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晴天の霹靂 1

 春うららかなまばゆい陽射しが差しこむ四時限目

 学年が上がったばかりで、半数は馴染みのない顔の教室。思考を低下させる言語の羅列された古典の教科書のすみに書かれた不恰好なうさぎの落書きを何重にもなぞりながら、宮本花は小さく小さくため息をつく。

 先週末までは新しい年度となり少しの不安とたくさんの期待に満ちたありふれた高校生の1人だった。人生が突然、自分の意思に関わらず一変するなんてこと本当にあるんだ。

 あたたかな窓際の席で眠気とたたかいながら、自分の人生について思いを耽るなんて思わなかった。平々凡々とただ毎日を消化するように生きていた先週までの自分が恨めしい。

 この教室の窓の下は駐輪場になっていて、校門に続くなだらかな下り道はここぞとばかりに咲き誇る桜の大木がならんでいる。すでに道は薄紅色に染められていた。嫌味なほどに雲ひとつなくどこまでも広がる青空が眩しい。

 顎の下で切り揃えられた髪が顔にかかる。陽にあたると薄茶に見える髪が唯一の自慢で、顔の作りも身長体重も平均。名前も相田花とありきたりで、そこら辺にいるたくさんの女子高校生の一人。

 だった。

 授業の終わりをつげる鐘がなる。

 この学校には修道院のような鐘があり、機械仕掛けではあるが毎度授業の終わりにちゃんと鳴る。それがとても気に入っていた。

 3日も休んだのだ。この後昼食をともに食べるいつもの友人たちに聞かれるであろういくつかの質問を想定しながら、教科書をたたみ、ついでに大きく伸びをした。


 

 

 






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