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従者は聖女と出会った。
その後何日かして、城に住まいを与えられ、聖女に会わされた。
何人かの王室使用人と一緒に聖女の部屋に通された。
「こんにちは!あなたが私の従者?よろしくね!!」
聖女はラモンの右隣に立っていた、老齢の王室使用人に向かって挨拶をした。
左隣の面倒見のよさそうな使用人が咳払いをして言った。
「ルシア様、そちらは王室使用人のマルクスにございます。ルシア様も何度かお会いしたことがあるかと。」
そう言われるとルシアは顔を真っ赤にしながら言った。
「そ、そうよね!知ってるわよ。何度か会ったことがあるもの。これは、えっと、そう冗談よ。えっと…。」
それを聞いてマルクスが大袈裟に言う。
「まさか、初めて城に来られ緊張しているラモン殿の、緊張をほぐそうと!流石は神に選ばれし聖女様!」
「もっ、もちろんよ。神に選ばれし私が従者を間違える訳がないものね!」
そう言って聖女と使用人達は高く笑った。
その光景を前に、ラモンは静かに——そして確かに、神などいないと確信した。