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第2章:王都の地下遺跡

王都の地下に広がる遺跡——そこは長い年月の間、人々の記憶から忘れ去られていた。かつての王宮の地下通路として使われていたらしいが、今では魔法の罠や朽ち果てた壁が残るのみだ。しかし、最近になって「ゴールドラベンダークォーツの手がかりがある」との噂が流れ、冒険者たちの間で話題となっていた。

ロランドとオーブリーは、地下遺跡の入口に立っていた。

「ここね……」

「お前、本当に魔導士なんだよな?」

「何よ、疑ってるの?」

オーブリーは不機嫌そうに腕を組んだ。

「いや、さっきの市場での動きを見てな……お前、魔法よりも体力でどうにかしようとする癖があるだろ」

「余計なお世話よ。必要なときにちゃんと魔法は使うんだから」

「じゃあ、試しに何かやってみろ」

「いいわよ!」

オーブリーは手をかざし、小さな魔法陣を描いた。次の瞬間——

ボウッ!

オーブリーの手のひらから炎が立ち上り、入口の壁を覆っていた苔を一瞬で焼き払った。

「どう? これで信じた?」

「……まあ、最低限の実力はありそうだな」

ロランドは満足げに頷き、剣を構えて扉を押し開けた。

遺跡の内部は、ひんやりとした空気が漂い、わずかな明かりだけが通路を照らしていた。天井には無数のツタが絡みつき、壁には古代文字が刻まれている。

「慎重に行けよ。こういう場所は……」

ロランドが言いかけた、その瞬間だった。

カチッ

「……あ」

オーブリーの足元から、音がした。

「ちょ、ちょっと待って——」

ゴゴゴゴゴ……!

遺跡の奥から、重々しい音が響き渡る。そして、次の瞬間——

巨大な石の玉が転がってきた!

「うわああああ!」

「お前、だから慎重に行けって言っただろ!!」

二人は慌てて駆け出した。石の玉は容赦なく彼らを追いかけ、壁の彫刻をなぎ倒していく。

「ど、どうするのよ!? このままじゃ潰される!」

「お前、何か魔法でどうにかしろ!」

「できるならとっくにやってるわよ!」

オーブリーは息を切らしながら、背後に手をかざした。そして——

バシュッ!

火炎弾が石の玉に直撃。しかし、それだけでは止まらない。

「ダメよ! もっと大きな魔法じゃないと……!」

「だったら、やれ!」

「無茶言わないで! こんな状態で詠唱してたら——」

そのとき、ロランドの目に「崩れかけた石柱」が映った。

(あれを使えば……)

「オーブリー、左側の柱を狙え!」

「え?」

「いいから、撃て!」

オーブリーは言われた通り、炎の魔法を発動。火炎弾が石柱に直撃し、 ガラガラガラッ! と崩れ落ちる。

石柱が倒れ、ちょうど転がってきた石の玉を塞ぐ形となった。

ドンッ!

石の玉は勢いを失い、その場で停止した。

「……ふぅ」

ロランドは額の汗を拭った。

「だから慎重に行けって言っただろ」

「……ごめん」

オーブリーは、さすがに反省した様子で肩を落とした。

「でも、あなたの判断、悪くなかったわね」

「俺の判断がなかったら、お前今頃ペシャンコだったぞ」

「うっ……」

言い返せずに、オーブリーは唇を噛んだ。

「よし、気を取り直して進むぞ」

ロランドは剣を握り直し、奥へと進んでいった。

遺跡の奥へと進むにつれ、空気がより重く、冷たくなっていった。壁には魔法の痕跡が残り、古代の封印が施されているようだった。

そして、ついに二人は 「祭壇の間」 にたどり着いた。

中央には 石造りの祭壇 があり、その上には 黄金色に輝く水晶 が浮かんでいる。

「……これが、ゴールドラベンダークォーツの手がかり?」

ロランドがゆっくりと近づく。だが、その瞬間——

シュルシュルシュル……!

闇の中から、何かが蠢く音がした。

「な、何!?」

次の瞬間、祭壇の周囲に 影の魔物たち が現れた。

「クゥゥゥ……!」

「こいつら、宝石を守ってるのか……?」

ロランドは剣を抜き、構えた。

「オーブリー、後ろを頼むぞ」

「……任せなさい!」

オーブリーは魔法陣を展開し、炎の閃光を放った。

「ここが正念場よ!」

遺跡の最深部で、 ロランドとオーブリーの初めての共闘が始まる——。

(続)


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