8話 リトルナイトグッズ
フレアと共にリトルナイト専門店『ナイト工房』にやって来た。
ひょんなことからリトルナイトに詳しいというハクギンさんも仲間に加わり、魔女3人とリトルナイト3体で店内を巡ることに。
「では最初にオススメするのは、リトルナイトの日用グッズです」
ハクギンさんに最初に案内されたのは、リトルナイトが使用するであろう小さなグッズが並べられたコーナーだった。
コップやブラシ、靴下や食器類などなど……日常的に使用するであろう道具がリトルナイトサイズになって並んでいる。
「ミニチュアの道具が沢山並んでる……! 可愛い……!」
お父さんと出掛けた大型デパートよりも品揃えが豊富だ。
『僕も履けそうな大きな靴下もあるね』
「どれもリトルナイトが実際に使用できるものです」
中にはミニチュアサイズの調理器具まである。実際に食べ物を調理できるらしい。
「リトルナイトがこの道具を使う姿を見たら更に愛着湧きます」
「確かに……」
ピントが家で靴下と大きなスリッパを履いて歩いたり、マグカップを手に取り飲み物を飲んだりする光景は絶対に可愛い。
「と、とりあえず靴下とスリッパは買っておこうかな……」
最低限の日用品はリトルナイトと暮らす上で役に立つ。なのでこれは無駄遣いではない。
『あ、向こうにカエが履けそうな大きさの靴下とスリッパがある!』
「えっ?」
ピントの指し示した先にあったのは、人間用の日用品コーナーだった。
『さっきカエがカゴに入れたのと同じ見た目してるよ』
ピントの言う通り、リトルナイトサイズで売られていた靴下やスリッパの類が人間サイズで売られていた。
「リトルナイトとお揃い、ペアルック」
「…………」
ハクギンさんにささやかれた私の脳裏に、ピントと同じ靴下を履いて部屋でくつろぐ私の姿が浮かんだ。
私は人間サイズの靴下とスリッパをカゴに入れた。
「次にオススメしたいのは、リトルナイト用のおもちゃです」
「これも可愛い……!」
人間の子どもが遊ぶような積み木や車の模型、種類豊富なぬいぐるみのミニチュアが並んでいる。
他には知恵の輪やボードゲームなどの頭を使うおもちゃも並んでいる。
『動物が沢山いるね』
ピントはディスプレイの中で動く動物の人形に興味を示している。
色んな種類の猫や犬がさながら本物のように動いている。リトルナイトに動くぬいぐるみを与えたら、ぬいぐるみをペットのように扱ったりするのだろうか。
「リトルナイトを持たない、ミニチュア好きの人も購入するくらい造りがいいです」
「へぇ……! 確かに、実物と変わらないくらいに良くできてるね……」
『あの子犬かわい〜』
「ピント、ぬいぐるみほしい?」
『ほしい』
私は子犬のぬいぐるみとミニチュアの犬小屋を購入した。
「向こうにリトルナイトサイズの一軒家が見えます。少し覗いてく?」
「えっ!? リトルナイト専用の家があるの!?」
「眺めるだけでも楽しいです」
店内の一角に設けられた『リトルナイトハウスエリア』へと移動した。
そこにはリトルナイト専用の建物がズラリと並べられており、どの家もさながら本物の一軒家のように見えた。
特に目を引いたのは大きな旅館。窓越しから見える畳やふすま、押し入れには布団が置かれており、どれも造りが良い。
『お宿だ〜』
並んでいるミニチュアハウスには実際に入れるとのことで、折角なのでピントを宿に入れてみた。
『落ち着くな』
ゴウカも宿に入り、ゆっくりと宿の中へと入っていく。
「カエ、これ見て」
フレアはさっきハクギンさんから貰ったリトルアイの画面を私に見せた。
「あっ! 宿の中が……!」
「すごい綺麗に見えるよ」
画面内には、ゴウカが見ているであろう宿の内観が綺麗に映し出されていた。今は部屋のひとつを見て回っているようだ。
「うわっ!? テレビあるの!?」
「リトルナイトサイズの家電もあるよ。値段は結構するけどね」
