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40話 犯人許さない

 不良軍団と別れた後、私達は元の世界に戻りヴァルハラのリトルナイトカフェへと移動した。


「店長、裏で手を回してくださりありがとうございます」


「いいよ、何事もなく終わって良かった」


 トールと共に店長にお礼を伝え、後は現地解散……する前に、トールを筆頭に再び異次元へと移動した。


「みんな、この建物に入って」


 トールは辺りを警戒しつつ、異次元内にある建物の1つに厳重に魔法を施した。

 そして、建物内の安全を確認したトールは、魔法で堅牢になった建物に私達を招き入れた。


 今現在、とてもシンプルな内装の建物内には私、フレア、トール、スミの4名と、それぞれのリトルナイト4体がいる状況だ。


「トール、わざわざこんな所に集めてどうした?」


「少し話したいことがある」


 真っ先に話を切り出したフレアに、トールはいつになく真剣な様子で語り始めた。


「外で話したから改造リトルナイトに聞かれる可能性があるから」


「誰かに聞かれたらマズい話?」


「少なくとも、改造リトルナイトが来れなさそうな所で話をしたかった」


 トールは私達の顔を見回すと、改めて口を開いた。


「恐らくだけど、不良と遭遇した改造リトルナイトと、リトルナイト部を荒らした犯人は同じかもしれない」


「えっ?」


「マジかよ!?」


「あくまで予想」


 驚く私達を前に、トールは冷静に話を続ける。


「相手は情報源から私達がカフェに来ることを知ってた。まるで私達の話を聞いたかのように……」


「確かカフェに向かうって話は当日にしたんだよな?」


「野外活動するとは前から言ってたけど……リトルナイトカフェに行くってのは今日出たんだよね」


「うん。私は午後の体育の授業で話題に出した」


「情報が出たのは確かにそれくらいだったよね〜」


 スミはカイエンを両手に納めながら相変わらずのんびりした口調で答える。


『であるにも関わらず、あの不良軍団は主の動向を予め把握していたようでした。副リーダーは仲間から主の情報を把握していたとのことでしたが……』


「情報源は不明。携帯でのやり取りなら、幻術なんて使用できないから記憶にも携帯の記録にも残るはず」


「でも記録も記憶も出なかったんだよな……」


「まあ、その気になれば学校外にいる仲間に幻術を使わせる方法もある」


「できるのかよ」


 トールの憶測にフレアは肩透かしを喰らう。


「でも少なくとも、情報を流したのは学園内の誰かかもしれないってことか……」


「うん。その情報を流したのは恐らく、リトルナイト倶楽部を荒らした犯人と同じかもしれない」


「確かに、今回カフェに向かうのもリトルナイト倶楽部の野外活動の一環だったもんね」


「本当かなぁ……わざわざ部活動潰すのにここまでする必要ある? 仮に本当だったとして、何でここまでして部活動の邪魔するんだ?」


「理由はまだ分からない」


 フレアの疑問にトールは首を振る。


「でもきっと、リトルナイト倶楽部の中に理由があると思う。目当ては部活動に所属してる人なのか、それとも……」


「どちらにしても、相手はだいぶ過激な手段を用いて俺達の邪魔をしてくるってわけだな」


「うん。だから明日、リトルナイト倶楽部を休止……するフリして犯人捕まえる」


「だよなぁ、流石にこのまま倶楽部活動を続け……トール、今なんつった?」


『部活動やめるフリするの?』


「うん。止めるフリして犯人捕まえる」


「マジかよ!?」


「犯人の目星はなんとなくついてる」


 トールは周りに視線を向けながら話を続ける。


「相手は部活動が始まった時から攻撃の手を緩めていない。わざわざ私達の行動まで監視してるあたり、犯人はかなり粘着質な人」


「監視……ああそうか、不良に野外活動がバレてたんだったか」


『もしかすると、主が感じた視線の正体も犯人による仕業かもしれませんね』


「ゴーレム部の帰りにトールが言ってたやつか……」


『なんか気持ち悪いね』


 あちこちで観測されていた不可解な現象が結びついていくような感覚に、私も周りも気味悪がっているようだった。


「きっと犯人は、目的が達成されるまで動き続ける。私の憶測としては、犯人の行動はもっと過激になっていくと思う。だからそうなる前にこっちから捕まえにいく」


「トールが復讐に燃えている……」


「当然。せっかくのリトルナイト倶楽部の活動を邪魔した罪は重い。ありとあらゆる手を使ってでも犯人を確保する」


 どうやらトールは本気で犯人確保を視野に入れているらしい。心なしかトールの隣にいるハクヤも燃えているように見えた。


「まず作戦として、リトルナイト倶楽部を廃部したことにする。そして皆んなを武装させる」


「武装!?」


『もしかしてすっごく強い武器とか貰えるの?』


「武器とかじゃない。もうそれ以上のものを貸します。それこそ山ひとつ買えるくらいの……」


「そんなモン高校生に持たせんな! 誤って壊したら弁償できねーだろ!」


「フレア落ち着いて。そんな簡単に壊れるものじゃないから、むしろ壊せるものなら壊してみて」


「上等だコラやってやるよ! とっとと俺に貸してみろや!」


「フレア落ち着いて、目的が変わってきてるよ」


『興奮しすぎて訳が分からなくなってるようだな。フレア、冷静になれ』


 そんな感じでトールを中心とした作戦会議は開かれ、紆余曲折あってなんとか会議は終わった。


 その後、私達はなるべく固まってホウキで飛び、それぞれの家へと帰宅したのだった。


(それにしてもとんでもない作戦立てたなぁ……犯人、無事で済むといいけど……)

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