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第15話 アレリアとつばきが同級生!?お戻りビームで少女化!


アレリアは、部屋の中央に静かに座していた。

目を閉じ、背筋を正し、ゆっくりと呼吸を整えている。


(あれから、解放と結界を試したが……やはり使えない。

ここの世界と魔力に原因があるのか?)


そんな彼女を、部屋の隅からじっと見つめる影。

つばきは壁に寄りかかり、頬杖をついていた。


「よく、そんなお坊さんみたいなことできるわね」


アレリアは目をパチリと開け、淡々と返す。


「こうしていると、思考が澄んでくる。つばきも試してみるか?」


「……いや、遠慮しておくわ」

軽く肩をすくめるつばき。


「ところで、なぜ最近はここにいるんだ?私といても退屈だろう」


「ここは私の家よ!私がどこにいたっていいじゃない!」


「それはそうだが……もっと年の近い人と会えばいい。陽翔とか、学校の友達とか」


陽翔の名を出された瞬間、つばきの目がパッと輝いた。


「あ、そうだ!クナギ!遊園地のイベント、明日だったわよね!?」


「はい、明日でございます」


「あああーー!急いで誘わなきゃ!早速メッセージを!」


慌ててスマホを取り出すつばき。

その姿を、アレリアは静かに見つめる。


(相変わらず、せっかちな子だな……)


メッセージを入力し「送信ボタン」の手前で、指がふるふると震える。


(陽翔くんと……デート……二人っきり……!わ、私が誘うのよ! で、でも……やっぱり二人きりは早い……?あわわわわ!)


つばきはじぃーーっと気まずそうにアレリアを見つめていた。


「…………?」


翌日。

快晴の空の下、遊園地の入り口にはカラフルな看板が立ち並び、ポップコーンやチュロスの香りが広がっていた。

待ち合わせ場所に立つ陽翔は、ラフながらもきちんとした服装で、落ち着いた雰囲気を漂わせていた。


「あ、つばきちゃんこっち!…アレリアさんも」


「陽翔くーん!♡今日楽しみましょう!」

つばきはスカートをひらめかせ、駆け寄る。


「なぜ私もいるんだ?」

アレリアが首を傾げると、つばきは慌てて胸を張った。


「せ、せっかくだから!遊園地のこと、いろいろ教えてあげるのよ! 感謝しなさい!」


「というわけで今日は皆でパーっと楽しみましょう!!」


陽翔はその勢いに思わず笑みをこぼす。


「なるほど。遊園地は大勢のほうが楽しいもんね。

誘ってくれてありがとう!」


「ほほほ〜!いいのよ!」


(うぅ……本当は二人っきりで誘いたかったのに〜…

肝心なところで、ダメダメだわ…私…)


人々の歓声にかき消されるように、その小さなため息は消えていった。


アレリアはつばきに導かれるまま、遊園地を存分に堪能していた。


観覧車、ゴンドラ、メリーゴーランド、そしてジェットコースタ。

いつもの怪人退治の疲労などどこかへ消え去り、ただ無邪気に笑い合う時間が続いた。


ただ一人、アレリアだけはずっと驚愕の表情を浮かべていた。


「……………!!」


その顔に思わずツッコミを入れるつばき。


「あんた、そんな顔できるのね…」


「す、凄い…!巨大な食器!精巧な馬の仕掛けの回るやつ!そして空を駆けるような浮遊感のあれ!なにもかもが凄いやつだ!」


「珍しくアレリアの語彙力がなくなってるのだ」


この世界の技術に少しずつ慣れていたアレリアだったが、遊園地の光景は別格だった。驚きの連発に、隣で陽翔が首をかしげる。


「アレリアさんの国には、こういう場所なかったんですか?」


「そうだな……そもそも娯楽施設自体が限られていた。老若男女が等しく楽しめるなど…信じられぬことだ」


「は、陽翔くん!そろそろご飯にしましょ!」


慌てて話を遮るつばき。


フードコート。

それぞれ好きなものを買い、集合場所に集まることにした。

だが案の定………。


「ホットドッグとやらを確保したはいいが、ここはどこだ?」


アレリアは迷子になっていた。複雑な施設に困惑する子供のように立ち尽くす彼女をつばきが発見する。


「あー…やっと見つけた。陽翔くん待たせてるから、さっさと行くわよ!」


「すまない、助かった」


そして二人が合流しようと歩き出した、その瞬間。


ピコピコピコピコ!


