表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/58

ルシアは確固たる証拠を見つける。

 ドアを開けた途端、艶やかで澱んだ香りがルシアの体を包み込む。その部屋のカーテンは締め切られて暗かった。雑然とした机の上に、調合途中の薬と書類が散らばっている。天井には乾いた薬草が逆さにされて干してあって、中にはよく見る、一般的な薬草もあった。


 机に駆け寄り、確固たる証拠を掴もうと散らばる書類に目を通す。

 ——薬の製造日、薬草の販売元、原価。乱雑に並ぶ数字の中に……あった。違法薬物の取引履歴。

 それをひったくるように掴んで、内容に目を滑らせる。


『……十八日、闇市に20バルの出荷。

 ……九日、支配人に市場拡大の打診。事前に拡大の為の土台を作れ、とのこと。』


 開け放った扉の外から走る足音が聞こえてくる、ラモンだろう。とりあえず、その音が一人分である事にほっとする。

 意識を紙に戻してもう一度読み直す。

 決して見落としの無いように。


『……十一日、闇市に10バルの出荷。

 ……十五日、イルゼ夫人に社交界での流通ルートの開拓を要請。承諾を得る。』


 見落としの無いように見開いていた目が、一度ぶれる。動かなくなる。必死に目を逸らそうとするが、意思に反してルシアの瞳はその文字を凝視する。音がルシアから遠ざかっていって、時間がゆっくりと進むような気がする。

 あの柔らかな笑みを思い出す。

 いつの間にか手に持つ紙がくしゃりと歪んでいた。


「うわ、なんだここ汚な。」


 走って来たラモンが部屋の前で驚くのが聞こえる。

 流れる時間に身を任せ、ルシアはゆっくりと振り返った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