「へぇ……!」
テレビはいつか購入してみたい。
「それにしても、宿の中を歩くリトルナイトが多いね……」
「宿は一番人気みたいだからね」
宿のカウンターを眺める青い鎧のリトルナイト、長い廊下をゆっくり歩くチーター型のリトルナイト、大窓から外の景色を眺める妖精型のリトルナイトなどなど……様々な種類のリトルナイトが宿の中を自由に歩き回っている。
「それにしても綺麗だな……あ、サラリーマンだ」
「本当だ……」
スーツ姿の男性サラリーマンが宿を内見している。
「こんなリアルな人型のリトルナイトもいるんだ……」
フレアのゴウカも顔は人そっくりだが、鎧を着ているのでどこかリトルナイト感はあった。
しかし、あのサラリーマンは鎧も武器も着用していない。玩具らしい部分も見られない。どこから見ても本物の人間そっくりだ。
「このリトルナイト用ハウスは家の庭に建てられます。家のお手入れ用のお掃除道具も購入可能です」
「細かいなぁ……」
大きな家は手入れが大変そうだ。恐らく複数のリトルナイトが住む前提のものもあるのだろう。
「では、オームラさんが気になったであろう家電エリアにも行きます」
「家電は高そうだなぁ……まあ、眺めるだけなら……」
「小型の魔石を電池として使用するリーズナブルなものもございます」
この後も、ハクギンさんの案内でリトルナイトグッズを見て回った。
手のひらサイズの冷蔵庫やテレビが並ぶ家電エリア。
家電が揃ったディスプレイは本物そっくりの光景で、ピントも興味津々だった。
リトルナイト用の衣装や小物が並ぶファッションエリアでは、ピントに合いそうな帽子や大きな靴があった。
ピントを迎え入れたばかりで、ピントの性格をよく理解しないままに購入するのはどうかと思い多少は踏みとどまったが、それでも結構な量のリトルナイトグッズを購入してしまった。
「さて、そろそろお会計を……」
「オームラさん。その買い物カゴ、お持ちします」
「いや、大丈夫ですよ。これくらいの量なら軽いですから。それにそろそろお会計するつもりですし」
「購入してきます」
「えっ」
なんと会計前に、私の購入した品物の代金を全て支払うとハクギンさんから提案された。
わざわざ私達に付き添って案内してくれたというのに、会計まで肩代わりさせるのは流石に申し訳ない。
「いや、大丈夫です! ハクギンさんに案内させておいて会計まで負担させるのは流石に悪いですって!」
「そもそもの話、私がオススメしたから購入してしまったものもあると思います」
「いや、最終的には自分の判断ですから……!」
私は遠慮したがハクギンさんも中々譲らず、最終的に支払い金額を折半することで話をまとめられたのだった。
「ハクギンさん、案内してくれた上にお金まで払っていただきありがとございます……」
『ありがとーございます』
会計後、私はハクギンさんに改めてお礼を述べる。ピントも一緒になって頭を下げてくれた。
「いえいえ、私もこれでようやく恩返しができました。それにお2人と一緒に店内を見て回るのはとても楽しかったです。私も楽しませてもらいました」
「私もリトルナイトに詳しい人と回れて色々と知れましたし、本当に有意義な時間でした」
『すごく楽しかった!』
「それは良かったです」
色々とあったものの、ハクギンさんのお陰もあって買い物はとても楽しかった。
「さてと……2人とも、そろそろお昼ご飯にしない?」
ハクギンさんへの感謝の言葉を終えた後、フレアは私達にお昼ご飯の提案をしてきた。
「この店内にリトルナイトと一緒に食事できるスペースがあるんだよ」
「えっホント!? 行きたい!」
「じゃあ一緒に行こうぜ。で、トールは?」
「あっ。私もご一緒したいです。むしろこちらから誘おうとしてました」
ハクギンさんもフレアの提案に頷いた。
「よし決まりだな。じゃあ3人でフードコート行こうぜ」




