ルシアは蜂蜜を手に入れる。
所に戻ると、パン粥は完成していてイルゼによってテーブルの上に並べられていた。
ルシア達は壁際に寄せられていた椅子を持って来て座る。
てっきり真夜中だと思っていたがどうやら明け方だったようで、まだ日は見えないものの部屋には夜明けの薄い光が届いてきている。
三人全員が着席して、さあいただきます、となった時、ラモンがおもむろに左手を動かした。
ことりと音を立ててその手が小瓶を置く。
中身を見るとそこにはこがね色に輝く液体があった。
「あれ、ラモンそれって……」
ルシアの言葉に、ラモンは心なしか少し自慢げに頷く。
「蜂蜜だ。」
「え、どこから取ってきたの。」
この家のどこかにあるのなら、ルシアも少し貰おうか。
「さっき、自分の鞄から取ってきた。ここに来る時に料理長から、餞別だ、って貰ったんだよ。」
なるほど、廊下が暗くてよく分からなかったが、どうやら先程の応接室で鞄から取り出していたらしい。
ラモンへの餞別なら貰うことはできないな、などと思った時、思いがけず、その蜂蜜がルシアに差し出されていた。
「へ?これ私が貰っていいの?だって、ラモンへの餞別なんでしょ。」
ラモンは頬を掻きながら答える。
そういえば、先程から、彼はルシアと目線を合わせない。
「別に全部はあげねーよ。けど、お前蜂蜜好きだろ。」
たしかにどちらかといえば好きだけど……、と逡巡して、(ああ!)合点がいく。
城でパン粥が出された時、ルシアは毎回蜂蜜を用意させていた。
単純に蜂蜜の無いパン粥が味気なかったからなのだけれど、パン粥自体は好きだったので、用意してもらって、やっと食べられるとなった時のルシアの顔は、なるほど、そう思われるくらいのものではあっただろう。




