ルシアはラモンを見つける。
雪崩れ込む様に入った部屋には、小さな部屋を余す事なく照らすランプと、そのランプの下、何冊かの冊子を重ね合わせたような分厚い本を読むラモンがいた。
「いたぁ……。」
人のいる所に出たのと、ラモンを見つけられたのとで気が緩み、そのままフローリングにかくんと力が抜ける。
急に入って来てへたり込んだルシアに、ラモンは一瞬目を見開くが、すぐになんてことないように戻って手にしていた本を仕舞い始めた。
そういえば、聖女になりたての頃はいつもこんな風にラモンの元に戻っていたな——と思い出す。
今日は何かと昔の事が脳裏に浮かぶ。
「どうした?もうパン粥、作り終わったか?」
フローリングに座ったままでは少し寒いので、膝立ちでカーペットのある場所まで移動する。
カーペットの柄や家具の質からして、どうやらここは応接室のようだ。
「まだできてないよ。けど、もうすぐできそう。なのにラモンが遅いから、迎えに来たんだよ。」
パン粥の見た目からして複雑な工程は要らないだろうし、今頃鍋を火にかけて、もうすぐ完成するところではないだろうか。
「じゃ、戻るか。」
ラモンは読んでいた本を、足元に置いてある鞄に入れると立ち上がって扉に向かう。彼は懸命にも、部屋に置いてあったランタンを手に取って廊下に出る。
彼の後ろ、先程よりも見通しの良くなった廊下を歩きながら、パン粥を作るとなった時から思っていた事を口にする。




