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ラモンは捜索を手伝う。
居間の中、ラモンは適当に茶器をひっくり返していた。
イルゼが頷いた後、ルシアは飛び出すようにテラスを出て捜索を始めた。
ラモンも一応それに付き合ってはいるがやはり気は乗らない。捜索を始めてから既に三十分程経過していた。
けれど、長いことそうしてるうちに気持ちが落ち着いてきて、先程よりも随分ましにこの状況を見る事ができるようになった。
確かに、イルゼが麻薬の密売に関わっているのは事実なのだろう。
けれど、それには何か事情がある気がしてならない。彼女の今までの言動が演技でないのなら、彼女はそんな人ではない、と思う。それは、四日間泊めてもらった恩や自欺からではない——いや、それも十分にあるかもしれないが、それよりも聖女の護衛としての経験がそう思わせているような気がした。
とはいえ、取り乱した様子のルシアを一人にしておくのも不安なのである程度捜索は手伝うことにする。
それにこの様子だと、まずこの家から証拠が見つからないと先には進めないだろうし、ラモンも動かぬそれを、目の前に突きつけられてみたかった。