チュチュとクナギの胸元の宝石が眩しく光を放つ。

二人はすぐに目を合わせる。


「怪人の気配か……行くぞ、つばき!」


「わかってるわよ!私に命令しないで!!」


二人は息を合わせるように一歩前へ。

手を掲げ、決められたポーズと呪文を唱える。


「「変身!」」


光が広がり、衣装が舞い二人の姿は魔法少女へと

変わっていった。


「場所は、この遊園地でございます!」


フードコートに現れたのは、まるで赤ちゃんのおもちゃがそのまま巨大化したかのような怪人だった。

ビニール質の人形のような体、手にはカラカラと鳴る大きなガラガラを握りしめている。


「みなさ〜ん、お外の時間ですよ〜。いい子は遊びましょうね〜」


カラカラカラカラ


アレリアとつばきが駆けつけた時、そこはすでに異様な光景に包まれていた。


「うえーん!」 

「ママ〜!」

「僕どうなっちゃったの……?」


フードコートにいた人々は、

5歳から10歳ほどの子供の姿へと変えられていたのだ。


状況を飲み込めないアレリア。

「これは……怪人の魔術なのか?」


「皆が子供にされてしまったのだ!」


「お〜ほほほ!私の名前はベビリオン!皆さんを、もっともっと可愛い子供にしちゃいますよ〜!」


「私の名前はアレリ――」

 

「あーーー!!あああ、ア、アレリア……!あの子……まさか……」


アレリアの自己紹介を遮り、つばきが震える指で指し示す。

その先にいたのは幼い姿に変わってしまった陽翔だった。


「うえーん……!」


「そ、そんな……!陽翔くんが!」

(でも…子供になった陽翔くんかわいい…!)


ベビリオンは手にした巨大なガラガラを振りかざし、そこから眩いビームを放った。


「避けろっ!」


アレリアとつばきは咄嗟に飛び退き、光線を回避する。


「なるほど。あれに触れれば、子供の姿になるということか」


「おほほ〜!正解ですわぁ!一度当たれば5歳若返るのよ!」



(まずい……つばき様が怒っていない。

子供になった陽翔殿に、見惚れてしまっている)


動きが悪いつばきに、アレリアが一喝した。


「つばき! 戦いに集中だ!」


「っ……!!わ、わかってるわよ!」


だがアレリアは疑念を抱く。

(つばきの様子がおかしい……陽翔が被害に遭っているというのに……)


疑念を残しつつも、アレリアは戦い続ける。

その隙に、つばきは陽翔のもとへ駆け寄った。


「あっ、つばきちゃんだ!わ〜い!」

小さな手を一生懸命に振る、5歳の陽翔。


「へへ……つばきお姉ちゃんだよ〜。陽翔くん、かわいいね〜」


「つ、つばき様!ここは危険ですぞ!早く陽翔殿を避難させてください!」


「えっ……あ、そ、そうね!でも、もうちょっとだけ……」


そんなやりとりの最中、ベビリオンが気づいた。


「おほほほ!チャ〜ンス!お戻りビームっ!」


カラカラから放たれた光線が、つばきへ迫る。

回避のタイミングを完全に失った。


「しまっ――!」


ビビビッ!!


直後、アレリアが飛び込み、つばきと陽翔の前に立ちふさがる。


「つばき!私は大丈夫だ……!今のうちに陽翔を……頼む!」


「アレリアー!やめるのだ!」


チュチュの心配を気にせず

アレリアの体を、ビームが容赦なく包んでいく。


「ごめんなさい…!」


自分の不甲斐なさを噛みしめながら、つばきは陽翔を抱え、その場から必死に離脱した。


「おほほ!子供はみんな純粋でかわいいもの…」


余裕を見せていたベビリオンに、突如として

剣が振り下ろされる。


「おわーーっ!?あぶない!」


慌てて飛び退くベビリオン。

目の前に立っていたのは、少女の姿をしたアレリアだった。


「クソ……動きは鈍ったと思ったのに。見た目に反して素早いのか、それとも私が弱体化してるのか……」


「さっき一度で5歳って言ったな。浴び続けた私は10歳ほど戻ったとして……今は15歳、か。問題ないな」


そう言い放つアレリア。姿は少女に戻っているが、

眼差しと構えは勇者のままだ。

皮肉にも、その姿は魔法少女の衣装に見事に馴染んでいた。


(……似合ってる、なんて口にしたら殺されるのだ……!)

チュチュは心の中だけで呟く。


「15歳!?25歳のアンタがなんで魔法少女になれるのよ!

