表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/58

ラモンはルシアを追いかける。

 ラモンが雑然とした部屋に踏み入った途端、ルシアが、だっ、と駆け出して部屋を飛び出した。

 あんな温室育ちの人間のどこにこれほどの力があったのだろう——いや、運動能力は元々高いのだったか。

 突然の出来事に呆然としていると、ルシアが走って行った廊下の奥から、病院の玄関扉が開く音がした。

 急いで玄関に向かう。


 角を曲がって待合室に出ると、丁度扉が閉まるところで、その隙間から、ルシアの姿が見えた。


 閉じそうなドアノブに必死で駆け寄り、捻る。


 店々の間を縫うルシアは、来た道を戻っているようだった。だが、所々道順が間違っていて、このままでは迷うのも時間の問題だろうと思える。


 というか、元護衛のラモンを撒けない事はルシアだって分かっているはずだ。なにをそんなに急いで——。


 前を見ると、体力が尽きたのだろう、段々と速度を落とし、やがて膝に手をついて立ち止まるルシアの姿が見えた。

 ラモンも離れない程度に動かしていた足を緩め、ルシアに近づく。


「おいどうしたんだよ、急に走り出して。」


 言いながら、これ以上逃げられないようにと彼女の背中に、掴みはせずとも、手を置く。

 手に伝わってくる呼吸が不安定なのが少し気に掛かった。


「大体人が会計してる時に勝手にどっか行くなよ。——ていうか!他所の病院の部屋、勝手に開けんな!」


 ルシアは答えない。

 代わりに、喘ぐような荒い呼吸が聞こえてきた。


 脳裏に、倒れたルシアの姿が過ぎる。


 俯くルシアの顔を覗き込むと、


「おい、どうしたんだよ!」


 思わず息を呑んだ。


 ルシアの目から、涙が出ていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