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第17話 銀河級三角関係!?

 放課後の天文台。窓から差し込む冬の柔らかい日差しが、机の上の望遠鏡やノートを照らしている。

 あかりは双眼鏡を覗きながら、頭の中でまだ街中での「眞鍋エージェント事件」の余韻を反芻していた。


(はぁ……街中であんなに動揺するなんて……。私、完全に妄想に侵食されてる……!)


 美咲は後ろからあかりを見守り、微笑みながらノートに観察メモを書き込む。

 彼女の表情は真剣そのものだが、心の中ではすでに泣き笑いモードである。


(……あー、この子の頭の中、銀河系レベルで暴走してるわ……。面白すぎて涙が出る……!)



 あかりの妄想は、いつの間にか「光」の存在まで巻き込んでいた。

 双眼鏡を覗きつつ、頭の中で光が突然、黒マントを羽織った宇宙的エージェントに変身する。


(光も敵組織かもしれない……いや、これは宇宙規模の陰謀だ!私の肛門宇宙論を狙っているに違いない……!)


 あかりの中で、光・眞鍋・自分の三者が銀河戦争を繰り広げる壮大なビジュアルが展開される。


「え、えっと……ここはブラックホール級の防御を……いや、ワームホールで回避……!」


 美咲は横で手を貸しながらも、表情を一切崩さず観察を続ける。

 しかし、内心は爆笑と泣き笑いの嵐だ。


(……本当に、世界ランク1位のアホだわ。この妄想、リアルタイムで記録したい……!)



 妄想の中で、光はあかりを守ろうとするが、眞鍋のエージェントスキルが炸裂して混乱する。

 あかりは自分の肛門銀河を盾にし、光を助けるために必死で銀河間戦略を展開する。


「ここは……肛門皺の放射状パターンを利用して反撃……!ああ、ブラックホール級ドキドキで引力バランスが崩れるっ!!」


 妄想が頂点に達した瞬間、あかりは思わず声を上げてしまった。


「うわあっ!危ないっ……!」


 現実では、光が穏やかに笑っていた。


「……あかり?大丈夫か?」


 あかりは赤面して双眼鏡を手放し、美咲の背に隠れる。

 美咲は横で肩を揺らしながらも、まるで記録員のようにペンを走らせる。


(……やっぱり、この子の頭の中、銀河規模で暴走してるわ……!泣き笑いするしかない……!)



 落ち着いたあかりは深呼吸をして顔を上げる。

 目の前の光は、何も知らずに窓の外の星を眺めていた。


「……あー、妄想が止まらなかった……」

 あかりはこっそり呟く。


「ふふ、でもその想像力、悪くないと思うよ」


 美咲も笑みを浮かべて言うが、その眼差しは完全に泣き笑い。

 冬の光が差す天文台の中、あかりの妄想宇宙と現実世界は、微妙に交差し続けた。


 そして、あかりの胸の奥には小さな、けれど確かなドキドキが残っていた。

 それは、妄想が暴走した後の、ほんの少し現実に寄せられた「光への想い」だった。

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