コスプレもいいとこだわ!」

ベビリオンがいちゃもんをつける。


「なら、今は丁度いいな」


「ぐっ……!」


その時、つばきが駆け戻ってくる。

「アンガー☆ガールつばき、参上!覚悟しなさい!」


「やっと戦闘に集中できそうだな」

アレリアは息を整える。


つばきは一瞬アレリアの姿を見て言葉を失う。

「……アレリア、その姿……やっぱり私のせいで……」


「つばき、大丈夫だ。私はこの年ではもう前線で戦っていた」


「そ、そうなの…」


「それに君と同い年になって、肩を並べられる気がする。

頼むぞ」


「 言われなくてもやってやるわよ! アンガー☆ビーム!」


つばきが戦意を取り戻し、再びビームを放つ。だがベビリオンは軽々と身を翻し、攻撃をかわす。


アレリアは思考を巡らせる。

(もう一度接近したいところだが、能力が未知数だ…私も遠距離の魔術が使えれば…)


「チュチュ!ひよりはどんな技を使っていた?」


「ラブリー☆ビームとラブリー☆フラッシュなのだ!」


「よし、やってみるか」


素早く背後へ回り込み、剣を構えるアレリア。


「ラブリー☆ビーム!」


剣先を突き出す…しかし何も起こらない。


「おほほ!不発ね! ほれ、お戻りビーム!」


「チッ!」


思った以上に手強いベビリオン。アレリアとつばき、二人がかりでようやく攻防が拮抗していた。


「ど…どうして発動できないのだ!?」


慌てふためくチュチュ。


「今は『ラブリー☆ビーム』が使えないその事実だけ覚えておけばいい」

アレリアは冷静に判断する。


攻防は続くが、互いに決定打を欠いていた。


「はぁ、はぁ……しつこいんだから……!」

つばきが額に汗をにじませる。


「つばき様、もうひと踏ん張りです!」


「つばきも、しんどそうだな。せめて解放が使えれば」


ふと、アレリアの脳裏に昔の記憶がよぎる。

(解放を使いこなせたのはちょうどこの年齢の頃だったな。

懐かしい……自分の魔力を炎や電気に変換しようと想像していたっけ……)


その瞬間、アレリアの聖剣がかすかに光を帯びる。


「……! まさか、私の魔術を組み込めるのか?試してみるか」


「つばき! 少しでいい、時間を稼いでくれ!」


「時間を稼げって……もうっ!アンガー☆マター!」


無数の閃光がベビリオンを取り囲み、爆ぜる。土煙が舞い上がり、視界を覆う。


「ぐっ……!小癪な……!」

ベビリオンが煙の中で声を荒げる。


隙が生まれた瞬間、アレリアが声を上げる。


「チュチュ、もし炎や電気を魔法少女の技として撃つなら詠唱はどうすればいい?」


「むむむ!?それなら、ラブリー☆ファイヤーと、

ラブリー☆サンダーなのだ!」


「わかった、やってみよう」


アレリアは再び聖剣を突き出し、叫ぶ。

「ラブリー☆ファイヤー!」


ゴォォォォッ――!!

粘度の濃い炎が奔流となり、ベビリオンを包み込んだ。


「ぎゃああああっ!? 熱いっ!」


「成功だ!決着をつけるぞ、ラブリー☆サンダーッ!!」


ズガァァァァァンッ!!

強烈な閃光と雷撃が襲いかかる。


「や、やりすぎだわぁぁーーー!!」


チュドォォォン!!


怪人を倒し、ドールを回収

人々は次々と元の年齢へと戻っていった。


ムクムクと身体が伸び、元の姿へと戻っていくアレリア。


「このままどうなることかと思ったが……助かった」

安堵の表情を浮かべるが、つばきは小さく呟いた。

「……このままでも良かったのに」


「む? どうした、つばき」

「な、なんでもないわよ!」


そのとき、遠くから声が響く。

「つばきちゃん!アレリアさん!チュチュにクナギ!」


馴染みのある姿で、陽翔が駆け寄ってきた。


「つばきちゃん……俺を匿ってくれてたんだよな?ごめん記憶が曖昧で…」


「いいの!陽翔くんが無事で、本当に良かったわ」


(今の陽翔くんも素敵だけど……子供の姿も、可愛かったな……)


「目の保養になりましたか?つばき様」 


「クナギ!おだまり!」


「あ、すみません!!ひぇ〜っ!」


つばきとクナギが追いかけっこを始める横で、陽翔はふと真剣な顔になる。

「アレリアさん……ひよりは、いつ戻ってくるんですか?」


その問いかけに、アレリアは表情をわずかに曇らせた。

(陽翔……君は、ひよりを…)


「陽翔……ひよりのことだが——」


「二人とも!遊園地再開よ!これじゃ台無しよ!」

つばきが大きな声で遮った。


「あ、今行くよ!アレリアさん、また今度教えてくださいね!」

「……ああ、必ず話す」


勝利の余韻とは裏腹に、アレリアの胸には罪悪感が残っていた。陽翔のひよりへの想い。

そして、彼女を異界に残している事。


(必ず……ひよりを連れ戻し、真実を君に伝える)


アレリアはそう胸に込めた。

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