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ルシアはパン粥を作る。

 台所に着くとイルゼはさっさと薪に火を焚べた。少しして火の勢いが増すと、イルゼはそれと月明かりを頼りにパンを取り出した。


「イルゼさん。何を作るんですか。」


 ルシアは目の前で人が料理を作っている新鮮さに乗せられて聞いた。


「パン粥を作ろうと思うの。」


 (パン粥!)


 城でも風邪をひいた時などはよく食べていてルシアの好物でもあった。その味を思い出しながら言う。


「私も手伝います!」


「え。でも——。」


 ——病み上がりの人に無理はさせられない、だろうか。

 けれどルシアは、そんな事はお構いなしにイルゼの隣に並ぶ。

 気合いを入れようと袖を捲った。


「パン、どうすればいいですか。」


 そうなると、イルゼもルシアの活気に押されて答える。


「それなら、このパンを千切って貰おうかしら。」


 そう言ってイルゼはパンを一つ手渡した。


「足りないようだったら、そこの棚から出してね。」


「はーい。」


 一つ。大きさからして一人前か。


 早速暗い棚の奥を引っ掻き回すと、確かに固くなったパンがいくつかあった。家の周りの様子から見てもあまり裕福ではないのだろう。

 そこから二つ程追加で取り出してテーブルに置く。


 パンを一つ千切ると屑が零れるのが、月明かりで見えた。

 どうにか零さないようにと躍起になっていると、すっとテーブルから一つパンを取る手が視界によぎる。



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