33話 改造リトルナイト狩り
カイエンを筆頭にピントとゴウカは不審リトルナイトを追いかけ、ついに不審リトルナイトを路地裏の行き止まりに追い込んだ。
が、追い込んだ不審リトルナイトにはまんまと逃げられてしまった。
そんなピント達を追い込むかのように、明らかに敵対的な浮遊型リトルナイトの群れが発生。逆にピント達は行き止まりに追い詰められてしまう。
更に突如として発生したフィールドに3人仲良く閉じ込められ、フィールドの効果によりピント達の武器は封じられてしまったのだった。
『これってもしかして……僕達ピンチ?』
ピントが呆然とする中、フィールド内に新たなリトルナイトの群れが侵入してきた。
『よっしゃ! 改造リトルナイトを閉じ込めたぞ!』
『改造リトルナイトはカメラに過敏に反応するっていう噂は本当だったな! 簡単に罠にかかりやがった!』
後から現れたリトルナイトは、浮遊型リトルナイトと比べて言動にやけに人間味があった。
『よぉ、改造リトルナイト共。お得意の武器を封じられた感想はあるか?』
新たに現れた重そうな鎧のリトルナイトは、浮遊型リトルナイトの後方からピント達へ皮肉を投げかける。
『改造リトルナイト……? もしかして僕らのことを言ってるの?』
『お前達以外に誰がいる?』
見るからにリーダー格のリトルナイトは、ピント達に訝しげな視線を向ける。
『おっと、俺達は別に悪さしようとしてるわけじゃないぜ。だからと言って自己紹介するつもりはないが……とりあえず俺達は、追い剥ぎみたいなコソ泥集団じゃないってことだけは伝えておくぜ』
『まあ、この規模でコソ泥行為をする奴なんかいないとは流石の君達でも理解できるとは思うけどね』
リーダーリトルナイトの言葉に、隣にいたメカニカルなツールだらけのリトルナイトが更に言葉を付け足す。
『俺達はただ、世間を騒がす改造リトルナイトを成敗しに来ただけだ。そこんとこ勘違いするなよ』
『改造……いや、俺達は……』
『おっと、これ以上下手な真似はするなよ。もし少しでもそこから動いたら、お前ら全員エフェクト弾の餌食になるぜ?』
リーダーリトルナイトが手を上げると、浮遊型リトルナイトは手にした銃をピント達を目掛けて丁寧に構えた。
『あのリトルナイト、指示を聞いて一斉に動いたな……まさか、あの浮遊型のリトルナイトには意志が無いのか……?』
『お喋りはそこまでだ。俺達が求めていた例のリトルナイトではないが、とりあえずお前達全員をこの場で拘束させてもらうぞ』
『待て、なぜ俺達が改造だと思い込んだんだ。それだけ教えてくれ』
『……お前達はお喋りしたいようだが、残念ながら俺はお喋り大嫌いなんだ』
『え〜? 今のがお喋り判定なの?』
どうやら相手には話し合いをする意思はないらしい。質問を破棄された中、ピントはくじけず食い下がる。
『ゴウカはただ知りたいから質問しただけだよ? それとも、ゴウカの質問難しすぎて分からなかった?』
『あ゛?』
ピントの質問にリーダーは目に見えて機嫌が悪くなる。
『ピント、刺激するのはやめろ』
『でもこのまま黙ってたら捕まっちゃうよ?』
『……いや、下手に刺激して暴れられて大怪我するより、大人しく捕獲された方がいいだろう』
『なっ……!?』
ゴウカの提案にカイエンは分かりやすく反応する。
『ゴウカ貴様……! まさかあのならず者共に屈服するというのか……!? 相手がワシらにどんなことをするのかまだ分からんというのに!?』
『相手はただ俺達を改造リトルナイトと勘違いしてるだけだと思う。現に、目の前の相手は無闇に突っ込んでこないんだからな』
ゴウカの視線の先にいるリトルナイトの群れは、先程から不気味なほどに黙り込んでいる。
『それってつまり……僕らがとんでもなく恐ろしい改造リトルナイトだと思ってるから、相手も慎重になってるってこと?』
『そうだ。そして、この場を乗り切るにはとりあえず相手に従う方が無難だと思う』
『だがそれでは……!』
『カイエン、ここで抵抗しても勝ち目はない。下手に動いて反撃され、取り返しのつかない傷を付けられてもいいのか? 最悪記憶が消えるぞ』
『むぅ……』
ゴウカの言葉に反論できないのか、カイエンは俯き黙り込んでしまった。
『ほう……お前は随分と物分かりがいいようだな。では、ここは安全を考慮して1人ずつ拘束させてもらおうか。まずはそこのデカいレッドドラゴンからだ』
