…空間が歪む。
ギリギリギリッ……!!
宇宙が、折れ曲がる。
「ぐっ……!!初めての反応だ……!!」
「うう…苦しいのだ…!」
体が砕けそうになる。
血が逆流する感覚すらある。
それでも
「とてつもない……力だ……!!……だが……堪えろ……!!」
聖剣が、応えるように脈打つ。
「……意識……保て……!!」
次の瞬間。
ぱたりと重力の感覚が消えた。
そこは宇宙ではなかった。
上下も、距離も、概念すら存在しない
白く、静かで、何もない
無限の異次元空間。
「………ここは?…」
少し離れた場所に、人影があった。
同じように無限のエネルギーをまとい、 流れるような白い髪、 真紅の瞳、 その全身を黄金のオーラが包んでいる。
そして――
かつての戦友の白いフード。
ピンク色の衣装。
懐かしくて、遠い、それでいて確かな存在。
「……誰だ……?」
胸が、ざわつく。
(……君が……)
記憶が、重なる。
声にならない想いが、答えを導く。
「……ひより……なのか……?」
――グワァァアアアアア!!!!
視界がすべて白に染まり、
意識が、砕け散る――
――シュゥゥゥ……
その直後、嘘のように、光は消えた。
包み込んでいた闇も、霧散していく。
『ぐ……っ、馬鹿な……!!私の闇が…!
何が……起こった……!?』
再び、宇宙。
黒き惑星の中に
先ほどまで、半分が闇に飲まれていた姿は、もうない。
そこに現れたのは。
より長く、より艶やかな髪をなびかせ、 全身を神々しい黄金のオーラで包み、
魔法少女の衣は、 女神のドレスのように美しく変わり果てていた。
そして、その両肩には、
ゆっくりと、煌めく神聖な
二枚の翼 が広がる。
漆黒の宇宙すら、跪く輝き。
異次元の力を我が物とした
新たな、“勇者”。
『ぐぅぁ……なんてことだ……こんなこと……こんな…
転移の魔法ではなかったのか?!!』
漆黒の巨大意識が、動揺を露わにする。
「アレリア……神様みたいなのだ……」
少し離れた宇宙空間で、つばきとクナギも息をのんでいた。
「どうやら……本当に、成功したらしいですな……」
「え……あれ……アレリアなの……?……なんて……美しい……」
黄金の光をまとう姿は、もはや勇者という言葉すら超えている。女神のように、静かで、圧倒的な存在感。
その中心で、アレリアはゆっくりと聖剣を構えた。
翼が、静かに広がる。
その瞬間。
『このおおおおおお!!終わらせてやる!!
ディスペア……ブラック・ホール!!』
咆哮とともに、惑星そのものがうねり、押し寄せる。
すべてを呑み込む巨大な闇の渦。
空間が引き裂かれ、光さえも吸い込まれていく。
だが——
「………待たせたな、マジェスタリア……今、いく」
その声は、静かにささやく。
アレリアは、まっすぐに前を見据え、
聖剣を掲げる。
「ブレイブ……☆ エターナル」
グワァアアアアアア!!!
神話のような光が解き放たれた。
それは斬撃でも、爆発でもない。
ただ「浄化」するためだけの光。
触れた闇が、悲鳴も上げられず
静かに、静かに、溶けていく。
漆黒の惑星は、
内側から、崩れ、解かれ、消えていく。
『そん……な……!!なんて……エネルギー……!!』
声が弱々しく、細くなっていく。
『いやだ……こんな結末……!!
私は……悪くないのに……!!
なんで……こんな……』
『やだ……消えたくない……!!』
最後の、かすれた叫び。
『誰か……だれか……たすけて……!!』
――その時。
パシッ……
崩れゆく闇の中、
一筋の光が、かすかな手を掴んだ。
「……ようやく、君に触れられたな……よかった……」
アレリアは、優しく微笑んでいた。
その手は、温かい…久しぶりの人肌。
『あ……ああ……私……なんてことを』
『ごめんなさい…もう……ぐちゃぐちゃになってて
ごめんなさい…ごめんなさい……』
「大丈夫だ、マジェスタリア……時間はある……」
「今度こそ、話し合おう……」
「今は、ゆっくり休んでくれ……大丈夫だ……もう、苦しまなくていい」
その言葉に震え、そして静かに安らいだ。
マジェスタリアは、ゆっくりと目を閉じる。
まるで長い悪夢から、ようやく解放されるかのように。
次の瞬間。
漆黒に包まれていた惑星ドールは、ひび割れ、砕け、光へとほどけていく。
闇に沈められていた大地は元の色を取り戻し、
崩れ伏していた人々もまた、ゆっくりと息を吹き返す。
あちこちから、かすれた声が波のように広がっていった。
「……生きてる……?」
「空が……青い……」
そして、その中で
ひとりの魔法使いもまた、よろめきながら立ち上がる。
「助かった……のか……?」
信じられないというように、空を見上げる。
瞳には、驚愕と、安堵と、ほんのわずかな悔恨が滲んでいた。
風が、町をやさしく撫でていく。
かつての絶望が嘘のように、静寂が訪れる。
罪も、憎しみも、悲しみも――
すべてが溶け、流れ、消えていった。
――――――
トーキョーも漆黒だった空が、一瞬にして晴れわたる。
陽翔が、空を見上げる。
「……神様……?……いや……もしかして……」
空から、ゆっくりと降りてくる光。
それは翼を持つアレリアと、
その腕の中で眠る、少女の姿となったマジェスタリア。
そして、その後ろには――
チュチュ、つばき、クナギ。
光を舞わせながら、静かに舞い降りてくる。
「陽翔……ようやく、終わったぞ……君も、頑張ったんだな」
「あ……あ、アレリアさん……!
つばきちゃん!!チュチュ!!クナギ!!」
目に涙を浮かべながら、笑う。
「よかった……よかったよ……本当に……!!」
都市に、静かな平和が降りる。
戦いの痕は、まだ残っている。
けれど、空はもう、闇に染まることはなかった。
そして、誰もが理解する。
この世界は、救われたのだと。
静かに、新しい朝が、始まろうとしていた。




