表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/34

ルシアは叫び声を上げる。

 そんな彼の目を覗き込みながら言う。


「……えっと。ラモン、おはよう?さっきからどうしたの、そんなに焦って。」


「いや別に。」


 (『いや別に。』か……。)あれだけ切羽詰まった登場の仕方をしておいてそれはないだろう、と思う。それを裏付けるかのように彼はルシアと目を合わせずにいた。五年の間従者として過ごしていたラモンにしては、らしくない態度である。


(そっかぁ、ずっと、いたんだ。部屋の側に……私が寝てる側に……。)


 ルシアは想像する。戸を隔て、自身が皺の寄ったシーツの上で涎をみよーん、と垂らしながら熟睡している側で、冷えた廊下で元主人が起きるのを待つ従者を。——いや、起きた時には涎は垂れていなかったので大丈夫だとは思うけれど。

 ルシアはぎくしゃくと頷いて続きを促した。「そっか。」


「ずっと廊下にいて、寒く、なかった?」


 ラモンは少し目を伏せて答える。


「昨日寝るまでは看病でここにいたし、夜寝る時も応接室で寝たから。廊下にいたのは、今日、昼過ぎてからだ。」


(——うん?昨日?)


 ラモンの言葉に違和感を覚えた。

 ルシアの記憶が正しければ昨日ルシア達はホテルにいたはずだ。

 そう考えて思案し、ルシアはある仮説に辿り着いた。


(あれ?もしかして?)


「え?——ねえ、私どのくらい寝てた?」


 ラモンは少し逡巡してから合点がいったように答えた。


「ああ、そうか。ルシアお前、二日間寝てたんだぞ。」


「二日!!!??」


 思わず叫んで、喉を痛める。咳がある程度止まったところで言った。


「え、二日?二日間も、こんな知らない人の家で、爆睡してたわけ、私?」


 ラモンがルシアの勢いに気圧されながら頷く。


 ルシアは自身のことを繊細な方だと認識していたのだが、どうやら思っていたよりも図太い人間であったらしい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