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ジュエルを探して-ロランドとオーブリー-  作者: 乾為天女


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第27章:誠実の試練とエルフの選別

ロランドとオーブリーは エルフの戦士たち に連れられ、深き森の奥へと進んでいた。

「誠実の試練……」

オーブリーは呟きながら、周囲を見渡した。

森の中は 神秘的な光 に包まれ、木々の間を小さな精霊のようなものが飛び交っている。

「エルフたちは、“誠実さ” を何よりも重んじる民族だ」

ロランドはエルフのリーダーの言葉を思い返す。

「だからこそ、王に会うには “嘘偽りがないこと” を証明しなければならない」

「どうやって証明するの?」

オーブリーがリーダーのエルフを見つめると、彼は静かに言った。

「“鏡の泉” を通るのだ」

「鏡の泉?」

ロランドが聞き返すと、エルフの戦士たちは森の奥に広がる 神秘的な湖 へと彼らを導いた。

湖面は 鏡のように輝き、二人の姿をはっきりと映していた。

「この泉を渡ることで、お前たちが “誠実な者” であるかが試される」

リーダーのエルフは続ける。

「この湖は、心に偽りを持つ者を拒絶する。

もし “嘘” を抱えている者が渡ろうとすれば——湖に沈む 」

「……沈む?」

オーブリーは一瞬、息を呑んだ。

「覚悟はできているか?」

リーダーのエルフは鋭い眼差しで二人を見つめる。

「もし試練に失敗すれば、エルデンの王に会うことは許されない」

ロランドとオーブリーは顔を見合わせ、

「やるしかないわね」

「当然だ」

そう言って、二人は 鏡の泉へと足を踏み入れた。

ザブン……

ロランドが最初に湖へ足を踏み入れる。

水は驚くほど冷たく、体の奥まで透き通るような感覚 に包まれた。

「……ロランド?」

オーブリーが心配そうに見守る中、彼はゆっくりと湖を渡り始めた。

静寂。

湖の水面はロランドの姿を映し出し——

「……これは?」

突然、湖の中の“もう一人の自分” が彼を見つめた。

「お前は、本当に “この旅を続ける” 覚悟があるのか?」

ロランドは、自分の分身と対峙する。

「名声のために旅をしていたはずだった。だが、今は……」

「今は、何のために戦っている?」

湖のロランドが問う。

「俺は……」

ロランドは、剣を握りしめた。

「俺は、ただ名声を得るためにここにいるわけじゃない」

「では、何のために?」

「……自分の信じた道を進むためだ」

その言葉を口にした瞬間、湖の水面が静かに輝き、ロランドの分身が微笑んだ。

「ならば、進むがいい」

ロランドはそのまま、湖を渡り終えた。

「……ロランド!」

オーブリーが安堵の声を上げる。

「お前も来い」

ロランドが振り返ると、オーブリーは深呼吸をしながら湖へと足を踏み入れた。

「お前は、本当に強くなれているのか?」

オーブリーが湖の中央に差し掛かったとき、彼女の前にも 自身の分身 が現れた。

「私は……」

「強くなるために旅をしている。それは本当か?」

「……」

オーブリーは、静かに目を伏せる。

「私は……ただ強くなりたいだけじゃない」

「ならば、何を求めている?」

「……私は、誰かに認められたかっただけなのかもしれない」

彼女は自分の心の奥を見つめる。

「でも、それが間違いだとは思わない」

「ならば、お前はどうする?」

「私は、自分の強さを証明する。自分のために」

その言葉とともに、水面が静かに光り——

オーブリーの分身が消えた。

「ならば、進むがいい」

「……!」

オーブリーはゆっくりと湖を渡り終えた。

二人が湖を渡り終えると、エルフのリーダーは目を見開き、静かに頷いた。

「お前たちは、“誠実な者” だと証明された」

「なら、王に会わせてもらえるのね?」

オーブリーが尋ねると、エルフのリーダーはゆっくりと頷く。

「ついてこい。エルデンの王がお前たちを待っている」

こうして、二人は エルデンの王との謁見 へと進むことになった——。

(続)


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