『ワシが先か!?』
『当然だ。お前は特に騒がしく、そして誰よりも抵抗していた。1番危険そうなリトルナイトから無力化する方がいいに決まっている』
『ぐっ……!』
カイエンは嫌そうにするが、相手は何食わぬ顔で指示を続ける。
『武器を全て捨て、大人しく俺達の前へと歩いてこい。それができないのなら……』
『わっ、分かった! 言う通りにする! くそっ……!』
『武器は手の届かない所へ投げ捨てろ』
腕を上げて攻撃司令を出そうとするリーダーにカイエンは慌てて言葉を返す。
そしてカイエンは自らの防具に手を伸ばし、身体中の装備を全て外し始めた。武器である両腕の爪や尻尾の鞭を共にまとめ、指示通りに遠くへと投げ捨てる。
『ククッ!』
『アハハハハッ!』
『ははは、随分とみすぼらしくなったな』
『くそっ……!』
装備を全て脱ぎ捨てたカイエンは見るも無惨な姿に変わり果てていた。先程までの威厳はまるでない。
『元レッドドラゴン、ここまで来い』
『ぐぬぬ……!』
相手リトルナイト達に笑われ露骨に不満を顔に出すカイエンだが、劣勢の中で下手に反撃するわけにもいかないと理解しているのか、大人しく相手側へと歩み寄っていく。
『よし。ジッパー、後は任せた』
『はいよー』
ジッパーと呼ばれたメカ関連のツールを持つリトルナイトは、全身にあるツールを展開するとカイエンに向かって突撃した。
『あ……?』
ジッパーは全身のツールでカイエンを捌いた。カイエンの身体はあっという間にバラバラに解体され、パーツを地面に散らした。
『なっ……!?』
『カイエンが一瞬でバラバラになっちゃった!』
細かくパーツ分けされてしまったカイエンは隣にいるリトルナイト達の手により箱へと詰め込まれていく。
『さて、お次は……』
『おい待て! いくら改造の疑いがあるとはいえ、協力的なリトルナイトにそこまでする意味はあるのか!?』
『改造はどんな狡い手を使うか分からん。下手に手加減して反撃を喰らうより、徹底的に解体した方が安心だろ?』
『くっ……』
『ほら、無駄話で時間を潰そうと思うなよ? 次は人型のお前だ。呑気そうなウサギは最後にするぜ』
リーダーは次の解体相手にゴウカを選ぶ。そんな中、ゴウカは今の状況を打破する方法を頭の中で必死になって巡らせていた。
(相手は俺達の話に応じないからハクヤが来るまでの時間稼ぎもできない。かといって、こちらは武器を封じられ、まともに反撃することもできない……)
『おいどうした。その重苦しい鎧を脱ぎ捨てて早く来い』
(……いや、エフェクトバトルでは俺の鎧は完全には封じられない。ならば俺は、ここで鎧に身を固めて相手側で暴れ、少しでも時間を稼ぐしかない。とにかくハクヤが来る時間を……!)
と、ゴウカが決意したその瞬間。
『おやおやぁ、これは随分と物騒な現場だなぁ。たった3体のリトルナイトを相手に大勢で寄ってたかって威嚇とはねぇ』
空から随分と余裕そうなリトルナイトの声が降ってきた。
『誰だ!?』
『こっちだよ!』
リーダーが辺りを見回す最中、建物の上からわざわざ両手を振り上げて場所を知らしめるリトルナイトが1体。
『よっと!』
逆光により正体が分からないまま、謎のリトルナイトは建物の上から跳んでフィールドの中へと着地した。
『あっ!?』
『お前は……!』
新たに現れた謎のリトルナイトの正体は、ピントとゴウカがそれなりに知ってる相手だった。
招待にいち早く気付いたピントは謎のリトルナイトに向かって大声で叫んだ。
『あの時の初心者狩り敗北リトルナイト!』
『一言も二言も余計!』
ピントの言葉を聞いた謎のリトルナイトは、両腕から鎌を出しながら大声で叫んだ。
『実際ピントの言う通りだろ』
『あのねぇ……! 俺には『ダイキチ』という立派な名前があるんだってば!』
ピント達の前に現れたのは、かつて初心者狩りとして目の前に現れた相手、カマイタチ型のリトルナイトだった。
背中にリュックを背負った彼は、ピント達を背にして目の前のリトルナイトの大群と対峙する。
『お前まさか、改造リトルナイトの仲間か……!?』
『いーや、彼らとは仲間でもなんでもないよ! 俺は通りすがりの一般リトルナイト。騒がしい気配を感じたんでちょっと見学しに来たんだよ』




