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ルシアは再び叫ぶ。
「——あのさ、」
ルシアがショックを受けていると、ラモンが思い切ったように顔を上げた。
彼の目にランプの光が鋭く差し込む。オレンジがかった瞳が際立って見えた。
窓から秋夜の風が音を立てて吹きこみ頬を撫で、えもいわれぬ不安に掌に汗が滲んだ。
「何?」
目を逸らし、躊躇いを捨てるように首を振ってから、ラモンはゆっくりと口を開いた。
その時。
ラモンの背後にそっと開く扉が見えた。内側から暗い廊下からぬるりと老婆が顔を覗かせる。
ルシアは先程まで緊張していたのも忘れて叫び声を上げた。
「だだだだだだ、誰ですかぁ!?」
言われた女性も驚いたように肩をすくませる。
「ごめんなさい!勝手に入ってしまって。お取り込み中だったかしら。」
「ああ、イルゼさん。」
ルシアの大声にぽかんとしていたラモンもはっとして後ろを振り返った。
「すいません、騒がしかったですか。」
「いえ。そういうわけじゃないのだけど。——でもよかった。ルシアさんが起きたのね。」
「ええと。どうも?」




