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ラモンは息を吐く。

 いつのまにか寝てしまっていたようで、次にラモンが目を開けたのは、夫人と医者が一緒に部屋に入って来た時だった。

 座りながら寝ることには慣れているとはいえ、やはり身体は痛くなる。少し首を動かすと背骨がミシミシと音をたてた。

 サイドテーブルにはいつの間にか飲み水が置かれていた。夫人が用意したのだろう。


 医者は部屋に入るとすぐに聴診器を取り出し、ルシアの心音を確認する。彼に椅子を譲るためラモンは席を立ち、夫人の隣に並んだ。

 ラモンの喉がこくりと音を立てる。


 医者は何分か、ルシアの心音を聞いたり、呼吸の様子を見ていたりしたが、不意に表情を緩めると、ラモンに行った。


「彼女は、今は寝ているだけのようです。呼吸も心拍も安定していますよ。もし、急に倒れたという事でしたらそれは、脱水や強いストレスなどが原因の失神ではないでしょうか。半日もすれば、目を覚ますと思います。」


 話を聞くなり、ラモンは深く深く息を吐いた。安堵が胸を満たすと同時に、守れなかった悔いが縄のように肺に絡みつく。


 医者が去ると、夫人は玄関まで見送りに出た。

 ラモンは思わず立ち上がり、その後を追った。


 玄関に近づくと話し声が聞こえてくる。


「わざわざ急いで来ていただいて。本当にありがとうございます。」


 そう言って夫人は医者に代金を手渡す。


「こちらこそ、イルゼさんにはいつも助けていただいてますから。今後もよろしくお願いしますね。」


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